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伝わる企画書には「見えないルール」がある。

2019年に書いたこの記事。同メディアで年間3位のPV数となった。

12年間、ほぼ毎日企画書を書きながら改善してきたことには意味があったのかもしれない。

そこで今日は書ききれなかった企画書のテクニックをいくつかご紹介しよう。

■なんとなくはノイズ。すべての演出に意思を持たせる。

企画書は論旨演出でできている。冒頭の記事では主に論旨のつくり方について書いた。

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今日は「演出」について考えていく。企画書で演出と言うと、スライドマスタやアニメーションを想像する人が多いだろうが、ここではフォント文字サイズレイアウトを指す。

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これらで大切なのはすべてに意思を込めること。

例えば

「なぜそのフォントを選んだのですか?」

自分がつくった企画書にこんな質問が来たら答えられるだろうか?

「なんとなく」

と回答してしまう人は多い。

このなんとなくが危険だ。
企画書をつくる時、なんとなく決めた演出は後にノイズとなり、企画書の骨子を見えにくくさせる

・なぜそのフォントを選んだのか?
・なぜその色をつかったのか?
・なぜその文字サイズにしたのか?
・なぜそのレイアウトにしたのか?

演出すべてに明確な意思を込める。さもないとノイズだらけで何を言ってるかよくわからない企画書になってしまう。

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■フォントは「どう読んでほしいか?」の意思表明

まずはフォントから考える。
フォントはデザインの一部。つまり右脳に語りかけるツールだ。同じ文章でも手書きフォントと教科書体では大きく印象が異なるだろう。

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つまりフォントを決める、とはどう見られたいかを決めることだ。

そこには内容との関係性がある。

・堅い内容を、堅い印象で伝えたい
・堅い内容を、カジュアルな印象で伝えたい
・カジュアルな内容を、堅い印象で伝えたい
・カジュアルな内容を、カジュアルな印象で伝えたい

など、内容と印象の2軸で整理して最適なフォントを選択する必要がある。

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フォントに意思を込めるだけでも、企画の意図は伝わり易くなる。

■色とサイズで情報の上位30%を決める。

次に色や文字サイズについて。ここで重要なのが「ルール設定」だ。
自由につくるのではなく、使える色や文字サイズに制限を設けることで企画書は断然伝わり易くなる。

例えば僕は色について、こんなルールを設定している。

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すべての企画書には熱い想いが込められている。だからと言って、すべての文字を赤文字で書かれたらどうだろう?

例えばこんな感じ。

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なんだか押し付けがましいし、企画書の中でも最も重要なのはどこなのか?がわかり難くなってしまう。

そこで色というツールを使って情報の優先順位を設定する。

企画書の情報量を100%として、伝えたい優先順位の上位1〜10%を赤11〜30%を青と設定してみる。このルールがあることで、自分の中の頭の中を整理した状態で企画書をつくることができる。

すると相手にとっても、この企画書で最も重要なのはどこなのか?
逆に言えば、この企画書ではどこを読み飛ばしても成立するのか?が伝わる。

ルール1つで企画書の精度は上がる。

■色×サイズで情報の解像度を上げる

色のルールに加えることで、さらに精度を上げられるのが文字サイズのルールだ。

僕が設けている文字サイズのルールはこんな感じ。

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文字に色をつけたくなるのと同じで、伝えたい文字情報は大きくなりがち。

そこでまず文字サイズに基準をつくる。投影する資料の場合、20ポイントが基準とされている。紙資料なら10.5ポイントだが、個人的には12ポイントを推奨している(10.5ポイントは老眼の方に読えにくい)。

文字を大きくしたいと思った時は、まず立ち止まって考える。
考えるべきは2つ。

1.全体の大半を締めるべき基準から外れるほど大切な情報なのか?
2.大きくするとしたら、どの程度大きくするべき情報なのか?

特に機能するのが「文字サイズは3〜5種類以内」というルールだ。

このルールによって基準(20ポイント)よりは少し強調したいから24ポイントなど中途半端な強調はNGとする。基準のままか、一気に32ポイントまで強調するかの強制二択をつくることで情報の取捨選択精度が格段に上がる。

これは同時に20ポイントと24ポイントという微妙な文字サイズの差による視覚的な情報ノイズを回避する効果もある。

読みやすい企画書には、こういった見えないルールがあるものだ。

■センタリングを多用するとポエムになる。

最後はちょっとしたコツ、レイアウトについて。

これは無意識にやっている人がほとんどだと思うが、レイアウトにも見えないルールがある。僕の場合はこう。

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これまでのルールにレイアウトのルールを加えたのが上のスライド。

重要なのは通常の説明は左揃えというルール。読みにくい企画書でよく見かけるのはすべてセンター揃えになっている企画書だ。

例えば、先ほどのスライドをセンター揃えにするとこうなる。

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やはり強調したい部分がわかりにくくなる。

と言うのも、通常文章は左揃えで書かれる。すべてセンター揃えで書かれるのは詩くらいだ。つまりいくら強調したいとはいえ、すべてセンター揃えにするとビジネス文章と言うよりポエムっぽくなってしまう

ここぞと言う時に使うのはありだが、多用するのはオススメしない。

■熱量があるから、テクニックが育つ。

最後に元も子もない話を。

僕は12年間もかけて、こんな小さなテクニックをいくつも磨いてきた。その根底にあるのは「伝えたい」という熱量だ。

冒頭の記事にも書いたが、伝えたいという熱量があるほどテクニックは進化する。伝わらなかった時の悔しさがあってはじめて、「どうすれば伝わるだろう?」という工夫が生まれるからだ。

今日お伝えしたのは小手先のテクニックかもしれないが、そもそも熱量のない企画書がテクニックだけでよくなることはない。

逆に言えば、熱量のある企画書がテクニック不足で伝わらないことほど残念なこともない。

僕の育てたテクニックが、誰かの熱量を伝える役に立てればうれしい。


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