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ジェンダー平等、構造的差別のない社会とは何か?

「どっかの政治家が『ジェンダー平等』とかってスローガン的にかかげてる時点で、何それ、時代遅れって感じ」

これは、3月22日にYouTubeなどで公開された報道番組「報道ステーション」のウェブCMで語られたセリフです。

このセリフをめぐって批判の声が相次ぎました。たとえば、ジェンダー平等が実現していないにもかかわらず、それを目指す政治家を「時代遅れ」と揶揄したとする声が上がっています。

こうした批判を受け、テレビ朝日はCMを取り下げました。

一体、このジェンダー平等とはなんなのでしょうか?今日はこのことについて改めて考えてみたいと思います。

「ジェンダー平等」「構造的差別」とは何か?

「ジェンダー平等」とは、性による差別が解消された状態を指します。さまざまな性のあり方を生きる人々が、構造的な差別のない社会に生きられる状況のことです。

「構造的な差別」とは、差別を個人の行為としてのみとらえるのではなく、社会の構造としてとらえることです。

構造的な差別、数字で見てみる

社会の構造とは、例えば人数の比率です。

みなさんが働いている企業組織の管理職を、男女の数で比較してみてください。企業にもよると思いますが、おそらく男性のほうが多い企業のほうが多いでしょう。

帝国データバンクの2020年7月の調査によれば、女性管理職の平均は7.8%です。

生まれた時の身体的性の男女比はほぼ1:1であるのに対し、管理職は半数はおろか、1割にも満たないのです。もし構造的差別がなければ、管理職も役員も1:1になっているのではないでしょうか。

男女の二項では不十分

もちろん、身体的性で男女の二項で考えるだけではいけません。

さまざまな性のありかたについても、異性愛者(ヘテロセクシャル)で、シスジェンダー(性自認と身体的性が一致している人)がマジョリティとなっており、同性愛者やトランスジェンダーへの差別の問題も根深くあります。

男女の不平等、および、多様な性のあり方における不平等をさして、ジェンダー不平等の状況であるとされています。

問題の解消に参加する その1:家庭での実践

「構造的差別」の考え方においては、その構造をささえる一人一人がこの問題に参加してしまっていると考えます。この問題を解消するために、差別のない社会構造をつくることに一人一人が参加していくことが大切です。

ぼくにできることはほんの小さなことかもしれませんが、少なからず二つ心がけていることがあります。家庭内での実践と、アートイベントの開催時です。

たとえば子育て・家事の分担を可能な限り平等にすることを心がけ、家庭内のジェンダーバランスを考えて行動しています。

また子どもたちに「お姉ちゃんだから…」「男の子らしく…」といった言葉や装いを押しきせることを避けるようにしています。構造的な差別は「男/女とはこうあるべきだ」という思い込み(これをジェンダーバイアスといいます)から生み出されるものだからです。

問題の解消に参加する その2:アーティストを選ぶ

ぼくは個人の活動として、アーティストトレースというイベントを毎月開催していますが、そこでピックアップするアーティストを男性に偏らないように心がけています。

日本に限らず、世界各国の美術館の収蔵作品のほとんどが男性によるものであるとされています。美術手帖のこちらの記事によれば、男性作家による作品が78~88パーセントを占めているとされています。

こうした現状を省みて、たとえば「あいちトリエンナーレ2019」では、出品作家の男女比を1:1にするという試みが行われました。あいちトリエンナーレの理念にならい、ぼくも1:1の割合でアーティストを選定することを意識しています。

ほかにも、個人としてできることは何かを考えながら、たとえこれが焼け石に水であろうとも、続けていくつもりでいます。問題の一部になるのではなく、問題の解消の一部に、たとえ小さくてもなっていけるようにするために。

最後に

この記事に書かれていることはあくまでぼく個人の問題の整理です。ジェンダーに関してはさまざまな研究、実践があります。

もし詳しく学びたいという方がいらっしゃいましたら、こちらの本をおすすめします。



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