リサイクルを考える〜①携帯電話からメダル!?

次期オリンピックの輝かしいメダルは、みんなが使っていた携帯電話から作るって知ってました?「都市鉱山からつくる!みんなのメダルプロジェクト」は東京都や環境省も協賛したプロジェクトで、携帯を含む小型家電を回収。2017年4月1日から丸二年間、自治体やドコモショップで回収を進めて、メダル約5000本分(金約32キロ、銀3500キロ、銅2200キロ)の必要な金属を抜き出し、メダルを作ります。

東京オリンピック・パラリンピックまであと1年を切りました。オリンピック・パラリンピックを行う開催国には経済効果も期待できるため、1896年に始まった4年ごとの祭典は継続。2020年はすでに第32回。アスリートがその時にピークを合わせるための努力はそれだけで尊いけれど、開催に向けての努力も方々でなされているはず。そして、そうした動きがそれぞれの国にとって、大きなゲームチェンジャーになってきたのでした。1964年の東京オリンピックも、高度成長期に相まって、ゲームチェンジャーになったように思われます。

今回のゲームチェンジは“リニアエコノミー(大量生産・大量消費の一方通行経済)”から“サーキュラーエコノミー(資源の効率的な利用による循環経済)”への転換です。サーキュラーエコノミーとは、単純に言えば、これまで廃棄されていたものを資源としてまた使う経済です。環境分野でノーベル賞を受賞したワンガリ・マータイ女史が環境保護3R(リサイクル・リユース・リデュース)を提唱したのは2004年ですから、根付くまで実に15年。“みんなのメダルプロジェクト”は、まさにその象徴と言えるでしょう。

でも、特別なことは何もありません。お姉さんの着ていた服や参考書が妹に降りてくる「お下がり」。気に入っていた洋服が時代遅れになったけれど、生地が高くて捨てられないから「リフォーム」。こうした発想は実はずうっとあったのでした。

ただ、こうした考えが再度根付くことで、製品の競争力の物差しが変わるはずです。これまでは製品の付加価値が維持される範囲で価格を下げることで競争力が高まりました。しかし、これからは次にどう使うか、無駄にしないリサイクルのあり方まで想定した製品作りをしなければいけなくなるということです。循環経済の中に組み込めるものでなければ、その分の廃棄コストを上乗せしなければならない、つまりびっくりするくらい高額商品になる、というイメージでしょうか。自然とサーキュラーエコノミーを意識した製品作りになっていき、そこまで考えない製品は淘汰されてしまう、ということになります。(続く)




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