肩書きを複数持つと他人の記憶に留まりにくくなる
日経COMEMOのテーマは #肩書きを複数持つ必要はありますか について考えてみたいと思います。
私の経験則から述べると、肩書きを複数持つメリットはその肩書きを使い分けることができるということです。専門家の中でもその専門領域が益々細分化される傾向にあります。例えば、医師でも、感染症専門医などより特定の分野の専門家の声を聞きたいというニーズは強いものです。
そんな中、肩書きが複数あればシチュエーションに合わせて肩書きを上手く使え分けることができる可能性があります。水泳で国体に出場していたなど同僚の中でも仕事以外の特技があって、他人に教えることができるレベルの人もいるでしょう。会社員で趣味やプライベートの名刺を持つ人もいます。
ではデメリットは何かというと、肩書きが複数あると他人に覚えてもらえにくくなるということです。筆者は職業柄、テレビなどのメディアに出たり、セミナーやウェビナーで講師をしたり複数の人に情報発信をする機会が多いです。
特にテレビでは自己紹介の持ち時間は少なく、10秒など限られた時間の中で自分の名前と肩書きを伝えるとなると、「ファイナンシャル・プランナー」という1つの肩書きしか伝える時間がありません。また、より持ち時間があるセミナー等でも人は一つの情報しか覚えられない場合が多いです。交流会等で複数の人と名刺を交換する場合、名刺を複数渡されると、「あの人は結局何の人なのだろう?」と記憶に残らなくなってしまいます。それよりも1番強い肩書、その場に適した肩書きしか見せない方が記憶に残りやすくなると感じます。
特にウェブ会議上で複数の初対面の人と交流する場合、色んな情報を伝えるとより混乱が多くなると感じます。自営業でウェブ会議の際にも宣伝を効果的にしている人は肩書きをつけた会議名で入室したり、背景を自分の会社名等にしている人がいます。そうした情報も1つに絞るべきでしょう。
それではその場で最適な肩書きをいつも1つに絞って使い分けるのがベストなのでしょうか。しかし、仮に私がお金と美容の専門家と名乗ったとしましょう。全く別のコンテンツとなってしまい、両方が同じレベルだったとしても情報発信の場が半分に分けられてしまいます。つまり、お金の専門家として活動できる時間や露出の機会が損なわれるということなのです。
肩書きを複数持つことによるメリット・デメリットを考えさせていただきました。個人的には一番強い肩書きに絞ってその肩書きで勝負をするほうが、経験等が蓄積され、より高い付加価値が提供できるようになると信じています。本年もよろしくお願いいたします。