Weiboの新事業、SNSアプリ「緑洲」は中国のインスタになれるか
以前からたくさんの日本の方に「中国のインスタってどれですか?」と聞かれます。今まで、色んな理由から「中国のInstagram」と呼べるアプリはありませんでしたが、最近ついにインスタとなり得るかもしれないSNSアプリが現れたことが話題になっています。
「緑洲」(Lǜ zhōu)というWeiboの運営社がサービス提供を始めたアプリです。今のところ「完全パクりじゃん」と言ってよいと思いますが笑
いまさら?と思う人もいるでしょう。でもここまでの経緯は面白いのですよ。
◾️WechatとWeiboの影響
インスタが生まれなかった理由は、WechatとWeiboがあまりにも強力だから。全ての機能を兼ね備え、市場シェアも独占してきました。中国のソーシャルメディアアプリは機能もユーザー規模も世界で最も進んでます。
その修羅の世界で毎日生きていく私たちはけっこう辛いですよ。以前noteで書いたように(日本でもそうでしょうが)中国でもソーシャルに疲れを感じる人がどんどん現れてます。
中国のKOLたちの間でも「やめます」現象が起きてます。この30万のフォロワーを持っているKOL「小李飞」がお別れのツイートでこう語りました。
我知道这个身份也给了我很多好处甚至特权,但也有很多攻击、骚扰和不愉快。有时候还自我怀疑,如果不是猪蹄蹄,我还能是谁,我可以是一个还不错的普通人正常人吗,靠工作能力赚钱,靠品行言谈社交,我好像寄生在一个微博账号上,离了“猪蹄蹄”就残废了,真的不愿意过那样的人生,所以就决定,跟大家告别啦。
「このアカウントのおかげでたくさんのメリットや特権を得ましたが、ときどき自分の事を疑うのです。まるでこのアカウントに寄生してるようで、離れたら終わりだと思ってしまう。こんな生活がすごく嫌になりました、なのでお別れすることに決めました。」って
こうした出来事に象徴されるように、もっとプライベートな温かいSNSの渇望は高まっていました。
■小红书の終わりと新しい時代の始まり
実はいままでにインスタに近い存在はありました。「小红书」(海外ではREDと呼ばれてるか)というアプリがたくさんの若いユーザーを集めていました。でもあまりにマーケティングや通販に使われすぎていてもはやSNSでなくECアプリになってました。(今後インスタがそうならないように願う)
そして、「小红书」は偽物販売などの疑いで7月末から行政命令でアプリストアから撤去されました。すでにインストールしていたユーザーはまだ利用できますが、もう中国人ユーザーは増えないでしょう。(正式なストアを経由せずにインストールするか、中国以外の地域のアプリストアのアカウントでダウンロードするかしかない)
このタイミングをWeiboは見逃しません。Weiboの運営社が新たなインスタ風SNSアプリ「緑洲」をリリースしました。
星が2.7しかないですが、コメントを見たら登録できないってクレームが多いですね。それも理由があって、まだテスト中で、現在は芸能人やKOL、契約コンテンツ提供アカウント向けに招待コードを配っていて、招待制の登録となってます(残念ながら私はコード持ってないので使えないのですが)。
■緑洲の今のところ
緑洲は8月29日にアプリストアにリリースされました。「小红书」と同じく趣味や情報の共有によるSNS型のECサービス。
使用者のレポートを見たところ、ユーザーが写真や60秒未満の動画と文字をアップロードできます。ユーザー同士で「いいね!」やコメントができます。発信した内容はWeiboやWechatのモーメント、QQ空間などに共有できます。
↑ほぼインスタじゃん😂
そしてユーザー同士のチャットやDMができない。また、ポイントシステムもあって、新規ユーザーを招待したり、ツイートしたりすることでポイントが貯められて、景品と交換したり、好きな芸能人やアップ主プレゼントしたり、ランキングの順位上昇に使ったりすることができるとのこと。
ユーザー構成からみると「小红书」は月当たりのアクティブユーザー数は1億を超えてます。そして7割が90年以降生まれでユーザーの男女比率は約2対8だそうです。
「緑洲」は今後90年以降生まれにターゲットを絞ってマーケティングを行っていくでしょう、どういった特徴を持つアプリになるのか楽しみ。
ちなみにWeiboは2019年6月末時点で、月当たりのアクティブユーザー数は4.86億で、30歳未満のユーザーが8割とのこと。
中国語の中で「弯道超车」(Wān dào chāochē)という表現があります。
(レーシングカーなどが)コーナーで抜き去ること。
〈備考〉比喩的に経済、社会などの領域でも使われる。レーシングカーの先行車がコーナーではブレーキングを余儀なくされ、後続車がコーナリングテクニックでオーバーテイクできることから。
Weiboは「小红书」が各アプリストアから撤去されてる間に「弯道超车」するつもりでしょう。
Weiboも最初なTwitterのパクリでしたが、そのあといろいろ進化をとげTwitterを大きく上回るサービスになりました。今度の新サービスにもぜひ注目したいと思います。早く招待コードもらえないかな!
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(参考資料)