いま、ビジネスパーソンがLinkedInを選ぶべき理由
LinkedInの国内のユーザー増が加速しています。新規で投稿する人が増えていますし、「いいね」などリアクションの総数も増えています。たとえば5年前、2019年あたりは投稿もまばらで、反応も多くありませんでした。(元・LinkedIn編集部の佐々木希世さんも、最近の投稿・コメントで「当時はまるで砂漠のようだった」と証言されています)
以前は投稿へ3桁の「いいね」が付くことなどは珍しかったのですが、今は200、300以上のリアクションを獲得するユーザー投稿も珍しくなくなりました。投稿者の属性や世代に関わらず、です。それだけ、投稿者、閲覧者ともにユーザー層が厚みを増していることが明らかです。
一投稿あたりのインプレッション数(表示回数)については自分自身の投稿分しか確認できませんが、たとえば私の場合ですと、現在は1投稿あたり2万〜3万回の水準で推移しています。
かつては、インプレッション数に関してはLinkedInよりもTwitter(現X)の方が圧倒的に多かったのですが、私の場合、今は完全に逆転してLinkedInの方が多く閲覧されています。フォロワー数だけでいうと、Xの方がまだ1万人も多い(約3万8000人)にも関わらず、です。
日本国内においては、ビジネス界隈においてもSNSといえばX(Twitter)が盛んに運用されてきました。確かにアカウント数も多く、つねに話題の中心になりやすいプラットフォームです。
しかしながら、Xの場合はつねに「匿名性」の強さがネックになります。匿名だから、何を言ってもいい。どれだけ盛ってもウソをついてもいい。そういうユーザーが多く存在します。裏と表を使い分けたい、本音を安全地帯からぶちまけたい、そういう日本人的な "負の部分" と非常にマッチしているともいえるでしょう。
だから、Xで流れる情報はつねに虚実が入り交じります。「ビジネス系インフルエンサー」と称する一群の人々のプロフィールを見ると、「10代でどん底を経験、大学を中退。しかしビジネスで "奇跡的な成功" を達成し今や年収◯◯◯◯万円、副業◯◯◯◯万円、メディア出演、大学で講義、多数の上場企業の顧問」みたいな人が掃いて捨てるほどいます。日本の上場企業の顧問っていったい合計で何人いるのでしょうか?
また、Xの匿名性は、炎上リスクの根源となっています。よく、LinkedInなどに対しても「SNSは炎上リスクが高くてどうも手が出ない..」という人がいますが、まずはきちんと事実を観察することが大切です。それは、「炎上という事象はXの(ほぼ)専売特許である」ということです。
そもそも炎上というものは、匿名アカウントが支配的なX上で起きるものです。たとえ動画が元ネタであったとしても、炎上するのはいつも引用されたXの中においてです。逆に実名制SNSでは、基本的に炎上は発生しないものです。ましてやLinkedInという、個人のキャリア情報を詳細に出している場で炎上が発生する可能性は限りなく低いのです。
だからLinkedInのような実名制SNSこそ、本来的にビジネスに向いているといえるのです。逆にXは、正直いって運用が難しすぎます。なぜ、単にSNSを伸ばしたいだけなのに、いつも理不尽な炎上リスクに怯え続けなければならないのでしょうか。最悪の事態までを考慮に入れると、Xの運用はビジネス上のリスクとリターンがバランスしないのです。
では、LinkedInと同じ "実名制" のFacebookについてはどうでしょうか。
日本では少し特殊な発展を遂げてきましたが、Facebookとは元来、「プライベート」利用をメインとしたSNSです。海外駐在の日本人が、国内と同じノリで商談相手に「Facebookアカウントを教えて」とやってしまい相手に怪訝な顔をされるというエピソードはもはや定番です。
ビジネス目的で海外とSNSでつながるには、現時点では実質的にLinkedIn一択なのです。
また、Facebookのカルチャーにおいては、つながるのは「リアルな知り合いのみ」がメインです。もともとプライベートなSNSなので当然ともいえます。
これが、ビジネスではFacebookを使いづらい理由です。リアル知り合いに限定された世界で、果たしてビジネスを拡大し、成長させることなどできるでしょうか?
Facebookは、過去の出会いを懐かしみ、リアルな友好関係を長く維持するための場。それはそれで良いと思うし、貴重な場だともいえるでしょう。(だから自然と高年齢化していくのですが… まあ、それが良いのだと感じているシニアユーザーも実は多いはずです)
また一方、最近のFacebookはどんどんイメージが悪化しているようにも見えます。 「知り合いではない」アカウントからも多数のフレンド申請が来ますが、投資勧誘、スピリチュアル系の人々(またはbot?)の割合が年々増えていると実感します。投稿にも、そのようなスパムコメントが多数つきます。
また、最近話題になっている「有名人の名前や肖像を無許可で使った詐欺広告」の影響は深刻です。Facebookを運営する米メタ社からは、2024年7月現在、これらの詐欺広告に真剣に対応しようとする姿勢は残念ながらあまり見られないようです。
基本的には、海外ユーザー(つまりわれわれ日本人)からの苦情などは一顧だにせず、スルーし、煙に巻くという一貫した方針を取っているようです。米国においてはそのような企業姿勢もあり得るのかもしれませんが、これは、多くの日本人が最も忌み嫌う企業のふるまいだといえるでしょう。
この一連の騒動の結果、すでにFacebook離れは一部で現実化しているようですし、今後の各種裁判や世論の行方によっては、その流れは加速するかもしれません。それは日本人の同調性が高いというより、ネットワークとはそういうものだからといえるでしょう。"最も人が多く集まる、最も有益な場所" を目指して一斉に人が流れていく。それがネットワークだからです。
その点、LinkedInの厳しい広告審査体制は多くの人に安心を与え、上記のような課題や争いとは(少なくとも今のところは)まったく無縁に見えます。運営ポリシーがしっかりしており、善意のビジネスパーソンが多いからこそ安心してビジネスを展開できる場所。LinkedInは、Facebookとの比較においてもますますそういうイメージが強くなっていると感じます。
今日、SNSの運用は、ビジネスにとってますます重要な位置を占めるようになっています。それだけに、そもそもどのプラットフォームを自社/自分のホームにするかは、その成否を大きく左右する極めて重要な判断です。
世界全体でのLinkedInユーザー数は先日10億人を突破し、さらにユーザー増の勢いは増しています。一方、まだ日本のユーザー数が比較的少ないということは、国内ではまだアーリーアダプターになれるチャンスが残っていることを意味します。
これを機に、あらためてLinkedInの本格運用を検討(もしくはさらなる強化を)することは、多くの事業にとって非常に大きなチャンスの獲得につながると信じております。
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アースメディアではLinkedIn運用サポート/ブランディング支援を請け負っており、国内においては随一の実績を重ねております。ぜひお問い合わせください。
(松本の個人アカウント)
https://www.linkedin.com/in/jnmatsumoto/