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女性リーダーを育てよう!増やそう!

女性活躍推進の劣等生から脱せよ

女性活躍に関する国際調査の結果が発表されるたび、暗澹たる気持ちにさせられる。ほとんどの調査で日本は最下位近くを低空飛行し、それよりも低いのは宗教上の理由でランクがあがりにくい厳格なイスラム国家ばかりだ。日本は宗教上の理由でハンディがある国と同レベルで女性が活躍できない国なのだろうか。
多くの人々が持つ体感としてはそんなことはないだろう。それらの国と比べると、女性の教育水準も高く、消費をけん引し、就業率も高い。厳しいイスラム教では、女性は教育も制限され、好きな服装を楽しむことはできず、就業も歓迎されない。恋愛すら宗教関係のお見合いで決められ、結婚前の恋愛期間はご法度だ。
その昔、サウジアラビア西部の都市ジッダでは、女子寮が火事になったときに宗教警察が「女性が正装ではないのに外に出ることは許さない」として逃げ遅れて焼死してしまった事件もあった。

各種調査の詳細をみると、日本が低空飛行している理由は明白だ。政治と経済において女性リーダーが圧倒的に不足している。例えば、世界経済フォーラムの『グローバル・ジェンダーギャップ報告書』では、教育と健康の面では日本の評価はほぼ最高評価だ。労働参加率の男女比に関しても評価は高い。
そもそも、教育と健康は世界的に平均点が高く、高止まりしているとはいえ、日本の女性活躍推進の足を引っ張っているのが政治と経済であることは間違いない。実は、経済はグローバル平均を少し下回る程度なので、大きく順位を下げているのは政治の影響が大きい。

リーダーはどう育てるか?

日経新聞の記事で、OnBoard・CEO/元大津市長の越 直美氏が幼少期から女性にリーダー経験を積ませることを提案している。
この考えに大きく賛同したい。

以前、日本代表選手であったほか、日本代表監督などを歴任された平尾誠二氏にリーダーシップ調査でご協力いただいたとき、「リーダーの育て方」で語られた内容も同様だった。子供のころからリーダーとしての役割を与えると、はじめは頼りなくても、悪戦苦闘しながらも藻掻く中で成長し、立派なリーダーとなる。しかし、残念なことに、日本の現行の仕組みでは、リーダー経験を積むことができる機会は限定的で、しかも決まった人に集中的に与えられやすい。
決まった人とは、先生の評価が高かったり、うまくいった過去のリーダーや前例と似た人物だ。このやり方だと女性や外国人のような、これまでいなかった新しい特性をもった人物に機会が与えられることは少ない。

ポテンシャルを秘めた若い女性リーダーの卵を孵化させよう

教育現場にいると当たり前のように言われるのが、「女子学生のほうが、男子学生よりも優秀な子が多い」という教師の評価だ。小中高だけではなく、大学でも聞かれることが多いが、気が付くとサークルや部活動のリーダー、ゼミ長は男性が務めるケースが多くなってしまう。
1年生の時は非常に優秀で目立っていた女子学生が、学生自治会に入ると途端に男子学生の補助的な役割に収まってしまい、3年生くらいになると目立たなくなってしまうのもアルアルだ。

そもそも、男性優位な構造で固定化している組織で、女性がリーダーを務めることは簡単ではない。その役割につくまでに女性には男性の倍以上の労力が求められるし、ハンディキャップに負けないという個人的資質も必要になってくる。そのような状態で、女性リーダーの質と量の双方を担保することは現実的とは言い難い。
そこで推したいのが、女性起業家の支援だ。男性優位な既存組織を作り替えたり、そこで活躍する女性を育てるより、そもそも組織を新しく作ったほうが未来志向の取り組みといえるだろう。そもそも、日本の大きな組織は古く硬直的なものが多く、新しい組織による新陳代謝が少ないのも課題だ。女性起業家が増えることで、日本の新しい大組織は女性から生まれるという流れができると好ましい。

先日、大分市主催の学生ビジネスプランコンテストに審査員として参加させていただいた。30余りの応募の中から、最終選考に残った6チーム中の5チームが女子学生で構成されていた。しかも、2年連続で最優秀賞をとったのは女子高校生だ。大学生の応募もあるなかで、女子高校生が受賞するというのは、女性リーダーとしての潜在能力の高さを実感させられた。

彼女のような、女性起業家の卵を育て、女性リーダーとして活躍できるように支援することが、現代の大人たちが注力すべきことだ。

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