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インフルエンサーからモデレーターの時代へ

こんにちは、電脳コラムニストの村上です。

※ 本記事は日経MJ連動投稿募集「#インフルエンサーで売る時代は続くのか」への寄稿です。

SNSの広がりと共に、個人でも大きな影響力を持つことができるようになりました。特にInstagramやYouTubeといった動画で効果的に訴求できるメディアの登場によって、スポンサー企画などで自身のアカウントで宣伝をすることで企業から報酬をもらうインフルエンサーも出てきました。

企業の宣伝には欠かせない存在になっているインフルエンサーですが、いわゆるステマ(ステルスマーケティング。宣伝であることを明かさない手法)が問題になったり、消費者側も宣伝っぽく見えるものよりもよりリアルな声を求めている現状もあります。

ここ最近特に感じているのは、特定のインフルエンサーのみの一方向の情報だけではなく、共通の興味を中心としたコミュニティに集い、お互いが情報交換をするような場が盛り上がりつつあるということです。ここ数日で急速に日本でもユーザーを伸ばしているClubhouseでも、コミュニティ化の流れが進んでいるようにみえます。

クラブハウスは米スタートアップの「アルファ・エクスプロレイション」が、2020年3月から米国で始めた。完全招待制だが利用者は世界で200万人に達した。日本語のアプリがないにもかかわらず、日本でも21年1月から話題を集め利用者が急増している。

アプリを立ち上げると、「room」と呼ばれる音声会話の部屋が多くあり、各部屋では主宰者と主宰者が選んだ人たちが会話をする。好きなテーマの部屋に入って会話を聞き、挙手ボタンを押して主宰者が承認すれば会話に参加できる。

いまはTwitterのインフルエンサーや芸能人の方なども参戦してきて、強いインフルエンサーが多くのフォロワーを集める状況になっています。しかし、いろいろな部屋をのぞいて聞いていると、Roomのモデレーターの力量により聴きやすさに影響を与えることがわかりました。

具体的には、スピーカーの方に公平に話す機会を与えたり、議論の方向性をつけたり、聴いている方の視点でテンポよく質問をなげたりという力量です。Roomに入るとフォロワーに通知が飛ぶことから、多くのフォロワーを持つ方を部屋に呼ぶとリスナーが多くなります。ですので、インフルエンサーだけでなく、このような方を呼び込めるか、話すトピックの選択など、ある種の編集者的な力も問われるのかもしれません。

つまり、受け手側にとって嘘くさくない、リアルな声を中立的に届けることが、今後大きな価値を生み出すと思います。

例えば、InstagramではD2Cという独立系のブランドの商品をレビューするサイトである「Thingtesting」が人気を集めています。広告なし、バイアスなしを表明しており、収益は個人からの月額会費などで補っています。会費についても「フレンドになる」という表現をしており、ディスカウントコードやInstagramの「親しい友だち」に認定することによる限定コンテンツの配信などの特典が得られるようになっています。

インターネットの歴史においても、人気ブログ・サイトができたあとにはそれをうまくまとめたサイトがよく見られるようになったり、価格.comや食べログなどの多くの情報を一定の評価軸でまとめたサイトが人気を博しました。

よって、インフルエンサーの先には、公平・中立性をもったコミュニティマネージャーやモデレーターの信用が高まり、そこに場ができていくようになると予測しています。

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タイトル画像提供:Graphs / PIXTA(ピクスタ)

#日経COMEMO #インフルエンサーで売る時代は続くのか

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