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弱みを強みへ転換 台湾の「翠玉白菜」から学ぶ価値のリフレーミング

台湾の国立故宮博物院で見た「翠玉白菜」が、翡翠の弱点をプロダクトとしての強みに変えるヒントを提供してくれました。弱みを強みに転換する力について考えてみます。


劣った素材と優れた作品

過日、久々に台湾出張の際に、国立故宮博物院へ行ってきました。
そこで、あの有名な「肉形石」と「翠玉白菜」も、改めて見てきました。

「翠玉白菜」国立故宮博物院所蔵(筆者撮影)

「翠玉白菜」は、翡翠を彫刻したものです。子孫繁栄のシンボルである蟋蟀が、白菜の葉の上にいます。

翡翠そのものの価値は、色むらや傷がないことが重要だそうです。しかし、この「翠玉白菜」の素材として使われている翡翠は、見てわかる通り、大きな色むら(白色から濃緑色)があります。また、よく見ると、細かいヒビが入っているとのこと。

その色むらやヒビを隠すことなく、むしろ、白菜の特徴として活かすことで、翡翠そのものとしての価値を遥かに凌ぐ、作品の素材としての優れた価値へと転換しています。つまり、石そのものとしての価値を下げる要因を、作品としての価値を上げる要因にリフレーミングしていると言えます。

弱点と思われる要素を、強みに転換する

苦手がマイナスに作用する環境で活動し続けると、苦手を克服しなければならない局面にぶつかります。

しかし、苦手なことを得意なことに変えるのは、本当に難しいことです。もちろん、状況や立場に応じて、マイナスをゼロにする努力は必要です。

ただ、マイナスをゼロにするだけでも相当な苦労を要するのに、それを得意とする人と同じ土俵に立ち、さらに向上させようとするのは、途方もない努力と時間を要し、それでも成し遂げられるかどうか危ういことと思います。

それよりも、素材としての翡翠が人の手により作品へと生まれ変わり、石としての価値のリフレーミングが施されたように、自分の価値をリフレーミングしてくれる人や環境を探すことができたなら。

一人で到達できない境地に、誰かと手を組むことで到達できるとしたら。

それには、自分の弱みを客観的に把握し、理解し、開示することが必要です。実は、これが、一番やっかいで、難しいことのように思えます。

ミクロからマクロまで

記事の中でも、官民連携やスタートアップの巻き込み方、国家間の連携など、さまざまな組み方の難しさが語られています。

今の立ち位置を理解し、到達したい場所と現在との埋めるべき差を実感すること、そこから全てが始まる。上記の記事の最後も、そのように締めくくられています。

翡翠を素材とした芸術作品も、人の成長も、国家プロジェクトも、ミクロとマクロは相似形なのかもしれません。

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