「将来の夢は?」という呪詛に似たなにか
電脳コラムニストの村上です。いよいよ大晦日、今年もおつかれさまでした!
明日は元旦ということで、新年の誓いを立てるぞ!という方も多いでしょう。わたしも誓いというほどではありませんが、毎年プライベートな目標を3つ立てるということを習慣にしています。今年の達成状況は、△○○という感じで、合格ラインは越えたかなという着地でした。
■ 夢を持つことはよいことだというすり込み
みなさんも小学校や中学校で、必ず作文を書かされたと思います。「さぁ、将来の夢について書いてみましょう!」というヤツ。ひどいときには、卒業文集になります。なにか悪いことをして捕まったりすると、どこからか探し出されて全国に紹介されてしまうという(あれ、謎文化ですよね)。
なぜこんなことを書いているかというと、ちょっと前にTwitterでバズっていた岡崎体育さんのブログを読んだからです。
これを読んで「何かを成し遂げる人はやはり違うなー。すごいなー」と感じたわけで。起業家の人にも言えると思いますが、明確な夢やビジョンを持って邁進している人は眩しいですね。
小学生から社会人にいたるまで、この「夢を持つのは素晴らしい!」ということが深く信じられている気がします。逆にいうと「夢がないなんて、なにかおかしいんじゃないか。半人前だから?」などというプレッシャーに苛まれることも。こじらせると自分探しの旅に出たり、さすらいの日々を送ってしまうこともあるようです。就活の面接においても「あなたの夢はなんですか?」というのは定番の質問。それに対する「模範解答」のようなものが出回っているくらい、みなさん回答に窮しているのだと思います。
■ 自分の夢はなんだったのか
わたしもご多分に漏れず、小中学校時代に作文を書かされました。そのときは「将来の夢というのは、夢の職業を書けばいい」という教えを受け、「パイロット」と書いていました。理由は単純で、空を飛ぶものを運転したい。ただ、それだけです。しかし、これがなんと大学卒業まで続くことになります。
何がなんでもパイロットになりたかったわけではありません。こどもの単純な発想で、こう書くものだよと教えられたことをなぞり、ぽっと出てきたもの。これがなぜか心の奥にこびりつき、大学選定の際には「防衛大にいってパイロットという選択肢もあるな。志望校にいれなくては」となり、就活の際には「自社養成パイロットは受けなくては」と思い、実際に真っ先にJALを志望しました(4次面接あたりで落ちましたが)。今でも飛行機は好きなのですが、当時も絶対叶えるべき夢というほどの熱量はなかったわけです。ですが、人生の節目において必ず浮かび上がってきてしまう。なぜかというと「その昔、お前は夢と言ったじゃないか」という暗示、ないしは呪詛に囚われていたのだと思います。
■ 夢=職業だった時代
ここで言えることは、これまでの時代は「夢=職業」だったんだなと。終身雇用が保証されている世の中では、どの会社に入るか?どの職に就くか?が人生の成功のためには不可欠だった。そうすれば、定年までの人生計画がある程度の確度で予想ができたわけです。たしかにそう考えれば、学校でまず夢の職業を想像させるのは理にかなう教育だったと思います。
現在はどうでしょう? 不確実性の高い世の中において、数年後ですら予想ができないという方も多いのではないでしょうか。このような状況でどうキャリアを積めばよいのかというヒントが、以下の記事にありました。
5年後、10年後に向けた計画がそのまま実行できた時代には、地上から特定の星を目指して突き進むような“望遠鏡型”のキャリア展開が可能であったし、推奨されていた。
しかし、今は“万華鏡型”のキャリア展開をイメージしたほうがいいと言われている。つまり、遠くの星を追いかけるのではなく、目の前に見える一つの模様が起点となって、水平方向に広がっていくキャリアである。
万華鏡の模様は見方を変えるだけで形を変え、隣の模様同士が合わさって、また新たな模様を形成していくアート。偶然の出会いが思わぬチャンスを生んで、ボランティアや複業といった社外活動が本業とのシナジーを生む過程と、とても似ている。
■ 夢ではなく目標を持とう
仕事柄、人のキャリア相談に乗る機会も多いのですが、話を聞いていると夢と目標をごっちゃにしているパターンが多いです。漠然とした目標、ビッグだけれど「世界平和!」くらいの夢。どちらも日々の行動につながるとは思えません。
「夢は叶えるもので、目標は達成するもの」という言葉があります。「夢」はいつか実現できればいいなーという程度の「理想」。「目標」は進捗がわかり、必ず達成するもの。そう考えれば、まずは身近な目標を立てて、必ず達成する!というのが良さそうです。
明日は1年のスタート。より良い年にするために、みなさんも「私的な小さな目標を3つ」掲げてみてはいかがでしょうか? それでは、良いお年を!
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タイトル画像提供: adam121 / PIXTA(ピクスタ)
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