業績向上と社会貢献を両輪でまわせ ~ 世界最大の投資家の書簡
「持続的に繁栄するためにも、すべての企業は、財務的業績を上げるだけではなく、どのように社会にプラスの貢献をするのかを示さなければいけない。」
世界最大級の資産運用会社である米ブラックロックは、2018年1月12日付で投資先の企業に送った書簡の中で上記の主張を行い、大きな反響を呼んでいます。
同様に、世界最大の年金基金である日本の年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)も、ESG投資(環境、社会、ガバナンスに配慮している企業への投資)の方針を打ち出しています。
その方向性は素晴らしい思いますが、一方で実行の難しさもあります。
業績向上は財務情報として完全に可視化されており、ルールも明確で、一律に判断でき、改善活動が可能ですが、社会貢献は定義自体が曖昧で水掛け論になり、実際に行動が伴わない抽象論に終わりがちです。
実際のところ、以前から活発に議論がなされてきたCSR(企業の社会的な責任)活動も、業績が悪くなれば、継続しないケースも見られ、骨太の活動にはなりきれていません。
業績向上と社会貢献の両輪をまわすためには、3つの考え方を実践する必要があります。
・顧客(業績と強く紐づいた社会的存在)への貢献に集中する
企業が何時も継続する活動は本業です。そして、直接的な貢献対象は顧客であり、顧客への貢献量の増大は業績の向上に直結します。
・顧客への貢献量を可視化する
自社が顧客志向ではないという企業はいないかもしれません。しかし、参入障壁が高かったり、規制が強く競争が限定され、同質化している業界では、本当に顧客が価値を感じているか不明だと感じるケースも散見されます。明確なルールに基づき、企業がお客さまへ役立っている量が可視化されれば、実際に何が起きており、改善の要否も見えてきます。
・長期的な視野を持つ
継続的に顧客に貢献し続けるためには、従業員、サプライヤー、コミュニティや環境への配慮は必須になります。また、顧客への価値提供を短期で考えると、日本的な「お客さまは神様です」の精神で、ただ言われたことを実行すれば良いのですが、長期的に役に立ち続けるためには、変化を捉えたより本質的な価値を考え抜ける強い組織が必要になります。
これら3つの観点は、当たり前なものばかりです。
しかし、経営者が投資家に対して「我々の事業は、お客さまの生活を具体的にこういうふうに豊かにしていて、数値的にはこういった状況である。長期的な価値を提供し続けることを目的に、各ステイクホルダ―との関係性を維持・改善するためにこういったことをしている」と説明ができるのは、当たり前のことではないと認識をしています。
ただし、業績向上と社会貢献の両輪は、本来の商いの姿そのものですので、経営者が本気で取り組みさえすれば、実現は可能だと確信をしています。
■世界最有力投資家が企業に宛てた書簡の衝撃と日本企業トップへの警鐘
http://www.globalcsr-pfc.com/interview1801/
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