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自分の事すらわかっていない人間の事を他の誰が信じてくれるだろうか?

久しぶりに婚活系の話を書く。

ちょっと前だが、タレントの新山千春さんがマッチングアプリで彼氏を見つけた話が話題になった。芸能人もやっているのかとマッチングアプリを試してみようかなとと思った男たちもいるかもしれない。

しかし、身も蓋もない現実の話をすれば、マッチングアプリは所詮「街のナンパのデジタル版」でしかなく、「リアルでモテる人だけがモテる」ツールであって、リアルでモテない男女が手を出したところであまり意味はない。

リアルでモテるとは、男の場合なら、年収稼いでいるとか、有名大企業に勤めているとか経済力強者か、男の場合でも容姿に優れている人がモテるね。マッチングアプリもそれと同じです。なぜなら、そういうシステムになっているから。

相手を探すときに条件検索をするわけです。年収とか職業とかで検索してはて写真を見る。そういう数々の条件をクリアした者だけがその先に進める仕組みとなっているので、たとえモテないくんが課金し、大量にアプローチメールを送ったところで、それらの条件にかなわなければ無視され、つぎこんだ金は無駄金となる。

かつて婚姻を牽引していたお見合いや職場結婚の代替えツールになるとかいっているのは、マッチングアプリ業者とそこから金を受け取っているエセ識者とそうした恩恵にあずかれる恋愛強者だけです。

ぶっちゃけて言えば、モテない男性が一生懸命課金してのマッチングアプリにいそしんでも、それは「モテる男がたくさんの女とセックスするためのお金を貢いでいるようなもの」である。

さて、そんな話をオブラートに包んで、8/5のアベマプライムにてお話した。久しぶりの出演である。本題のテーマは「超ソロ社会」であるが、なぜ独身が増えたのかという話の流れでマッチングアプリの話になったので。


ところが、それに対して若い子から「自分らの周りではめっちゃマッチングアプリで相手見つけてるから。そういう考え方は世代が違う」という意見が出た。要するに「お前らオヤジとは価値観違うんで、わからねえんだよ」という謎の世代論マウントを無邪気にぶちかましてくるのだが、自分らの周りがそうだからといって世界のすべてがそうだと短絡的に考えてしまうのは考え方や価値観の相違ではないし、ましてや世代論の話ではない。事実認識の話である。

ここに対しては僕のかわりにひろゆき氏が抗弁してくれている。

さて、事実の話に戻ろう。実際、マッチングアプリではマッチングされないために、結婚相談所の門をたたく人が増えているらしい。

しかし、結婚相談所も問題はあって、なんか結婚したい男女の「最後の砦」みたいなイメージでとらえている人も多いせいか、男女とも年齢層が高い。仮に20代前半で「自分はマッチングアプリでは無理だから結婚相談所に行こう」という奇特な婚活男性がいたとしても、自分と同年代の女性が少ないのだ。

では女性ならいいのかというとそうでもない。35歳以上の女性が行っても、自分と同年代の男は少しでも若い相手を探そうとするのでマッチングされない。紹介されるのは45-50歳の未婚男だったりする。年齢だけならまだ許せもしようが、繰り返すが「最後の砦」で来ている人が多いわけで、申し訳ないがいってみれば「はずれ者の中から選ぶしかない」ことになるのである。念のために言っておくが「ロクな男がいねえな」と愚痴っている女性のあなたもまた「ロクな女がいねえな」と言われているはずれ者の一人であることをお忘れなく。もちろん、そうじゃない人もいるだろうけど(とフォローはしておく)。

結婚相談所の成約が増えたとはいえ、まだまだ年間10402組である(IBJの2021年実績)。婚姻数が約51万組であるから、構成比はわずか2%にすぎない。8万人の登録者数で10402組のマッチングということは、12%以上の成約率なので、それは確かに高いかもしれないが、最後の砦にもかかわらず12%しか救えないというのもまた現実なのである。

誤解のないように決して結婚相談所をディスっているわけではない。マッチングアプリの確率に比べれば断然いいことは間違いない。むしろ本気で結婚したいなら恋愛強者だけが得をするマッチングアプリなんてさっさとやめて、結婚相談所に行くことをお勧めする。

もうひとつ結婚相談所のよいところは、よい仲人さんとであれば、相手を見つけてくれる前に、まず「自分自身を見つけ出してくれる」ことである。

「いやいや、自分のこと見つけてくれなくてもわかるよ」と言いたいのかもしれないが、結婚したいのにずっと縁がないとか恋人と付き合ったことがないという男女に共通しているのが「自分を見つけられていない人」である。違う言い方をすれば「自分を知らない」ということであり、「自分の分をわきまえていない」ということだ。

厳しい言い方をするが、そもそも恋愛も結婚も「自分を知らない者ができることではない」。片思いならできる。それは自分の主観だけで思っていればいいだけだから。しかし、相手のいる恋愛や結婚とは、自分の主観を相手に押し付けることではなく、相手にとって自分がどう見えるかかわかっていないとできない。難しいくいえば「メタ認知」である。

メタ認知とは自己の客観視ということで、まさに自分じゃない他人の目線で自分を見れるかどうかである。

それがなんで重要かというと、自分のことが客観的にわかっていないから、分不相応な希望条件を出してしまうというのもあるんだが、それ以上に自分がわかっていないような奴のことを誰が信頼できるよって話なんです。

よく考えてほしい。恋愛はともかく結婚して長く一緒にいようという相手(結果として離婚はあっても)を見極める時に、本人が自分のことがまるでわかっていないような言動や態度や価値観を述べられて、「わ~なんて素敵な方ラブ」なんてなりますか?

わかりやすい言葉でいえば「鏡見て出直してこい」「顔洗って出直してこと」という話は、まさに自分のことがわかっていない相手に向けられた言葉である。決して容姿とか清潔感の問題だけではない。そもそも自分で自分が何者かがわかっていない様を指す。

よい仲人さんは、自分のことが分かっていない人にいくら相手を紹介したところで縁ができるとは思わない、経験上。だから、まず「自分と向き合ってもらう」ための質問だったりを投げかけてくれるのです。「どういう人と結婚したいの?」という質問からではなく、「あなたはどうしたいですか?」「それってどういうことですか?」「なぜそう思うのですか?」という問いを繰り返すことで自分が自分を知るきっかけを与えてくれる仲人さんもいます(決して全員とはいわない。機械的にマッチングさせればいいんだろうというビジネス仲人もいる)。

自分を知ったことで「あれ?自分はもしかして別に結婚したいというわけじゃなかったのか?」と気付くこともあるだろう。でも、それって結構大事で、そういう客観視ができれば「相手いないのに結婚したい」などという変な考え方を捨てることができる。それでその結婚相談所を辞めたとしても、その人がちゃんと自分を知り、自分にとってよいこととは何かを見つめられ、婚活とは違う時間の使い方をできれば、それはその人にとってしあわせだろう。結婚しなければしあわせになれないなんてことはないのだから。

ところが、案外、不思議な事に(皮肉な事に?)、自分をしっかり見つめられることができた途端、マッチングされたり、婚活などしなくても縁が芽生えたりするものなのである。

つまりは、自分を知らない奴がマッチングアプリをしようが、結婚相談所行こうが、何をしたって誰とも巡り合えない。巡り合う資格がない。まずは自分と巡り合ってから来いやという話なのである。そして本来はそんなレベルの話は20代くらいまでにやっとおけよという話でもある。

こういうのを読んで「うるせえよ」と思うならどうぞご自由に。恋ではなく一生片思いの「孤悲」をしつづけてください。

ちなみに、恋愛や結婚だけではなく、自己の客観視ができていない人間は仕事もできない。

つながりましたね。金が無いからモテないのではなく、自己の客観視ができていないからモテないし、仕事ができないから結果として稼げないのである。

長年の会社勤めを辞めて、文筆家として独立しました。これからは、皆さまの支援が直接生活費になります。なにとぞサポートいただけると大変助かります。よろしくお願いします。