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2022年多死社会の到来「年間150万人以上が死ぬ時代が今後50年続く」

以前より「多死社会がくる」ことは繰り返しのべてきましたが、推計より2年早く日本は既に2022年に150万人以上が死ぬ多死時代に突入しました。それが最低でも50年以上継続します。多少出生数があがったところでこの多死による人口減少は不可避です。世界の他国もまた同じ。世界に先駆けて訪れる多死国家の行く末を世界が注目しているでしょう。

詳しくは、こちらのプレジデント連載に書きました。

今の子どもたち、これから生まれてくる子どもたちにとって多死社会がデフォルトになります。それはその子の現役時代の負担がとてつもなく増えることを意味する。多死前提、人口減少前提の国の運営の在り方が問われている。


こういうことを言うとすぐ「移民をいれればいい」というおっさんがいる。事実、日本政府も移民政策へシフトしている。記事にも書いた通り、50年後は8700万人のうちの1000万人を移民でまかなおうとしている。人口の約12%を移民とする計算だ。現在の移民の構成比は約2%であるから、10%増、5倍にするというものだ。

しかし、残念ながらこのままであれば移民がそんなに増えることはない。なぜなら、もう日本は外国人が来たいと思う魅力的な働き口があるわけではないからだ。それどころか、むしろ日本人の若者から見捨てられる国になるかもしれない。今の日本の地方の田舎のように。

人口の自然増減は人口転換メカニズムによって決まるので、それを政府が何かしたからといって変えられるものではない。一方、社会増減は、制度や政策によって確かに変えられる一面はあるが、よくよく考えれば、それは全体のバイの奪い合いでしかないので、どこかが社会増すればどこかが社会減するだけである。明石市の人口が多少増えたところで明石市の周りの人口が減っているだけにすぎないのと同じ。

これを国単位でみれば、魅力的な働き口のある国は社会増するが、稼げない国からは人口が流出して社会減となる。日本は、世界的に見れば、国内における秋田や青森などの過疎地域と同じ状態にあるという認識を持った方がいい。日本が社会減していく側なのである。実際、こんな円安ならば海外で働いた方が給料がいい。

百歩譲って移民政策を是としたとしても、今のままでは単なる「絵に描いた餅」で「御用学者の鉛筆なめなめ机上の空論」でしかない(どうでもいいけど、政府の有識者会議に呼ばれるいい加減な御用学者が多過ぎだし、新聞もいい加減な御用学者を出し過ぎ)。

移民を入れるためには、社会増するだけの魅力的な経済環境を整えないといけない。それが大前提。もっとわかりやすくいえば、経済環境が整うということは分厚い中間層の所得がある程度の高位で安定することで、貧困の割合が減ることである。決して金持ちだけがより裕福になることではない。底上げがなされないといけない。

勘違いしないでほしいのは、「みんなで平等に貧しくなる」ということではない。どうも最近この「みんなで平等に貧しくなる」という左巻き思想がはびこっていて気味が悪い。この「みんなで平等に貧しくなる」とは「金持ちや高齢者など得しているあいつの足を引っ張ればいい」みたいなまさに芥川龍之介の「蜘蛛の糸」の餓鬼化現象でしかない。分配すればいいという話ではない。分配に頼らざるを得ない低位層を少なくし、盛り土をしなければならない。まさに底上げが必要なのだ。


日本のGDPは2075年には12位になるらしい。

まあ、そもそもGDPは人口に依存するので、人口が激増する国が上位にくるもの。2075年にアフリカ諸国が上位にきているのはそのため。
そもそも今後もこのGDPという指標を使い続けることがいいのかどうかもわからないが、さりとて、少なくとも1.2億の人口が確実に半分の6000万人以下になることが確実なのだから、そうなっても適応できる体制を整えないといけない。

2100年以降になれば、増えすぎた高齢者比率も多死時代を経て徐々に是正されていく。しかし、そこまでの80年間は、歪な人口バランスの中でうまく舵取りをしていかないといけない。このまま65歳以上が高齢者という定義も無理になる。高齢者は支えられる側ではなく支える側になってもらわないといけないが、それ以上に現役世代全体の所得と消費が増えなければとても追いつかないだろう。「脱成長」などしている場合ではないのだ。むしろ個々人が成長していくことでしかこの80年間はしのげない。所得が30年あがらい「失われた時代」をこれかも続けていくのなら、80年もかからず50年以内にこの船は沈没するんじゃないか。

しかし、3年後や4年後の自分の選挙のことしか考えない政治家ばかりではもう無理なのかもねえ。同時に、そういう政治家を作っているのは、バラマキばかりに喜んでいる朝三暮四の猿みたいな界隈が多いってことでもあるから、そうなるともう終わりなのかもねえ。

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荒川和久/独身研究家・コラムニスト
長年の会社勤めを辞めて、文筆家として独立しました。これからは、皆さまの支援が直接生活費になります。なにとぞサポートいただけると大変助かります。よろしくお願いします。