欧州金融機関の再編機運
ドイツ銀行やHSBCなど欧州金融機関の再編や統合の噂ばかりがここかしこに横行している。果たして欧州金融機関の再編がなされるのか。
欧州金融機関はリーマンショック以降も欧州危機などを経験。マイナス金利は2014年に導入、など多くのネガティブな環境にさらされてきた。規制等もより厳格に要求されている。①資本増強が求められ、ROEが減少する、②ベイルインルールが採用になり、ベイルイン導入債券をかなりの量、発行しなければならない、③マイナス金利導入により、マージンは圧縮傾向、④規制により資産の質を改善する必要性が生じた(IFRS9なども)、⑤配当の停止(コロナ禍で不良債権が急増することに備え、資本流出を止めるための措置。ただし2021年からは復活の可能性)など様々ある。
こうした経営環境が厳しくなる中では、一般論として統合・再編がすすみやすい。しかも欧州金融機関の場合は、単一破綻処理やベイルインの仕組みが整ったことにより、前向きな合併を促すことになっている。
ただし、銀行同盟を構成する三要素のうち、ピラー3にあたるDGS(Deposit Guarantee Shceme)が完成していないのが実情。そのため国を跨いだ大型再編、統合はなかなか進まないと見ていいであろう。結果、国内での金融機関の再編が中心となると考えられる。
スペインやイタリアではそれぞれ最大手の銀行が比較的リーズナブルに競合相手を買収する案件が見られてきた。スペインで起こったBankiaとCaixabankの合併、Intesa Sanpaolo BPERによるUBIの合併など、である。こうした動きが当面は主流になる、ということだと見ている。