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BiliBiliのトレーディングBOXの仕組みが面白い。怒られて停止させられてますが

BiliBili(ビリビリ動画)がトレーディングボックスを使った新たなビジネスモデルを作り上げるのかもしれません。

ボクのnoteを見てくれてる人にはおなじみ、中国のガチャガチャこと「盲盒」(Máng hé、トレーディングボックス)について。オンラインもオフラインでも発展している事情について先日のnoteでも紹介しました。

トレーディングボックスが日本のみなさんの思い浮かべるガチャガチャの枠を超えてさまざまなモノや業界で採用されているのですが、動画大手のBiliBiliでも「盲盒」が流行っています。

BiliBiliが日本のニコニコ動画のパクリサービスでしょ?と思ってる人はだいぶ情報古いので要注意です。中国通のみなさんはご存知の通り、動画プラットフォームとして存在感が増しているのは言わずもがな、最近では動画プラットフォームを中心にした多角的なビジネスに取り組んでいます。

なかでもECへの注力は明白で、自社のECプラットフォームを整えていたり、グッズ付きのライブ配信を推進していたり。そしてトレーディングボックス商品の発売も行っています。

もともとビリビリ動画はACG(アニメ、コミック、ゲームの総称)ファンのコミュニティで、コアなファンと趣味の動画の熱狂がベースにあるサービス。なので、BiliBili xブラインドボックスの組み合わせは相性が良い。ただそれだけではなく、独自のルールと金儲けのスキームが面白いのです。

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↑ビリビリ動画上には大量のブラインドボックス動画が溢れています。自分たちのビジネスをさらに二次利用して動画クリエイターを成長させていく有効活用ぶり。

BiliBiliのブラインドボックスのビジネスは“魔力赏”という仕組みです。当たるアイテムはフィギュアやキャラクターグッズはもちろん、おもちゃ、イヤホン、ゲーム機、スマホまで。商品の安いものは100元未満ですが、高いものは1万元近くします。それらを詰め込んだトレーディングボックスをオンラインで売っています。

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 ユーザーは”魔石”(ちなみに"魔石”は100個で26.45人民元と約500円ほど)を購入して、魔石を使ってさまざまなグレードのトレーディングボックスを買うという仕組み。ボックスからは何が当たるかはわかりませんので、まさにスマホゲームのガチャに近い感覚ですね。

この仕組みがウケてかなり売上を伸ばしているのですが、そこにはもう一つ裏の仕組みが。それは、BiliBiliの“魔力赏”はリサイクル機能を備えていること。具体的には、ガチャでトレーディングボックスを引いて、その商品が気に入らなければ、リサイクル機能を選択することができ、リサイクル機能では直接お金を返金するのではなく使った魔石の80%が返却されるのです。これにより引き続きガチャをひくユーザーが大量発生するという“魔法”ですね。

リサイクル機能があるから気に入らないものが出てもコストはそんなにかからないと思わせることで、より中毒性が増しやすいのです。

さらに、被った商品や気に入らない商品が当たったらフリマなどで売っちゃいますよね?それを全部自分たちのプラットフォームで吸収しちゃおうって発想も秀逸かと思います。

ただ、この仕組は視点を変えると消費者が料金を取り戻せないように巧みな設計されているうえ、交換には20%の違約金を請求することを意味します。

また他にも問題が。繰り返し欲しいものが当たったとしても、あまりにもレアのものだとキャンセルやあり得ないほど待たないといけないケースも発生。つまり、まだ景品を出してないのに関わらずビリビリは既に相当儲けたことになります。

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↑当たったTAKARATOMYのポケモンの郵送予定日がまさかの2029年1月。。

結局あまりにもクレームが多くて、現在はリサイクル機能を停止しています↓

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それ以外にも問題がおきています。例えば、マスクが当たるガチャを5連続で引いたら「五发不重」(必ず被らない)と記載されていましたが、結局全て同じマスクで柄だけが違うといった詐欺まがいな抽選でユーザーのヘイトが集まる事態が発生。

またトレーディングボックスのグレードでiPhone 13やAirPods Proなど高額商品が多数入っているはずのものがあったのですが、ほとんどのユーザーがマスクや冷蔵庫に貼るシールしか当たらなかったということも発覚。本当は当選者がいるのかもしれませんが、ガチャの透明性がないということに不満が集まりました。

BiliBiliのトレーディングボックスはゲーム性でユーザーを惹きつけている面白いやり方ですが、コンシューマーゲームの心理につけこんでいると非難を集めています。まさにガチャゲームが炎上するのと同じ道をたどっている笑

BiliBiliの関係者が取材の時に明かした情報によると、この魔力赏事業は既にBiliBiliのECビジネスの80%の売り上げを占めていてBiliBili社内でも相当重要視された稼ぎ頭になっているとのこと。

ちなみに中国ではトレーディングボックスは特殊な商品として扱われていました。今までもさまざまな消費者トラブルが起きましたが、トレーディングボックスの性質や販売規則などについての法律や法規は今のところまだないです。

今年の1月、上海市市場監督管理局が「上海市トレーディングボックス経営活動のコンプライアンスガイダンス」を発表し、トレーディングボックス経営者は、商品の種類、ルール、それぞれの倍率と数量などについて十分な告知をする上、監督検査に備えるよう倍率の設定や抽選の結果、景品の配布状況など詳しい記録を残さなければならないいと指導が入りました。

また、トレーディングボックスで販売する商品は販売価格との対価が大きく離れてはならないとも。同じ経営者が販売するもので、公開販売価格は、トレーディングボックス販売の価格より安くしちゃいけないなど細かく要求されました。

そんな中登場したBiliBiliのトレーディングボックスの手法は色々勉強になります。ネットフリックスの株価暴落にも現れているように、世界的な外出自粛期間が終わろうとしていて、動画プラットフォームは落ち込みがあるかもしれません。

中国の動画サービスも多角的に収益を上げていくことが求められていて、特徴的なポジションにいるBiliBiliがどのようなビジネスを展開するのかはいつも気になります。今後も新しい情報がありましたらnoteで紹介しますので是非フォローしてお待ちくださいませ。

(参考資料)


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中国情報局@北京オフィス
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