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2024年は選挙イヤーであったのは確かだが、どうも2025年もそうしたガタガタが続きそうである。刮目すべき次はドイツ、だ。来年2月23日の選挙で暫定的に合意されている。

来年9月に予定されていた連邦議会選が、社会民主党SPDのショルツ首相が自由民主党FDPのリントナー財務相を解任したことで選挙の前倒しのプロセスが始まった。そもそもショルツ首相がリントナー財務相を解任したのも、財政健全化に向けた動きに執着した財務相に対し、少しでも景気回復を果たして人気を取りたい首相との間で大きな溝ができたから。

ショルツ首相は人気がなく、支持率が低く、SPDも勢いがない。選挙をするにしても、どことどう連立するかの組み合わせを考えることに躍起で、これではそれぞれの政策を幅広くやるしかなく、どうしたって財政弛緩になってしまう。

景気が悪い時に財政を使うのは正しい財政政策である。しかし、効果が限定されるものにまで野放図に資金を出せばそれは単なるバラマキで、結果膨張した債務は将来世代に支払いのツケが回る。ドイツには債務ブレーキという憲法規定がある。連邦政府の年間の赤字をGDPの0.35%、州の赤字をゼロに制限するというもので、景気の下降局面では債務を増やすことや国のコントロールの及ばない自然災害などの発生時には停止されることを認めているなど一定の柔軟性はあるものの、厳格な規定である。これがあるから公的支出に制限が出て、景気が良くならない、という発想に立てば、債務ブレーキを廃止するか緩めるかして、景気浮揚に踏み切りたいとの思惑がでてくる。

どこの国でも同じことをやっているわけだが、ドイツの場合、財政規律をきちんと守り、ユーロ圏の安定に資してきたことを考えると、どういう判断をするのかには注意が必要だ。人気取りのために軽々に債務ブレーキという財政規律のタガを外してしまうようでは、必ずやドイツの信用、ひいてはユーロ圏の信用に影響が出て来るからだ。

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