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深刻化する原油高の影響

原油先物が急伸、ブレント107ドル台 7年8カ月ぶり高値: 日本経済新聞 (nikkei.com)

今後ウクライナ情勢が早期に落ち着き、今後の原油先物価格が平均80ドル/バレル程度に落ち着くと仮定すれば、今年から来年にかけての家計負担額は年+2.5万円程度にとどまると計算されます。しかし今年後半の原油価格が平均90もしくは100ドル程度で推移すれば、今年から来年にかけての家計負担をそれぞれ年+3.0万円、+3.5万円も増加させる計算になります。足元の原油高が持続すれば、家計に無視できない悪影響を及ぼすといえるでしょう。

まず、原油高が企業活動に及ぼす影響として、ガソリン価格の上昇があります。事実、レギュラーガソリンの全国平均価格は13年ぶりの高値となっています。原油価格の上昇で反応するのがガソリンや軽油、灯油の価格です。また、原油先物価格が上がれば、化石燃料から作られる電気やガス料金も3~5カ月のタイムラグを伴って値上がりします。

さらに、原油価格の上昇は船の燃料となる重油やビニールハウスの温度調節に使われる業務用ガソリンなどに影響するため、第1次産業にとっては負担増となり、場合によっては収穫された魚や野菜、果物などの値上がりにも結び付く可能性があります。

他方、世界的にガソリン価格が上がれば、その代替エネルギーとなるバイオ燃料の需要が増えます。このため、バイオ燃料の原料となる穀物の値段も上がります。例えば小麦の価格が上がれば麺やパン、菓子類に影響がでるほか、大豆であれば大豆製品や調味料、トウモロコシなら家畜のえさを通じて肉や乳製品の値上がりも誘発されるでしょう。

そして、足元の原油価格と過去の交易利得(損失)との関係に基づき、今後の原油先物価格が平均80ドル/バレル程度に落ち着くと仮定すれば、22年度は▲1.6兆円程度の所得の海外流出にとどまると計算されます。しかし、今後の原油価格が平均90もしくは100ドル/バレル程度で推移することになると、22年度はそれぞれ▲3.1兆円、▲4.6兆円もの所得の海外流出が生じることになります。これは、原油価格が足元の100ドル/バレル台の水準で推移すれば、消費税率+1.6%ポイント引き上げと同程度の負担増が生じることを意味します。

このように、資源価格が上昇すれば、資源の海外依存度が高い日本経済が資源価格上昇の悪影響を相対的に受けやすく、日本経済は構造的に苦境に立たされやすい環境にあります。こうした中、特に足元の個人消費に関しては、行動制限が課される一方で、厳しい所得環境や相次ぐ値上げの影響等により消費者心理が急激に悪化しています。こうしたことからも、今後の個人消費の動向を見通す上では、原油価格の高騰を通じた負担増が遅れて顕在化してくることにも注意が必要でしょう。

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