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ESG投資ーEUのサステナブル・ファイナンスに隠れる「思惑」 ?

ちょっと真面目に温暖化の話を。気候変動対策をこれから進める上で重要なのは、一つには革新的技術開発です。いまの技術の延長線上では、世界が必要とする大幅な削減は困難なので、革新的技術開発が必要だというのは国際的なコンセンサスです。そしてもう一つは、社会の低炭素化を促す方向にお金の流れを変えることだと言われています。「ESG投資」という言葉があちこちで聞かれるようになりましたが、社会の低炭素化に向けて公的なモノだけでなく民間の資金も流れるようにする必要があります。

その意味でESG投資には私も期待をしていますが、趣旨が良くとも制度設計で間違うと、全く期待に反する結果になるというのは非常によくあることです。例えば2009年、2010年ころに実施された「家電エコポイント事業」は、「地球温暖化防止、経済の活性化、地上デジタル放送対応のテレビの普及を目的として省エネルギー性能の高いエアコン・冷蔵庫・地上デジタル放送対応テレビを購入した者に対して一定のエコポイントを付与し、これを使ってエコ商品等を購入できるようにするという制度 (Wikipediaより)」でした。政府は273万トンのCO2削減効果があったとしましたが、会計検査院は、エコポイントという補助があったために、従前よりも大型の家電に買い替えた消費者などが多かったことなどを踏まえれば、削減効果は21万トンであったとする報告書を出しています。事業費は合計6900億円にものぼったというのに。6900億円で21万トンということは、1トンCo2を削減するのに328万円?!

こうしたことにならないよう、制度設計には細心の注意というか、現場を踏まえた議論をしないと期待する効果が得られないばかりか、逆効果になることもあるわけです。金融・投資の世界の方からは「そんな細かいことはどうでもよい」と言われることもありますが、「そんな細かいこと」の積み重ねなんです。

ESG投資の趣旨に、私は総論賛成ですし、期待しています。だからこそ、ちゃんと制度設計する必要があると思っていて、そうした議論につながるよう、課題を一つ一つ指摘していきたいと思っています。

で、今回はEUが言いだしているサステナブル・ファイナンス(持続可能な金融)の課題を書きました。いろんな技術の中から投資するにふさわしい「良い子リスト」を作ろうということのようですが、例えば車で考えても、電力が原子力や再エネが多くて低炭素な場合にはEVを使うのがエコですが、石炭がメインという時にはハイブリッドを使ったほうがエコ、というように状況によって違う訳です。それを単純に「良い子リスト」というのは・・と思っていたのですが、もしかしたらEUの産業界が得意とする技術の優位性を高めるという思惑があるのかもしれません。(EUの産業界の一部の方にはそもそもこのタクソノミーの話は聞いていない、という方もいたので金融当局の先走りかもしれませんが)

何にせよ、温暖化政策はエネルギー政策=経済政策。各国、いろいろな思惑があり、きれいな話ばかりではありません。。


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