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個性を活かした新しい働き方としての「パッション・エコノミー」

「パッション・エコノミー」という言葉を今朝聴いたポッドキャストで初めて耳にしました。今までも「シェアリング・エコノミー」「サーキュラー・エコノミー」「ギグ・エコノミー」など、バズワードとして「〇〇エコノミー」という言葉は時代とともに生まれてきましたが、2020年においてはこの「パッション・エコノミー」が耳心地のよい新しいバズワードになりそうな印象を持ちました。

一言で言えば、「テクノロジーのプラットフォームが成熟してきたことで、自分が情熱(パッション)を持って得意なこと、好きなことを通じて収益を上げる(稼ぐ)ことが可能になる"新しい"働き方」のようです。必ずしもプログラミングやテクノロジーの知見がなくても始めることが出来て、何百万、何億PVというスケールを狙わずとも、ニッチなトピックに興味・関心を持ってくれる世界中のどこかにいる顧客とつながり、収益を上げることがいよいよ現実になりつつある、ということが特徴のようです。

上記のポッドキャストのゲストはアダム・デビッドソン氏(@adamdavidson)です。NPRにおいて長年経済ポッドキャストなどを運営し、現在はポッドキャスト・プロデューサーやNewYorkerのコラムを執筆しているジャーナリストです。ちょうどタイミングよく今週にそのものズバリの『パッション・エコノミー:21世紀に繁栄する新しいルール』という書籍も出版されるとのことです(日本語でも近く邦訳版が出版されそうですね)。

「パッション・エコノミー」の考え自体、実は目新しさはないかもしれませんが、ちょうど「シェアリング・エコノミー」の登場に併せて広がった「ギグ・エコノミー」の負の部分が少しずつ明るみに出て批判も浴びるようになってきた中で、注目が集まっているように思います。

画一的な業務内容でなかなか個性を活かすことが出来ず、多くを稼ごうと思うと長時間労働をせざるを得ず、顧客との長期的な関係性を築くことが困難、という点が「ギグ・エコノミー」に対する問題点として指摘されています。昨年暮れに話題になった映画『家族を想うとき』ではこうした負の側面が描かれているようです。

逆に、パッション・エコノミーにおいては、自分の得意なこと、好きなことを場所や時間の制約に囚われず、顧客と直接の接点を持ち、継続して関係性を構築しコミュニティを拡大する点が注目を集めているようです。こうした働き方を可能にするサービスとして数々の新しいプラットフォームサービスが登場してきています。国内で考えればYoutube, SHOWROOM、そしてnoteの有料課金サービスなどが該当するかもしれません。自分が情熱を持てることを発信したり、サービス提供することで収益を得ている人が本当に増えつつあることを感じます。

昨年秋にもアメリカの著名VCのアンドリーセン・ホロウィッツのパートナーであるLi Jin氏が「パッション・エコノミーと仕事の未来」についての記事を執筆し、大きな話題を呼んでいるようです。以下はその中で紹介されているパッションエコノミーを可能にするプラットフォームサービスの一例です。
*翻訳された記事はこちらでご覧いただけます(FoundX Review より)

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紹介されているプラットフォームサービスのカテゴリーの例として『ポッドキャスティング』、『ニュースレター配信』、『動画での講座配信』、『バーチャル・プロフェッショナル・コーチング』などが挙げられています。

それぞれのプラットフォームを活用することでプロフィールを掲載したホームページ画面を持つことが出来、集客・マーケティング、マッチング、コンテンツ配信、課金などが簡単にできるようになっています。

今までも楽天、メルカリ、Etsy、或いはBaseやShopifyなどを利用し物販やサービスをし、それぞれホームページを運営し、SNS、メルマガを駆使しながらスモールビジネスに取り組んできた人からすると、目新しさはない、と感じる人もいるかもしれません。先程の記事を執筆したa16zのLi Jin氏によると、「デジタル製品やバーチャルサービスに特化している」点も特徴のひとつのようです。

ビデオチャットサービスのZoomを利用した遠隔コーチング、学習支援チューターなどはパッションエコノミーに入るのかもしれません、また有料購読のポッドキャストやeメールニュースレターなども該当するのかもしれません。

自分自身もまだ十分に腹落ちしきれてない点もありますが、働き方の大きな変化の潮流を踏まえて考えると、地方在住者のスモールビジネスに従事している人、そして副業に取り組んでいる人、或いはそれらの働き方にこれから挑戦しようとする人にとっては、たくさんのヒントがあるのでは、と強く感じます。
書籍も読み、紹介されているウェブサービスも詳しく見た上でまた改めて
取り上げてみたいと思います。

追記:「パッション・エコノミー」として紹介されれているアイディアと併せて思い出したのがケビン・ケリー氏が2008年に書いたエッセイ、『1,000 True Fans (千人の忠実なファン)』(翻訳記事)です。ご興味ある方は是非こちらも併せてご覧ください。

Photo by Kaitlyn Baker on Unsplash

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