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新型コロナウイルスという名前を我々が知って、早くも1年が経つ。しかし残念ながら、その間の人類の戦いはまだ明確な効果が得られていない。むしろ、変異種がイギリス型、南アフリカ型、ブラジル型と次々出てきている中、どこまで戦いが続くのか、正直見通しがつかない面さえある。

ウイルスの専門家でなくとも、ウイルスを封じ込めるには伝染させないことが重要であることはわかる。そのためには経済が停滞しようと移動を止めざるを得ないことも理解できる。景況感に意識を向けすぎて、足元の命に係わる判断ミスをすれば、今後の計画もあったものではない。とはいえ景気回復は資金を回すためにも重要であることは間違いなく、世界中の政府当局は大きなジレンマに立っている。その都度、どの政策を重視するかのウェイトを変えるしか、現実的な解もない。

そんな中、20年末から欧州の主要都市で何度目かのロックダウンが始まっている。そのうち学校も原則閉鎖しているのはイギリスとドイツだが、学校を止めることにも戸惑いはある。OECDが昨年9月に出したレポートによると、教育を半年止めると2100年のGDPには3.8%、1年止めると同7.5%の影響が出るという。日本の影響については、2019年現在のGDP5.23兆ドルに対し、三分の一年教育を止めれば、今世紀中に3.6兆ドル分のGDPが減ると試算されている。

こう見ると、景気回復とコロナ封じ込めのバランスだけでなく、将来にわたってコロナによる禍根を残さないよう学校を止めないこと、も当局にとって重大事項である。かなりの難題ではあるが、学校に行かずとも教育水準や子供の意欲を維持する工夫、オンライン授業でどこまでそれを達成するかといった知恵の出し合いが重要になってくる。

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