2021年を振り返る!やはり大学院の学びにかなり助けられた1年でした~リカレント教育は収入UPに繋がるかをデータと経験から考察する~
2021年が、終わろうとしています。今年も、皆様のご縁と支えのおかげで無事に終わろうとしています。本当に有難うございます。そして、仕事面でも新しい機会を頂きました。日経電子版の投資解説コーナーの出演、新刊の出版、経済解説の機会、自分の人となりの紹介記事への出演等々、感謝しかないです。こうして何とか仕事の機会があるのは、皆様とのご縁はもちろん、博士後期課程で在籍している大学院での先生方の指導や学びが大きな支えがあるからこそと痛感します。今回は、社会人大学院など、大人になっての学び直し=リカレント教育による効果を、定量的に考察します。
なぜリカレント教育が進まないかの、2つの仮説
当然ですが、その国が発展するためには、人材育成無くしてあり得ません。人生100年時代が当然の超高齢化社会、年功序列終身雇用の崩壊等により、働き手のブラッシュアップのためリカレント教育の必要性が増しています。実際、下記の記事にある通り国策としても、リカレント教育の重要性が説かれています。しかし、OECDの調査によると、大学生のうち社会人ら25歳以上の割合は日本は2.4%と英国16%、米国14%に比べて低水準で推移しています。私は、こうした背景には主に2つの仮説を考えています。。1つ目は、お子様がいる家庭では両親のリカレント教育への取り組みが難しいなどの家庭との両立がリカレント教育の壁になっていること、2つ目はリカレント教育による賃金UP効果が見えにくいことです。
家庭とリカレント教育の両立について
私のところにも、家庭とリカレント教育の両立について相談に来る女性が多数います。特に、小さい子供がいらっしゃる方で、誰にも頼れない状況だったりする場合、女性への負担がかなり大きいです。しかし、学校によってはベビーシッターサービスへの補助を受けられるなど、徐々には支援の輪が広がっています。こうしたところも、欧米とのリカレント教育の浸透度合いの差に繋がっているのかもしれません。
ちなみに、私の同級生には子育て、出産、企業勤めをしながら修士号を取得した方がいました。どうやって両立したかを聞くと、家族のフルサポート、家族の理解、ベビーシッターのフル活用でなんとか乗り切ったとのことでした。リカレント教育を受けたいだろう30-40代世代には小さなお子様がいらっしゃる家庭が多いと思うので、これは喫緊の課題だと思います。
リカレント教育の賃金UP効果の検証
そして、後者のリカレント教育による賃金UP効果については、データによる実証研究が多数存在します。世の中には、大学なんて意味がない、リカレント教育なんか、MBAなんか…いろんな声があります。しかし、こうした議論についてはデータによる検証も見ながら、自分になりに選択肢を広げることが重要だと思います。下記の論文は、イギリスのデータを用いて、社会人として働き始めてから、資格取得、社会人大学院、生涯学習などのリカレント教育の賃金への因果関係について検証しています。
ここで重要なのは、元々の人的能力が高くて、リカレント教育を受けてなくても、賃金UPしていただろう人の存在です。リカレント教育による賃金への純粋な賃金への因果関係を見たい場合、こうした人たちの存在がデータ検証の壁になります。そこで、こうした個人の特性を計量経済学でいう「固定効果」という手法を用いて、因果関係を検証しています。その結果、資格取得やリカレント教育の4~5年後ぐらいに、平均的に10%ほどの賃金UP効果が見られたということでした。特に、女性の方が、こうした賃金UP効果が高い傾向が報告されています。理由は、女性の方が平均的にそもそもの給料水準が低いことや、資格取得などは必要な職業を選択しやすいからかもしれません。
リカレント教育について家族への説得が難航している方は、この研究を参考にするといいかも!?ちなみに、私の場合は、社会人大学院無くして、自分の会社の経営も、仕事のご縁も無かっただろうと日々痛感しています。
ここまで読んでくださり、ありがとうございます!
応援いつもありがとうございます!
2021年も本当にありがとうございました。
良いお歳を~!
崔真淑(さいますみ)