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恥の多い上司が会議を活性化させる。

この4月で社会人生活が16年目に突入した。

大袈裟ではなく、ついこの間まで1年目だった気がする。
ただその分「16年目の先輩」が、いかに1年目にとって遠い存在かも鮮明に覚えている。

僕が若手の頃、先輩のいる打ち合わせは居心地が悪くて、若手だけの打ち合わせは楽しかった。

そんな中、今月の日経COMEMO のテーマは   #心理的安全性を確保するには

今の僕はもう、若手の「心理的安全性」を確保する側だ。若手がどうしたら発言しやすくなるか、考える立場だ。

それを実践する度に思う。

恥の多い人生でよかった、と。

今日はそんな話。

■恥ずかしい方のプロフィール

「若者研究」を生業にしている関係で、学生や若手社員との接点は多い。

だからと言って、僕はもう若手ではない。

自分の中では「仲良くワイワイやっているつもり」の打ち合わせでも、若手の視点になったら、こんな感じだろう。

若手社員の視点で考える打ち合わせ時の自分

どうしたらこの印象を拭えるだろうか。

そう考えて、数年前から学生や若手向けの場では2種類のプロフィールを使うことにした。

1枚目は通常のプロフィール。

通常のプロフィール

このプロフィールの意図は明確で「なんかスゴそうな人感」を全力で醸し出そうとしている。

お金をいただいてセミナーをすることもあるので、相応のプロフィールを出さないと失礼ではないか、という気持ちもある。

加えて、「ドヤっ」とやりたいダサい感情もある。

ただ、学生や若手が多いセミナーでは、この後にもう一枚プロフィールを出す。

恥ずかしい方のプロフィール

「精神面の露出狂ですか?」

と言われたこともあるくらい、かなり赤裸々に書いてある。
1枚目がなかったら成立しないくらい、ふざけたプロフィールだ。

ただこのプロフィールを使うようになってから、少しだけ場が和んだ気がする。セミナー後の質問も増えた気がする。

「なんだ、自分と同じようなもんじゃん」

上と下の立場ではなく、そう感じてもらえたら、議論は活性化するのかもしれない。心理的な安全性は保たれるのかもしれない。

恥の多い人生でよかった。

と、改めて思う。

■恥をかく時間をつくる

話は変わって、僕のいる若者研究組織では、定期的に調査結果の読み合わせを行なっている。

「本質的な価値観の変化」から「表面的な流行の変化」まで、幅広いテーマで聴取した調査結果を10数名のスタッフで読み合わせる時間だ。

大抵僕は、最年長の立場になる(現在:38歳)。

その時間の中で、いつからか「小島さんが恥をかくコーナー」が設けられた。

これはタレントやYouTuberなど「Z世代が今、何を観ているのか?」を聴取した内容で、以下のような一覧を共有しながら行う。

もう10年近くやっているこの手の調査だが、正直、年々わからないコンテンツが増えていく。

僕は「わからないことを放置しない」をモットーにしているので、「これ何?」と聞く場面が年々増えてきた。

先日は「イニって何?」と聞いたら、「INI(アイエヌアイ)です」と若手社員に怒られた。

僕があまりにも聞くものだから、今ではこの時間が「小島さんが恥をかくコーナー」として定着している。

僕は毎回、新鮮な知識を得て帰る。

恥の多い人生でよかった。

と、改めて思う。

■恥の多い上司

恥ずかしいプロフィールや、恥をかく時間。

こんな話をすると「いい歳してよく恥ずかしくないですね?」と思われるかもしれない。

ただ若い人の方が、流行に関する知識に詳しいのは当たり前だ。
それと同じように、ビジネスに関する知識はベテランの方が詳しい。

だから僕はビジネスの話をしつつ、若手から流行の話を聞く。若手が話しやすくないと、僕は知識を得られない。

ある意味、フラットな関係だと思う。

もし僕が「聞くのが恥ずかしい」と思ったら、若手もまたビジネスについて「聞くのが恥ずかしい」と感じてしまうだろう。

ベテランはベテランらしく偉そうに。
若手は若手らしく謙虚に。

こうなったら膠着状態だ。

新しいものは生まれないし、心理的な安全性もない。
負のスパイラルのはじまりだ。

心理的安全性に関する負のスパイラル

心理的安全性の欠如は忖度を生み、結果的に会社の成長は阻害されるだろう。

それを阻止するには、まずは上司から自分の「恥」と向き合うこと。

そんな恥の多い上司が、もっと日本に増えればいいと思う。

僕にはまだまだ恥のストックがある。

恥の多い人生でよかった。

と、改めて思う。

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小島 雄一郎
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