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不足しているのは、「データサイエンティスト」よりも、「データを使った論理的な議論」では?

日本の企業は人手不足らしい

 日本は、景気が良くなってきたのか、さまざまなデータで、好景気に近いデータを目にすることが増えた。

例えば、日本の企業は、大企業を中心に、賃上げも進んだ。そして好景気と、デジタルトランスフォーメーション(DX)や、デジタル化を進めるために、企業の人材確保熱が高くなっている。

 この社長100人アンケートでも、

人手が足りていないと感じる経営者は107人と、回答のあった経営者の8割を超えた。

https://www.nikkei.com/telling/DGXZTS00005360Q3A630C2000000/

と人手不足を訴える経営者が多い。そして、

データサイエンティストなど高度専門分野のITエンジニアが足りないとの回答が79人と最も多く、回答者の7割を超えた。

https://www.nikkei.com/telling/DGXZTS00005360Q3A630C2000000/

データサイエンティストの不足が、多くの経営者の課題のようである。

そこで、質問です。「あなたの会社は、普段から、データに基づいた論理的な議論を行っていますか?

会社の役員会議室で、データを見れる会社と見れない会社

 この間、とてもショックなことがあった。社会人大学院で講義をしていた時に、私の最初の役員プレゼンテーションで、「OHP」を使った経験を話したら、半数程度の方が「OHP?」と、なったのである。

 さすがに、最近はOHPを使わずに、プロジェクターや、大型ディスプレイを使って、役員にプレゼンテーションをするのが、一般的だが、そのプロジェクター、十分に活用できているのだろうか?

 このP&Gではデータ分析のプロ「ビジネスアナリスト」が躍動の写真を拡大してみてもらいたい。P&Gでは、「Business Sphere(ビジネス・スフェア)」という言葉のもとに、データの可視化、リアルタイム化を追求してきた。そして、役員会議室で、必要なデータに、役員自らアクセスできるようにしている。つまり、プロジェクターやスクリーンは、部下のプレゼンテーションでも使うし、役員自ら経営に関するデータを確認するために使っている。
 この取り組みには、2つの意味がある。

  • データを会社の関係者がいつでもアクセス可能になっている

  • リアルタイムにデータを確認できるようになっている

別な言い方をすれば、データを、社内の共通言語にし、データを常に気にして、経営、事業を行っているのである。
 このような取り組みを行っている日本の企業も少ないかもしれないが、あるだろう。つまり、現時点で、日本の会社の役員会議室で、「データを見れる会社」と「見れない会社」が存在している。どちらが、経営上、有利なのかは、明確だろう。そして、この2つの違いは、データ活用度の大きな差につながる。

データサイエンティストの雇用の前に、会社のデータ活用度を向上する

 確かに、今後企業に、データサイエンティストを雇用するのは、重要なテーマである。しかし、その前にすべきことは、「会社のデータ活用度の向上」である。
 たとえば、経営会議でデータを使った議論を促進する。それだけでも、多くの壁にぶつかる。会議の参加者に、少なからずデータを信用したくない人がいることが、最初の壁である。本来は、データを信用するか、しないかではなく、目の前のデータから、ビジネスのアイディアが浮かぶかが重要なことである。しかし、経営者の中には、会社の状況を判断することが得意であり、新しいアイディアを出すことが得意でない方もいる。実は、会社のデータ活用度を向上させるために、私達ビジネス・パーソンのスキル向上と、マインドの変化も重要なのである。

 すでに、多くの企業が、データと向き合うために、さまざまな経験をしている。その経験が早いほど、成功に近づく。その成功体験と、データサイエンティストの雇用が、同時に進まないと、経営者が考えている、データサイエンティストの雇用の先の、成果に結びつかないのではないだろうか。
 データサイエンティストの雇用は、次の4月に次のピークが来る。それまで、何もしないのではなく、会社の中の、データの活用度を、例えば会議室の環境の向上や、社員・役員がデータにアクセスし易すくすること、取り組んでみてはどうだろうか?



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