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場所に対するオーナーシップは、どのように芽生えるのか

本棚の整理

唐突ですが、図書委員になりました。自宅の。2020年最初の連休は、家族そろって自宅の模様替えでした。僕は、本棚を整理する役目を仰せつかりました。最初はめんどうくさいなー、仕事したいなー、と思いました。しかし、やってみて気づいたのです。本棚の整理は、ちらかってきて見栄えが悪いから片付けるということではないのだと。

コンテクストデザイン

Mistletoe&学芸大学で取り組んでいるExplaygroundの中で、Mebius Open Libraly(MOL)という活動に深く入り込んでいます。

先日、ある実験的な遊びをしました。くじ引きで選ばれた3冊の無関係な本を結びつける文脈をつくる、自分なりに3冊の本を結びつけるコンテクストをデザインする。やってみると、参加者ごとに、その人が好きなテーマに寄せた文脈がつくられていて、とても興味深い内容でした。3冊の本を読みたくなるというよりも、そこで語られる文脈そのものが面白いのです。(このコンテクストデザインは、これからの時代を生きる力としても大切なものだと思うのですが、これについては長くなるので次回また)

知の循環

この活動をしたMOLは、図書館の存在意義を、単なる知の集積ではなく、知の循環としています。「収集→整理→保存→提供」で留まらず、「吸収→活用→創出→発信」へとつながり、発信されたものが収集されるという円環が生まれる。そして、古代アレクサンドリア図書館がそうであったと言われるように、新たな知が生まれていく場として、さらにこれからのテクノロジーとも結びつき、より有機的に知の創発の場となっていくことを目指しています。(これもまた、とても面白い活動なので、また別途ご紹介したいと思います)

自分でつくる

このコンテクストデザインのイベントをやった直後だったこともあってか、自分の本や妻の本、長女の本をまとめて整理していく中で、どのように本を並べていくのか、そこにどのような文脈を見出せるのかが楽しくなりました。また、本の並べかたについても、単に本棚の奥に押し込むのではなく、棚の影で背表紙が見えづらくならないように手前に背表紙を揃えておくなどの見え方の工夫をしたり、キーとなる本の表紙を見えるように置いたりすると、眺めることで新たな刺激を得られる「本棚」というメディアを部屋につくることができたのです。これは新しい体験でした。これまで、本棚は、まさに捨てられない本を保管しておくところ、としてしか考えていませんでした。自宅でも、こうした知の循環の小型版を自分の手でつくることができる。

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オーナーシップと開放感

自分の手で整えた場所は、家族にも使ってもらいたくなりました。そして、夜に帰宅してから、本棚を眺めて、一部を入れ替えたりしてみたり、新しく手に入れた本をどこにいれるか検討してみたり。まるで、本棚を育てているような感覚。

人が作ってくれた場所に対して、自分の場所を確保するのは、縄張りっぽい感覚がありました。居間やダイニングなどで、自分が座る席はここ、と決めて、誰にも譲りたくないような感じ。ところが、自分がつくった場所は、人を迎え入れたくなる。空間全部が自分であるかのような感覚。

この後者の感覚は、オーナーシップにつながるものかもしれません。

そんな風に感じました。

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