AIとの協働。その鍵は人間だからこそ生み出せる「寄り道」にあり。
「AIに奪われない仕事とは?」
このテーマは以前から良く耳にします。そもそもAI側と人間側で仕事を"奪い合う"という考え方自体に疑問がありますが、AIという概念が随分と浸透し、日常においても触れる機会が増えている今、日経電子版のご意見募集でもお題となっていたので、一度整理してみたいと思います。
AIって?
既に浸透しているAIですが改めて定義を確認したいと思います。
AIはartificial intelligenceの略であり、日本語では人工知能と表現されています。
こちらの説明にある通り、コンピューター上で人間と同様の知能を実現したAIの技術は、既に自動運転や翻訳、様々な家電製品に活用されています。
AIの活用の幅、能力は日々向上しており、人間の能力を超える日が2045年に来ると言われています。そのことをシンギュラリティ(技術的特異点)とも言います。
AIの進化、さらにはシンギュラリティなどの議論を経て、人間の仕事は一部AIに"奪われている"という声が出ているのです。
AIは仕事を奪うのか?
上述した通り、AIの進化により仕事が"奪われている"、"これから更に奪われていく"と言われていますが、果たしてAIは人間の仕事を奪っているのでしょうか。確かに、これまで人間がやっていた仕事を効率的にコンピューターがこなすことで、その仕事をやっていた人は一時的には仕事が"奪われている"状態になるでしょう。一方でAIが仕事をこなしてくれることで、それまでその仕事に使っていた時間が使えるようになります。人間はその時間をうまく活用することで新たな発明やプロジェクトに取り組むことが出来ます。
Peatixではチームメンバーとシステムのバランスに関して1つの考えを持っています。一番最初のうまくいくか分からないチャレンジに関してはマニュアルでチームメンバー、人間がトライします。そのトライを通じて、その取り組みがスケールする、ビジネスにちゃんと繋がっていくことが分かるタイミングで、リソース的にも運用が厳しくなります。そうなった時に、その取り組みのオートメーション化を考え、コンピューターに任せられる部分を開発、実装していきます。そうしてマニュアルで対応していた動きをコンピューターに任せることで生まれた時間を活用し、チームメンバーが新たなプロジェクトや新サービスの開発に取り組むのです。
このように、人間とコンピューターの役割分担をはっきりすることにより、コンピューター・AIが必ずしも人間の仕事を奪うわけではないと思うのです。人間・AIそれぞれがお互いが得意とする領域を考え動くことで「奪う」「奪われる」という関係ではなくなるのではないでしょうか。
人間ならではの仕事とは
人間とAIの共存、協働は存在するという前提の元で、人間ならではの仕事にはどのようなものがあるかを考えてみたいと思います。
私が関わりの深い「コミュニティマネージャー」の仕事はAIよりも人間が担当した方が良い職種だと考えています。
コミュニティマネージャーの仕事は大きく2つあります。
コミュニティマネージャーの大切な仕事の中にビジョンを決めることがあります。これはコミュニティの要であり、意思決定のよりどころとなる方向性、旗印を策定する大きな役割です。その中でコミュニティメンバーの思い、考えを把握することも大切です。
コミュニティメンバーがどのような思いを持っているかは、表情を読み取ることで把握することも重要であり、その部分はコミュニティマネージャー(人間)だからこそ掴むことが出来ることだとも思います。
またコミュニティマネージャーのもう一つの大切な仕事が、コミュニティのカルチャーをつ くることです。場の雰囲気に気を配りながら、参加者が居心地よく感じる状態に調整していきます。この「場」の空気づくりも人間だからこそ出来る仕事だと考えています。
人間ならではの"寄り道"の意味
AIは効率的に最短で目的を遂行します。効率性や時間などを考えた時にAIに任せるべき仕事は多くあるでしょう。一方で「寄り道」は目的志向が強いAIには不得意な分野だと考えられます。
この「寄り道」は新たな発見、出会いを生み出します。目的志向の追求から少し外れたところにある一見非効率に思えるチャレンジや余白にこそ、新しいチャンス、多くの可能性があると考えています。
この寄り道があることが意味を持つ仕事こそがAIではなく人間がなすべき仕事なのではないでしょうか。
まとめ
「AIに奪われない仕事とは?」
という問いに対して考えてきました。一つの解としては人間とAIは仕事を奪う、奪われるという関係ではなく、補完し合う関係であると考えると、新しい発見・技術を生み出すための余白を作ります。
そしてあえて「AIに奪われない仕事とは?」という問いに答えるとそれは「寄り道をすること」であると思います。
多くの可能性を持つ「寄り道」について再度考えていただけたらと思います。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?