新型コロナウイルスからお客様やファンを守ろうとする人達に、私達ができること。
イベントや興行という、クリエイティブな活動においてとても重要な活動が、新型コロナウイルス対策により中止せざるを得ない状況が続います。中止をすることによる負担を興行事業者やアーティストの方々のご負担になってしまうことで、新型コロナウイルス収束後にもクリエイティブ活動に甚大な影響をもたらしてしまうのかもという恐怖心が私にはあります。実際に今回の動きによって倒産事業者も出てくるのではという声もあります。そんな状況に何か声を上げられないかと思い、この度、この様な支援プログラムを立ち上げました。
個別対応から気づいた事
実際に自分の周りには、アーティストやクリエイティブな活動をされている方が多い為、すでにチケットを販売したものの、新型コロナウイルス感染拡大を防ぐために自主的に中止するという英断についてくる赤字や負担などと向き合う姿を見ていました。
かくいう自分自身も、キュレーターを務めている「さいたま国際芸術祭」の開催延期が決まったり、3月に劇場公開する映画「踊ってミタ」の不安など直撃している当事者でもあります。その痛みは痛切に感じていました。
(3月14日(土)に開催予定でしたが、3月28日(土)に開催開始が延期となりました。)
そんな漠然とした「何かしなければ」という思いと並行して、先々週あたりから、現在MOTIONGALLERYに掲載中だったり掲載準備をしている起案者様からコロナ対策を起因としたイベントやプロジェクトの中止対応について数多くの相談を頂き、個別に対応を始めていました。
沢山の起案者の方々からのご相談だったので、それぞれのプロジェクトごとに違った悩みや状況がありました。でも共通していたのは、2月26日の政府発表(イベントの自粛要請)のかなり前であったにも関わらず、イベント・公演を中止すべきではないかと考えられていた点でした。でも中止すればその分これまでに掛かっている運営費や施設使用料などが大きな負担となるし、クラウドファンディングで集めたお金も返金しなければ行けない。でもお客様やファンの安全を第一に考えようとしているのに、金銭的な事がハードルになってしまうのであれば、クラウドファンディングを運営している意味がないじゃないかと強く思い、我々も身を切る事で中止したいと思う起案者様たちが中止できるようにしなくてはと考え、その様なプロジェクトに対してはMOTIONGALLERYの手数料を0円にするという方針を打ち出しました。
27日に支援プログラムを打ち出したときに、中止を検討されていた掲載中の起案者さまからもこんなコメントを頂けてうれしい・・・。
火事場泥棒にはなりたくないという戸惑い
新型コロナウイルス対策を起因としてのクラウドファンディング中止を相談いただく起案者様には個別で、MOTIONGALLERYの手数料を0円にする方針と対応を始めて数日経ち、同様の問い合わせが続々と増えてくる中、この方針を公表しなくてはと思うようになります。加えて、新型コロナウイルス対策によりイベントや興行を中止せざるを得ず、今後の運営に支障を来すような損害が発生している事業者やクリエイターにも、このMOTIONGALLERYの手数料を0円にする方針という方針を適用できれば、漠然と考えていた「何かしなければ」への答えになるのではないか。そう強く思うようになりました。
ただ、公表する事にちっちゃな戸惑いがありました。
震災や災害が起きたときに「いいこと」をこれ見よがしにすることで、実は本質的な助けにならなかったり、本当にその「いいこと」をやるべき人がやることの邪魔になったりみたいな事例も少なくないですし、傍からみていても「それ、単なる売名行為じゃね?」って正直思うこともあったので、これまでMOTIONGALLERYとしてはその様なアクションはとってきませんでした。震災に心を痛めていたとしてもプラットフォーム自身が災害支援金集めをしてしまう事が果たして本当にいい事なのかとか。答えの全く無い問いの前に、これまで災害がある度に毎回悶々としていました。
2月27日、新型コロナウイルスに起因する中止・延期イベント支援プログラムを公表しました。
悶々と悩んでいたんですが、2月26日にイベントの自粛要請の政府発表があったことを受け、翌日の27日にこれまで個別対応で行っていた方針と、その方針をまだMOTIONGALLERYで起案されている状況にないけども同じ苦難に直面している方々に開くことを公表しました。
個人のフェイスブックアカウントでの投稿でも、ものすごく沢山の方々にシェアいただき、結果、現代アートの中心的なメディアである「美術手帖」や、映画メディア「シネフィル」でも記事になるなど、当初全く想定していないすごい広がりをみせました。今みんなに必要とされていたアクションだったのだと実感することができてとても有り難い気持ちになりました。
結局、悶々とした悩みから逃れて、支援プログラムを発表するところまで突き進んだ原動力は何だったのだろうかと思うと、いつも大事にしている「圧倒的な当事者意識」を超えた、当事者そのものだったからだと思います。
クラウドファンディングを運営している中で、相談いただく起案者の方々に常に行っていることは、「クラウドファンディング中に当事者になってくれる人を如何に増やせるかが重要であり、そのためには自分自身の当事者性を虚飾なくさらけ出す事」である的な話をよくします。
クラウドファンディングは共感される事が重要だからといって「共感されやすいだろうお化粧」をした瞬間に共感なんて集まりません。嘘だからです。「共感なんてどうでもいい、自分がやりたい事がこれなんだからこの旗を立てる!」という信念が見えて始めて共感なり共鳴なりが見ている側からも立ち上がってきます。
多分今回はそういう事だったのかもしれません。自分自身がまさにこの問題の当事者であり、MOTIONGALLERYという会社としては利益が出ないけども個人としての自分が必要としている支援プログラムであるから、直感的に、”本当にその「いいこと」をやるべき人”が我々だと自信を持てたからだと思います。
発表の結果、本当に多くの人に賛同頂き本当に安心しました。ツイッターのタイムラインで多くの方に本当に有り難いお言葉を頂きました。
これまでMOTIONGALLERYでプロジェクトをご一緒したプレゼンターの方々からのリアクションも感激・・・。
映画「ずぶぬれて犬ころ」の本田監督、
歌手・アーティストの宍戸留美さん、
東京・青梅でまちづくりの活動をされている國廣さん
銀座ストックのリノベーションプロジェクトでご一緒したシェフの石川さん
広島・呉オールロケ作品『君がいる、いた、そんな時。』の迫田監督
そして、映画『カメラを止めるな!』の上田慎一郎監督と、しゅはまはるみさんも!
こんなに多くの人に支持頂ける結果となり本当に有り難いです。
であるならば、飲食店や宿泊事業者様にも同じであるはずと公表した日の夜に気づく。
でも、一段落する暇はありませんでした。
公表したら公表したで気づく、自分たちの抜け漏れ・・・。
最初に直面していた事態としては、イベントや興行で中止に追い込まれたクリエイターの方々のサポートをという一心でしたが、一息ついていたら、政府発表を受けて各地の映画館や劇場や美術館が次々営業休止の発表が始まっていました。これはイベントだけでなくて文化発信施設にも多大な影響を与えることが明確になってきている・・・。であるならばそこまで対象にしなくてはならないなと思うと同時に、それはMOTIONGALLERYに多くのプロジェクトを起案頂いている、ローカルの魅力を発信してきた飲食店や宿泊施設も同じだ!抜け漏れていた・・・!と思い、27日の夜にバタバタと範囲拡大を追加発表しました。
オンラインなどでの代替開催のアイデアも支援したい
そしてもう1点、同時に拡充したのが、代替開催をすることへのサポート。
イベントの中止に伴って代替開催される動きも今後出てくるかと思います。中止せざるを得ない事態に対してより一層クリエイティブに向き合い、オンラインイベントやオンラインライブ配信作品などに切り替え、インターネットの力でファンとやユーザーとの繋がりを保ち続ける様な動きも、MOTIONGALLERYは後押しして行ければと思いました。
オンライン説明会を緊急開催することになりました。
この様に、発表するまでは悶々と悩んでいたものの、いざ発表してしまうと、すごく大きな反響をいただくと共に、頂いた反響の声に耳を傾ける事で、自分たちが抜け漏れていた対応がどんどん可視化され、次々とプログラムを拡充していきました。そんな有り難い対応に一昨日から追われています。
でも、ご指摘頂いてから拡充しているだけじゃ駄目だと思い、今回の支援プログラムへの説明も含めた、オンライン説明会を開催することにしました。
単に支援プログラムを公表して終わり、ではなく、ちゃんと有効に社会に役立っていけるプログラムになるように、取り組んで行きたいと思っています。
少しでもご興味がお有りの方は、是非お申し込みください。
最後に
この様に、今回、政府の発表も踏まえ、なんとかこの状況をもっと広く支える事ができないかと考え、今回このプログラムを、現在起案されている方に限らず、遍く届ける形でスタートすることとなりました。
既に下記プロジェクトは中止を発表し、今回の支援プログラムをご利用頂きました。
今何件も、支援プログラムに新規プロジェクトからも掲載中のプロジェクトからもお申し込み頂いている状況です。
MOTION GALLERYでは本プログラム、クラウドファンディングプロジェクトのサポートを通じ、新型コロナウイルスの影響を受けた方々の支援に努めてまいります。皆様と一緒にイベントを中止するという勇気ある決断をされた方々を応援し、少しでもダメージの軽減に寄与できればと願っております。