社員が社長になった話…から、社員の成長機会というものを考えてみた。
先月、弊社ローンディールの社員、村上さんが会社をつくり、社長になりました。
もともと彼女はアートに興味があって、対話型鑑賞の技法を学んだり、オリジナルのワークショップを作ったりして個人の趣味の範囲で活動をしていました。そのワークショップを社内でやったりもしてきたのですが、今後どうやって活動していこうかという相談を受け、「自分で会社つくってみたら?」という話になったのがきっかけです。
そして、ついに起業!
(これ、めちゃくちゃ嬉しかったんですよね。背中を押せるって、いいですよね。)
といっても、村上さんとローンディールという会社との関わり方に大きな変化はないんです。うちの会社での稼働時間は以前から120時間程度で、そこは変わらずにやってもらいながら、副業のバランスを調整することによって経営していく予定なのです。
そもそもローンディールという会社は20人ちょっとの会社なのですが、そのうち7割くらいが時短社員、さらに同じくらいの社員が副業もしている組織です。
一方で、組織として人の流動性が低くて(創業9年で社員の退社は1名のみ)、はじめはあまりに離職率が低すぎるのも問題ではないかと思っていました。(うちの会社、「日本的な人材の流動化」というのを標榜しているんですけれども笑)
でも、流動性が低いことによって何かが澱んでいるということは起こらないので、結論として今は問題ないと思っています。
なぜ流動性が低いのに組織が澱まないかというと、副業比率からもわかるように、常にほとんどの人が社外に対して目を向けて活動しているから、です。副業ではなくても社外のコミュニティに属していたり、自分のプロジェクトを持っていたりする。つまり、社員一人ひとりが、それぞれの時間の中で流動性を担保している、と言えるかもしれません。
そうすると、いろいろ変わったことが起きます。たとえば1on1をして「これからの自分の成長をどう考える?どんな挑戦をしたい?」みたいなテーマに私が水を向けても、「今はローンディールでは現状維持でいいです。副業先でストレッチした経験をしてるんで・・・」なんて言われたりするんですよね。
正直、最初は面食らいました。現状維持でいいなんて会話、受け入れていいんだっけ?って。でも、そうじゃなかったんです。結果的に、外で経験したことが跳ね返って、社内の仕事でも新しい発想が生まれたりするんです。
考えてみれば当たり前の話ですが、その人、一人ひとりに最適な成長機会というのが、常に社内にあるわけないですよね。頑張ってつくろうとしたって無理なこともある。でも、無理して取り繕わなくても、外で成長機会が見つけてきてくれることもある。これって理想的だな、と思っています。
成長機会をつくらなくちゃ・・・これは人材育成をする側も実際に会社に属している側も気になるところです。「社員の成長機会を、社内で担保しなきゃいけない」と考えるのがこれまでは当たり前だった。社員の側も、会社が育ててくれて当たり前と思っていたかもしれません。
でも、会社が社員に必要な機会を全て与えられると考えるなんておこがましい話だし、個人もそれに依存していていいはずない。そういうところまで来ているような気がします。
シンプルに、その人の成長っていうことを目的に考えたら、社外にもたくさん機会がある。その人の成長を考えるなら、社内にある機会を探すのは当然のこととして、さらに社外にある機会も一緒に考えてみる。そうしたら、見えていなかった選択肢が見つかるかもしれない。
そしてそれは、きっと所属している会社にも返ってくる。だって、その人が成長するから。(ただし、それを発揮してもらうためには、経験を共有してもらって、その成長を見逃さないように努力していくことは必要ですね。)
こんな発想に切り替えていくと、いくらでも社員に成長機会を提供できますよね。もちろん、社内の機会がはまって、伸び盛りに伸びていく人もいる。それはとても嬉しい。一方で、起業も副業も、成長のための手段、選択肢になりえる。だから、いくらでも、やりようがあるんですよね。
・・・と、そんなことを思った、「社員が社長になった話」でした。
ということで、起業した村上さんがやっているワークショップも、朝の時間を使ってアートに触れてみるという社外の機会です。ご興味あればぜひ覗いてみてください。
それでは。