ドイツのサッカーチームと『キャプテン翼』がコラボ商品?=ドイツから海外異業種コラボについて考える
今回は、ドイツのサッカーチームとマンガ『キャプテン翼』のコラボ商品をめぐって考えてみたいと思います。
ドイツのプロサッカー1部リーグ・ブンデスリーガの「アイントラハト・フランクフルト」(本拠地:フランクフルト)は8月10日、ツイッターを通じてマンガ『キャプテン翼』とのコラボ商品シリーズ「SGE x Tsubasa Kollektion」(「SGE」は当該スポーツ団体の正式名称の略称)を発表しました。
本来であれば、日本のマンガ/アニメ業界とドイツのスポーツ業界という非常に興味深い異業種コラボなのですが、今回のタイトルにはあえて「?」をつけました。実は気になる点があるのです。(筆者の杞憂に過ぎなければよいのですが。。。)
まずはこのコラボ商品を見ていきましょう。
「アイントラハト・フランクフルト」の公式ショップには、特設ページが設けられ、『キャプテン翼』のキャラクターを使用したTシャツとパーカーが販売されています。(以下は特設サイトのスクリーンショット)
ドイツのサッカーファンの反応はというと、先の発表ツイートに寄せられたコメント(リプライ)を見ても明らかですが、非常に歓迎するものとなっています。
ドイツのスポーツ情報サイト『Sport1』は発表ツイートを引用する形で、フランクフルト出身の有名ラップ・デュオ「Celo & Abdi」がプレゼンターとしてモデルを担当している旨が紹介されています。
このコラボ企画ですが、筆者はある点に気づきました。
それは、ウェブの情報を見る限り、著作権情報の表記が見当たらないのです。
ドイツの1部リーグで活躍するプロサッカーチームが宣伝に有名歌手を起用するほど力を注ぐコラボ企画ですから、当然、『キャプテン翼』の作者、高橋陽一さんや出版社の集英社とも連携しているのだと想像します。しかし、念の為に確認することにしました。
「アイントラハト・フランクフルト」はツイッターで、公式の日本語アカウントも運用しているようです。早速コンタクトを取りましたが、反応はありませんでした。続いて、サッカーチーム宛にドイツ語でEメールを書いてみましたが同様に回答をもらえませんでした。
こうなったらと、集英社の広報に電話してみました。個別の作品に関してはすぐに回答できないと説明を受けたうえで、一般論としてたくさんの関連商品があるので関係各所に確認する必要があり、確認には数週間を要するというものでした。(つまり確認できませんでした。)
では、実物を見に行ってみようとフランクフルト市内の大型モールに出店する公式ショップを訪れてみました。(写真は筆者撮影)
コラボ商品は、ショップのショーウィンドウに設置された液晶ディスプレイで紹介されており、商品自体も入り口すぐのエリアで販売されていました。
実際にTシャツやパーカーを手にとって見てみました。筆者の見た限りでは、商品や商品に付随するタグには著作権の表記は確認できませんでした。
大きなコラボ企画なので所定の手続きを経て行われているものだと思いますが、確証するのは至らず後味の悪い結果になってしまいました。要らぬ誤解を防ぐためにも、必要な表記は明確に行うべきだったのではと筆者は考えます。
さて、このような事例から何が読み取れるのでしょうか?
それは、日本国外におけるキャラクター商品の需要です。
例えば、日経新聞によると東映アニメショーンは海外向けの商品化権の販売を伸ばしています。
ドイツでも、スポーツを題材としたアニメやマンガは人気です。サッカーの『キャプテン翼』にとどまらず、ドイツでは90年代にバレーボールの『アタックNo.1』がTV放送され人気を博しました。最近でも同様にバレーボールをテーマとした『ハイキュー!!』が人気でイベントでコスプレをよく見かけます。また、先日はバスケットボールのアニメ『黒子のバスケ』に関する全話のディスク販売ライセンスの契約が報じられました。(関連ニュース)
このような背景からスポーツ業界とアニメ/マンガ業界という異業種コラボによる「ものづくり」は、日本国内にとどまらず海外にも開拓できる市場がまだまだ存在するのではないでしょうか。日本から輸出されるスポーツを題材としたアニメやマンガ作品と現地のスポーツ事情を関連付けて検討するべきなのかもしれません。
本投稿ではドイツの事例を取り上げました。こういった事情は欧米諸国や他の地域でも通用する話ではないのかと思います。皆さんはどう考えますか?
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タイトル画像:「SGE x Tsubasa Kollektion」公式特設ページからのスクリーンショット(出典リンク:https://shop.eintracht.de/eintracht-frankfurt-tsubasa)