オンライン展示会は、withの関係で叶う

KATALOKooo(カタロクー)の翠川です。ブランドや作家さんと一緒にオンラインショップを中心に販路を広げる手伝いをしています。

自粛中の4・5月はオンラインショップがフル稼働。6・7月は、リアルな売り場での展開も5-6割ではあるものの戻りつつある状態で、ここに来てまた東京第二波…?という状況になってきました。この数ヶ月間出店者さんと会話する中で一番耳にしたのは、「展示会、どうしよう?」でした。

展示会と一言にいっても、大規模な合同展示会から中規模のグループ展、もしくは個別開催の展示会、BtoB向け、一般のお客様への販売会含むものまで様々。春に中途半端になった2020AW…最小規模に抑えざるを得ず涙をのんでいたブランドも多かったですが、さらに続く次の2021SSの会期が近づいてきました。合同展示会は軒並み中止の発表が出始め、個別開催の方々もこのままだと微妙、という雰囲気になっています(7月開催の方々はギリギリやってましたね)。地方から東京に出店するブランド、東京から地方へ巡回展をするブランド、バイイングする側にとっても、東京⇄日本各地のリスクを考えるとどうしよう、という声も聞きました。

この後どうなるのか、どうするのがベストか、答えは誰もわかりません。でも、これは「オンライン展示会」を開催せざるを得ないのではないか、と関係者なら誰でも考えていることだと思います。今日は、「どうなる、オンライン展示会?」をテーマに、気になるとピックをまとめ、簡単に考えを述べたいと思います。

Case1.益子Web陶器市

トピックとして一番最初に目立った現象化されたのは、益子Web陶器市の成功。

1966年から毎年開催していた陶器市が中止になるのは、史上初のこと。陶器などの一点ものはWebは難しい、作家に会えるのが陶器市の醍醐味、という意見はありつつ、今回は苦肉の策でオンライン開催。蓋を開けてみたら、リアルでいつも来ている顧客、さらには西からの注文も相次いだとのこと。中止が決定してから時間がなかったこともあり、規模はリアルよりかなり縮小したとはいえ、瞬間的なアクセスは大きく何より出品した作家にとっては、売上は大きなものとなったでしょう。これはコロナ禍に対する緊急対応でしたが、今後に大きな影響を与えた影響だったと感じています。

ポイント①
・一点ものとか作家ものは絶対手に取らないと(オンラインでは)無理ということもない
・実物を手に取ったことがある、ここにラインナップしているなら大丈夫、というのはかなり頼りになる
・オンラインも開催することで、顧客の幅が広がる

Case2.Smart Sensing 2020

続いては、通常であればビッグサイトで開催する展示会を、オンラインで5月に開催された『Smart Sensing 2020』。

―オンラインでの商談はうまくいったのでしょうか。
「事務局の管理者サイトから推測すると、来場者から問い合わせがあった中の約20%が実質的な商談につながったと考えられます。来場者には会社名や部署・役職名などの属性情報を出展社側に伝えるマッチングの許可をとったため、出展社側は来場登録をした人の企業情報を把握できます。これは営業の手がかりになります。来場者側にしても、通常の展示会のブースでは誰が説明をしているのかすぐにはわかりませんが、オンラインだと目当ての会社の担当者に直接コンタクトできるため、スムーズに商談が始まったというケースもあったそうです」
―逆にオンライン展示会で困難を感じたことは?
「オンライン展示会では、来場者がより積極的に展示者側とコンタクトをとってもらわないとコミュニケーションが進まないという問題もあります。リアルな展示会では、ブースの前に立っている人の表情から、説明員が『この人は興味がありそうだ』と感じて、声をかけて会話が始まったりしますが、こうしたプロセスをオンラインで再現するのは難しい。展示会では特定の目的がなくふらりと立ち寄ったブースでの出会いがありますが、これをオンラインでどう実現するかという課題が見えてきました」

商材はセンサーなど電子機器ですが、上記のオンライン展示会における気づきはかなり参考になります。

ポイント②
・セミナーなど、オンラインだと人数制限がなく結果視聴人数が増える
・オンラインで来場者のデータが予め取れるとマッチング効率がよい
・動画での案内時、最初から最後まで視聴している確率やどこで離脱しているかなどがわかる

Case3.合同展示会「大日本市」

中川政七商店が中心となって開催している合同展示会「大日本市」も、オンライン展示会を開催していました。

お取引のある顧客優先での、ZOOMでオンライン展示会を開催。工芸メーカーならではの生中継で「お店で話したくなる」ような体験をしてもらおう!というのが意図。工芸メーカーも動画配信などはまったくの未経験。練習会など行ってから実施。地方のメーカーは全国の小売店の方と商談する機会がオンライン商談が当たり前になると、チャンスが増えていくことにもつながります。。

ポイント③
・地方のメーカーは出店しやすくなる
・展示会場よりも自由に調理や実演ができる
・産地からの中継で、よりリアルな姿を伝えられる

Case4.バイヤー側からの視点

手前味噌ですが、今月から始めたKATALOKoooのライブ配信 "KATALOKooo TV" の初回、自由が丘カタカナ店主の河野さんとも、そんな話をしました(よかったらチャンネル登録お願いします笑)

動画の中で河野さんとはこの数ヶ月の話をしていたのですが、オンライン展示会に関しても、そういう意識を持たざるを得ないという話になりました。

ポイント④
・やはり実物を見たい。一部サンプルを送って残りはオンラインはあり
・動画での案内にはリアルでスルーしていたものを改めて一覧できるかも
・バイヤー側も実はリテラシーが高くない

特に3番目、これは、私としてはチャンス!出番!と思ったところです笑。

以上、事例からまとめてみました。ここにあげた事例以外にも、いろいろな企業・団体がトライ(&エラー)しているのを見て、最後に今私が個人的に感じた点も追加しておきます。

1.「オンラインだから、全員に向けて」はNG

オンラインだからD2C(バイヤーも顧客も兼ねて)という発想だと、失敗を呼ぶと思います。オンライン展示会も、ターゲットは明確に。
顧客向けとバイヤー向けでは、案内する内容が変わってくるはずです。そこを兼ねてしまえ!というのはIT業界の乱暴な気がしてなりません。バイヤー向けにはバイヤー向け、顧客向けには顧客向けに、意識してコンテンツを用意するべきです。

2.ツールは使い分けるべき

オンラインで商談&接客をするとき、zoomで公開する必要ってあるでしょうか?相互のやり取りができる点が利点ではあるのですが、声の大きさで調節する…ということが出来ないオンライン上のやりとりでは、情報が筒抜けになってしまうところがどうしても気になりました。

・情報を伝える際は動画
・商談はzoomで相互コミュニケーション(公開なし)
・顧客向けにはコメントを見ながらライブ配信

など、ツールを使い分けることは必須でしょう。

3.オンラインとリアル(オフライン)の関係はwith

私は、オンラインとリアル(オフライン)の理想の関係性は、orではなく、andでもなく、withだと思っています。上記に挙げてきた様々な条件において、オンラインはリアルに代わるものではなく、選択肢として増えるわけではなく、わかりやすくするために寄り添うべきだと思うのです。

例えば、リアルの展示会の設営時に、動画コンテンツを撮る。その動画の、何分から何分でこれを見せていますよ、という案内と一緒に展示会の案内を送る。サイトで全ての情報が確認でき、やはり触りたい!というバイヤーに、展示会に来てもらう。今までのやり方を、もっと簡単に、わかりやすくするのが、オンラインの役目だと考えています。

コロナ禍で、「密なコミュニケーションをリアルに取る時間を出来るだけ減らす」ということは急なミッションになりました。お客様にオンラインで全てを案内し最終確認だけリアルでしてもらう、が重要な今、バイヤーにも同じことがしばらくは言えるでしょう。

また、その、「オンラインで全てをいつでも確認できるように整え、リアルで重要ポイントだけ確認する」というのは、今後お互いにとってとても便利に、わかりやすく、良いものを伝えていくことを簡単にする手立てだと思います。

4.関係性を見せる時代が来た

最後に、これまでは展示会をはじめそのブランドが表現するすべての場面での世界観が重要視されて久しいですが、その部分に変革があったと感じています。それは、関係性を重視する風潮です。

特に、YouTubeをはじめとした動画コンテンツは、「関係性にファンがつく」という事象が起きていることを感じます。これは、これまで画像における世界観、展示会における世界観、サイトにおける世界観、に続く事象だと強く感じます。つくり手とプロダクトの関係性、つくり手と周りの人の関係性が、これまで以上にフォーカスされ評価されていく時代が来たと思います。

動画では、特にこの関係性という要素が浮き彫りになることを意識していくフェーズに入っているのではないでしょうか。

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以上、KATALOKoooはKATALOKoooを利用している方達にに適した形の、オンライン展示会を展開していきたい所存です。出店者の方々、早々に連絡しますので、期待してお待ちください…!

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