HRリーダーたちと考える10年後の採用の未来とは (後編 議論まとめ)
こんにちは。リデザインワークの林です。
先週金曜日は、2/2(人事の日)とのことで、日本の人事部「HRカンファレンスのリーダーズミーティング」にて、企業の人事トップの皆さんたちとのラウンドテーブルにてファシリテーションしてきました。
僕は採用領域で、ビジネスリサーチラボの伊達さんと一緒に、「会社と個人の関係が大きく変わる時代に採用戦略をグランドデザインし直す 人事 TOP の観点とは」というテーマで話ました。
前編では、10年後の採用の未来を考える前提となる環境変化についてまとめました。
後編では、前提を踏まえた上で、HRリーダーたちからどのような意見やコメントが出たのか、また、僕の学びについて簡単にまとめていこうと思います。
議論ポイント①
大きなトレンドや背景の変化を踏まえて、 日本全体の採用の在り方はどのように変わっていくべきか。
せっかく人事トップに集まってもらってディスカッションするので、足元の採用課題ではなく、未来かつ、より高い視点で議論できるようなお題を設定させていただきました。
論点が壮大すぎて、盛り上がるかどうか若干心配しましたが、とても良い議論が出来たと思います。
議論から見えてきた方向感
終身雇用からプロジェクトベースでの雇用に、雇用のあり方を再設計していく必要がある
業務委託による業務推進割合が高まり、正社員の位置づけと業務委託の位置づけの再設計が必要
これからの若い人材含めて、優秀な人材は、ESG、社会価値、Sustainabilityに魅力を感じるため、会社としてのビジョンや事業ドメイン、の再設計が重要
テクノロジーの徹底活用による、人にしかできない業務設計の優先順位を大きく高めていく必要がある
グローバルカンパニーでは、日本で担うべき業務の特定とグローバルで担うべき業務の特定をしていく必要がある
人材の流動性の高まりと希少性の高まりを踏まえ、人材を1社で育てるのではなく、社会全体または業界全体で育てる設計に変化させていく必要がある
議論ポイント②
日本全体の採用の在り方の方向性を踏まえ、 自社の採用において考えるべきテーマや観点はどのようなものが必要か。
日本全体の採用の在あり方、組織の在り方が変わっていく中で、自社の採用では実際にどのような論点を設定するべきかを話し合いました。
議論から見えてきた方向感
業界全体で人材育成するために、業界でスキルや経験の統合を進めていく
全方位で必要な人材を採用することが難しくなる中、自社の事業のコア業務とノンコア業務は何かを描き切り、それを支えるコア人材の設定をする。そして、そのコア人材の採用・確保に注力をし、コア人材に魅力的な報酬水準やキャリアパスなどを再設計する。
雇用形態の多様性を高めていく。社員、業務委託、契約社員などその人の人生デザインや生き方のニーズに合わせて選べるようにしていく必要がある
自社のカルチャーをしっかりと描きなおし、カルチャーベースで仲間集めを優先する
人的資本開示を投資家や社外に行いつつも、従業員に向けて目指す姿やありたい組織の姿を描き、発信し、施策を打つことで選ばれる会社を目指す必要がある
議論を通じての学びと感想
様々な視点での議論がありましたが、僕自身の学びは大きく二点です。
①採用は事業戦略との関係が今よりも格段に重要になる
議論ポイントにもあったように、人材不足が深刻になる中で、すべてのポジションを潤沢に採用できる未来は描きにくい。
だとすれば、自社のコアとなる事業・業務・技術をしっかりと特定した上で、コアとなる人材を特定する。
コア人材については、報酬水準や、魅力的なキャリアパスや働く環境などをしっかりと作り切った上で、優秀な人材の採用に向かっていく必要があると強く感じました。
一方で、コア事業だからといってすべて内部コア人材のみで賄うのではなく、社外人材を有効に活用する道も模索していく必要はあると感じました。
また、通常の採用では難しいコア人材については、アクハイアリング(人材獲得を主な目的として行う企業買収)など感じましたの手段は多様を極めていく構造になっていく。
②個に寄り添い切ることが重要になる
企業が人材を選ぶ時代から、働き手が会社を選ぶ時代になっていく時代へとリバランスされていく社会の中で、通常の自社にフィットするか、活躍できるか見極めを中心とした採用ではなくなっていく。
いかに個人に寄り添って価値を提供できるかをすり合わせすることが重要になってくる。
働き手が、働くうえで大事にしている軸は何か?自社で働くとなぜその軸が満たされるのか?
どのようなキャリアパスを描いているのか?自社だとそのキャリアパスの実現に貢献できるのか?
本人が獲得したいスキルは自社に参画すると獲得できるのか?
働き方は、週5なのか、週3なのか、午前中だけなのか?望む働き方にどう最適化できるのか?
雇用形態は、社員なのか、業務委託なのか?アライアンスなのか?
などなど。本人が何を求めているのかに合わせて、企業サイドが寄り添って、それを満たせるのか?を確認していく作業が必要になってくる。
そして、1社だけで人材のすべてのニーズを満たすことが難しい中で、業界で手を組み、人材の還流などを競合忌避の問題とも向き合いながら取り組んで行く社会になるのだと実感しました。
会社と個人の関係が大きく変わる時代に採用戦略をグランドデザインし直すというテーマでの学びを共有させていただきました。
また、日本の人事部からも後日記事が出るとのことなので、そちらも楽しみにしていてください!
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