下記の記事では米国の一流AI研究者が2億円を超える年収をもらっていることを紹介している。

ここで「AI研究者」には、2種類あることをまず認識する必要がある(そもそも世の中では認識されていない)。

 第1のカテゴリは、AIの要素技術を基礎研究する人間。第2のカテゴリは、AIの要素技術を活用して役に立つAIシステムを研究開発する人間。この区別は大変大事で、必要な能力もモチベーションもかなり違う。

 ここで取りあげられている研究者は、実は、前者のAIの要素技術を基礎研究する人間である。

https://www.nytimes.com/2018/04/19/technology/artificial-intelligence-salaries-openai.html

 しかし、本当に企業や社会にとって事業インパクトの大きな成果を生み出すのは後者のAIシステムの研究者である。この研究者には、適用分野の知識と実データが不可欠である。また、このAIシステムの研究者は、AIの一流と呼ばれる学会には論文投稿などしない。なぜなら基礎研究者のコミュニティでは実用的な価値は評価されないので、論文は採択されないし、そもそも、論文を書くことより世の中を変えることや世の中に役立つことの方に関心があるからである。

 日本のAI論文が少ないという報道もあるが、これは前者の論文のことをいっているので、後者との関係はあまりない。

 このような誤解が世界にあるのをチャンスにして、後者を日本はしっかりやれば世界に勝てる可能性は十分ある(ここで前者が重要でないということではない、これはこれでしっかりやった方がよい)。このような正しい基本的な認識の上に議論する必要があると思う。

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