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Mitskiの投稿と「ライブ録画問題」


アーティストのMitskiが投稿した文章が、今音楽関係者とファンの間で話題になっている。


「 ミツキは現在、素晴らしいニューアルバム『Laurel Hell』を引っ提げて北米をツアー中だが、チケットを持っていない人(あるいは持っている人)にとって、YouTubeで「Stay Soft」や「Love Me More」といった新曲のライブサウンドを聴きたいという誘惑があるようだ。ライブの一部、あるいは全体を録画することは、ドリンクを買う列やグッズを手に取る列と並んで、ライブ音楽の定番となっている事実も手伝って、これは習慣となっているのだ。しかし、木曜日に投稿された長文のツイートスレッドで、ミツキは彼女のファンたちに、1時間か2時間、携帯電話をしまって、その瞬間に生きることを受け入れてみてほしいと呼びかけている。」

「ライブでの携帯電話についてお話したいと思います 。携帯電話は私たちの現実の一部であり、私は常に携帯電話を持っていますし、ショーで写真を撮ることに反対しているわけではありません(ただし、フラッシュはご遠慮ください笑)。でも、時々、曲全体やセット全体を撮影している人を見ると、私たちが一緒にここにいないような気がしてしまう。これは、私がステージにいるときも、ライヴで観客としているときも同じです。

私は、夢を共有し、私たちが同時に生きている奇跡的な瞬間があることを思い出し、別れる前に、つながりを感じることができるショーが好きです 。何か大きなものの一部であると感じられる。私がステージにいて、あなたを見ているのに、あなたがスクリーンを見つめていると、ステージにいる私たちは、あなたと瞬間を共有する代わりに、コンテンツとして奪われ、消費されているように感じられるのです。

欲張りたいわけではないし、演奏できる自体が幸せな。ただ言いたいことは、運が良ければ、ライブで魔法を体験できることもあるんだ、ということ。でも、それを目撃するために注意していれば、の話。」

この投稿はかなりの反響を呼び、現在削除されている。

「決して私だけの意見ではないが、ミツキの携帯電話ツイートに対する反応を見ると、ファンダムがいかにアーティストを消費する権利のある商品として考えるよう人々を訓練しているか、そして、彼らと交わる人間ではないことを浮き彫りにしている。」

「(ミツキがツイートを消さなければならなかった理由は)わざとわからないようなふりをして、彼女の言葉を捻じ曲げて、彼女がいかにも携帯電話をライブで決して使ってはいけないかのように文句を言い出した人たちがいたから。」

スマホでのライブ撮影が一般的であるアメリカにおいて、アーティストが「撮影禁止」とまで決して言わず「少しの間でもいいからパフォーマンスに集中して欲しい」と発言すること自体が若干のタブーであるということが、今回の件で浮き彫りになった。日本は「マナー」として動画撮影や写真撮影をよしとしない傾向が見受けられるが、SNSで投稿してライブパフォーマンスの良さが拡散されたり、チケットが買えない人がライブを動画から楽しむことができたり、動画撮影のメリットもたくさんある。スマホ世代の若者たちがライブにどんどん行くにつれて、この議論はまた繰り返されそうだ。

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竹田ダニエル
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