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既定路線が崩れる可能性も!

2022年第4四半期のユーロ圏のGDP成長率は前期比+0.1%増となり、▲0.1%減を見込んでいたコンセンサス予想を上回った。絶対的にみると、ユーロ圏経済は依然として弱いものの、引き続き、エネルギー・ショックに対する予想以上の底堅さをみせている。

これらを受けて、2月のECBが50bpの利上げを決定したのもサプライズはなかった。今後の金融政策については、コアインフレ率次第である。インフレ統計が出るまではECBの姿勢が大きく変化すると考えることは難しいため、今のところ3月も50bpの再利上げが行われ、5月の25bpの利上げを経て、政策金利が最終的な着地点である3.25%に到達すると見ている。

とはいえ、2023年の経済成長に対して、過度に楽観的になることには慎重である必要があるかもしれない。理由を三つ指摘する。第一に、各国の経済状況にはかなりのばらつきがあることだ。スペイン(前期比+0.2%増)とフランス(同+0.1%増)は辛うじてプラス成長となったが、ドイツ(同▲0.2%減)とイタリア(同▲0.1%減)はマイナス成長を回避することができず、ユーロ圏4大国全体でみると、GDP成長率は前期比±0%。また、アイルランドが前期比+3.5%増と力強い成長をみせたことにより、ユーロ圏全体の成長率は0.14ポイント押し上げられたと推計される。アイルランドを除いたユーロ圏の成長率は前期比▲0.05%減であり、本当に強いと言えるのか、判断は微妙。第二に、エネルギー価格は今後も以前より大幅に高い水準で推移する可能性が高いこと。第三に、大規模な金融引き締めの影響がこれから時間差で広がることになるであろうこと。実際に、31日に発表されたECBの2022年銀行貸出調査(BLS)の結果は家計と企業双方の信用環境の逼迫がさらに大きく進んでいることを示すものとなっている。信用環境は時間差を置いて、実体経済に影響を与える傾向にあるため、ECBによる金融引き締めの影響は時間と共に強まることになる。

以上より、2022年第4四半期のGDP統計はユーロ圏経済がテクニカル・リセッションを回避できる可能性が高くなったことを示すものの、ユーロ圏経済に対する全体的な見方を急激に変えるものにはなっていないと考えられる。BLSの結果はハト派にかなりの反論の余地を与えることは確かであり、場合によっては3月50bpの利上げという既定路線が既定路線でなくなる可能性はある、ということだ。

景気動向とインフレ率、まだこの二つを追う時間帯が続く、ということだけは確かだ。


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