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オフィスの間取りが重要なように、「オンラインの間取り」も重要だ

先日noteに投稿した『日報が盛り上がるって、どういうこと?!』には、ありがたいことに多くの反響をいただいた。そのなかでも特に反応が多かったのが、なんと一番最後に書いた以下の一節だ。

オフィスデザインは職場の人間関係ひいては組織のあり方を左右する重要なものだ。それと同じように、家は住む人に合わない間取りだと、人間関係が悪化すると聞く。オンラインのコミュニケーションツールも同様といえる。

「オフィスデザイン、リアルの重要性はわかる。しかし、社内文化を醸成するためには、どのようなコミュニケーション設計をすればいいのか?」そんな相談に応じる機会は、以前からもいただく。今回は、われわれオシロ社が実践しているオフィスづくりとそのこだわりにも触れつつ、オンラインを含めた社内コミュニケーションで心がけていることについて紹介していきたい。

オフィス・コンセプトは「よりクリエイティブに」

オシロ社がオフィスを構えるヒューリック青山第二ビルの外観。
この有機的なフォルムと不規則な窓をたたえた外観がとても美しい。

2024年8月、第37回「日経ニューオフィス賞」が発表された。入賞した企業には日本を代表する大企業が並ぶ。そのなかでもオフィスの快適性や機能性を重視している企業は、社員を大切にする気持ちがあるに違いない。

本賞の入賞企業のほかにも、オフィスを重要視し巨額の費用を投じる企業は多い。実際、経営者として、オフィスは一番重要な場所であると実感しているし、そこに1mmの疑いもない。われわれオシロ社はまだまだ小さなスタートアップだが、オフィスづくりには強いこだわりと創意工夫を重ねてきた

オシロ社は2023年8月にオフィスを移転した。その際、物件選びの段階から、ぼくは並々ならぬこだわりがあった。結果、「移転するならあそこがいい!」とずっと思い焦がれていたヒューリック青山第二ビル(旧称:SIA青山ビル)を契約することができた。

なぜ、ピンポイントでこの建物がよかったかというと、なんといっても建築が素晴らしいのだ。この建物を設計したのは、建築家の青木淳さん。天井高5m、変則的な5角形をしていて、ワンフロアで柱がなく、不規則に並んだ窓はまさにクリエイティビティと遊び心で溢れている。2008年にグッドデザイン賞を獲得したのも頷ける、すばらしい建築なのだ。

そんなすばらしい建築だからなんとしてもすばらしい空間にしたかった。なので、オフィス設計にはぼくが全力で全面的に関与している。

現在のオシロ社のオフィス。奥に軒を連ねるのがオシロ社の会議室「タイニーハウス」だ。

現在のオシロ社のオフィス・コンセプトは「よりクリエイティブに」。こだわりポイントがたくさんありすぎて、ここでは書ききれないが、一例を上げると...

まず5メートルの天井高がクリエイティビティを高める。これは「カテドラル効果」という。天井高を活かして会議室を「タイニーハウス」でこしらえた。まさに苦肉の策であったが、結果的に世界観を表現できた。

みんながフリードリンクやお菓子が並べられているカウンターに自然に集まり会話が生まれる動線にするなど...

そのほかにも、オフィス家具のサイズや配置にもこだわりがあり...
執務デスクはメンバー同士が肩を寄せ合う距離をあえて狙い、デスク幅は一人100cmと狭めだ。初めてのお客様との距離もこだわっていてテーブルの奥行きが近くなるように設計してある。執務スペースでは、背中合わせで作業し、必要なときにチーム単位ですぐ話ができるよう島型の配置を採用したり。社員に貸与するPC、外部モニターはすべてAppleにし、世界観を統一している。

このように人との距離感にまでこだわった。もっとこだわりたい部分はあるが、オシロ社はスタートアップであり、オフィスに投じる予算も限られているからこそ、ワークチェアは高価なものだが、中古でコストダウンしたり、創意工夫をし、みんなでオフィスをつくっている(当然、消防法をクリアした範囲で)。

工夫でいえば、オシロ社はオフィス移転のたびに壁のペンキ塗り、床貼りをやることが恒例行事になっているが、会議室である「タイニーハウス」の内外の壁もペンキ塗りは社員全員でやった。そのほかにも、オシロ社は毎朝始業から10分間は社員全員でオフィスを掃除する時間にしている。オフィスそのものを創造するだけでなく、美しくクリエイティブなオフィスをみんなでつくって維持していくことを意識してほしいからだ。

ビビッドなブルーに塗られた応接会議室

ぼく自身がなぜそれほどクリエイティブである場づくりにこだわっているのかについては、以前書いた『ぼくはなぜ、クリエイティブでありたいのか』をぜひご覧いただきたい。

社内コミュニケーション文化を醸成していくために重要なこと

こういったオフィスづくりの根底には、社内コミュニケーションをデザインすることにもつながっている。気軽に会話しやすい間取りや配置、動線をつくると、社員同士が気軽に雑談がしやすくなる。そうなると、業務上のコミュニケーションも円滑になり、ミーティングにも誘いやすくなり、仕事がしやすくなる。仕事がしやすくなるということは、よいプロダクトがつくれ、お客様に有益な提案も可能になる。

このように、社員同士が同じ空間で気軽に話ができるようデザインをしていくと、結果的に働きやすさにつながり、チーム力が向上する。そして、互いが互いを刺激しあえるようになることで、それぞれのクリエイティビティも上がっていく。

ここでもわかる通り、オフィス設計のいかんによって、社員のクリエイティビティは格段に向上するのだ。そのようなオフィス体験が社員にとっての従業員満足度の向上にもつながり、よりクリエイティブな人材が集まって来るので、採用にも効果を発揮する。

リアルな間取りや配置、動線はとても大切だ。実はそれらは、社員同士のオンラインのコミュニケーションにも同様のことがいえる。では、社員同士の人間関係をよくしていくためには、オンライン上でどのような間取りや配置、動線をつくればいいのだろうか?

まず、オンライン上でのコミュニケーションにおいて、重要なこととはなにかを紐解いてみたい。

仕事上でのコミュニケーションを考えると、どうしても業務上でのコミュニケーションを円滑にしていくことをまず考えると思う。そこも当然大切なので、多くのビジネス用のチャットツールはそこに主眼を置かれている。

しかし、実際のところは仕事の話ばかりをしているわけでもない。仕事の話に終始しているだけでは深い信頼関係が築かれることは難しく、当然エンゲージメントも向上しにくいだろう。また、相互理解の機会が失われてしまうリスクがある。お互いがどのような価値観をもち、どのような人間であるかを理解できないままコミュニケーションをとっていても、心理的安全性のある環境を作りにくく、発言がしづらい組織になることも問題だ。

つまり、オンライン上での社内コミュニケーション文化を醸成していくためには、「雑談のしやすさ」「発言のしやすさ」「感情共有のしやすさ」が求められる。まさに、オフィスづくりで重要なことと同じことがいえるし、この3つの観点で、オンライン上の社内コミュニケーション文化をデザインしていく重要性を上げたい。

意識すべきことは以下の4つだ。

1.世界観:自社のカルチャーを体現し、心理的安全性が担保された世界観をつくること。

2.フローとストック:日ごろの業務上でこなすべき情報共有のためのコミュニケーション、お互いを理解し感情共有を行うコミュニケーションは、フローとストックであらかじめ間取りを分けておくこと。

3.同期と非同期:オンラインでのリアルタイムの交流と日報や社内ブログなど、その場でなければできない体験価値の高いコミュニケーションと、一人ひとりの社員の考えをしっかりと読んで考えを理解できるコミュニケーションの動線をデザインすること。

4.マルチファンクション(多機能性):一つのツールにさまざまな機能が配置されていて、ツールを使い分けなくてもなめらかに行き来できることで豊かなコミュニケーションが実現できること。

しかし、このようなオンライン上で自由に自社の世界観をデザインし、間取りや動線、配置を設計できるツールは、実はありそうでない。ただし、オシロ社の場合はそれも実現できている。

オシロ社は「人と人が仲良くなる」を開発思想に、コミュニティ専用オウンドプラットフォーム「OSIRO」を開発・提供してきた。当然社内コミュニケーションにもOSIROを活用している。オシロ社の場合は冒頭の記事にもある通り、日報が盛り上がるし、社内コミュニティでは社員の自主企画イベントが目白押しである。

長年OSIROを使ったオンライン上での社内コミュニケーション文化を醸成してきたから気づかなかったが、こういった社員同士の仲のよさは、多くの企業で驚きをもって迎えられた。だからこそ、最近オシロ社には社内コミュニケーションについての相談が増えている。

「日本を芸術文化大国にする」をミッションに掲げるオシロ社としては意外な展開ではあったが、日本の多くの企業の社内コミュニケーション文化の醸成にお役に立てるのであれば、ぜひお力になりたいと考えている。

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