見出し画像

今だからこそ知っておきたいネットフリックスの創業物語〜「NETFLIX コンテンツ帝国の野望 :GAFAを超える最強IT企業」

ネットフリックス、以前は折に触れてシリーズものを観る程度だったのですが最近は気になる作品が数多く配信されていることもあり、つい視聴する機会が増えているような気がします。

そう思って検索しただけで本日配信と思われる『シン・ゴジラ』がネットフリックスで視聴可能となってることを見つけました。一番安いベーシックプランであれば月額864円でいつでもどこでも動画コンテンツを観ることが出来ます。すごい時代になったものですね。来年以降には5Gが本格的に利用されることでモバイルで視聴は通信速度が100倍になり、ますますストリーミング配信の利用が広がりそうです。

さて、そんな中で気になるタイトルだったので手に取ったのがこちらの書籍『NETFLIX コンテンツ帝国の野望 :GAFAを超える最強IT企業』。簡単に読後感を記しておきたいと思います。

この本を読んでみようと思ったきっかけは、ネットフリックスに関してのオンライン記事はたくさんあるものの、ネットフリックスが生まれたアメリカと日本とではテレビに関する視聴習慣がだいぶ異なることもあり、なかなか体感的にその成り立ちを理解しにくいと感じていたからです。著者のジーナ・キーティング氏はロイター通信記者としてメディア業界を取材していた中でネットフリックスに出会い、本書はその後記者を辞して書き上げた著作です。

1997年の創業から2012年までの黎明期に郵便DVDレンタルサービスとして始まったネットフリックスが、日本におけるツタヤのような巨大ビデオレンタルチェーンである「ブロックバスター」を破産に追い込み、今までにないストリーミング配信サービスの帝国の礎を築いたか、その戦いの歴史が詳細に描かれています。

ネットフリックスの本当の創業者と呼べる人物は、現在のCEOとして注目を浴びているリード・ヘイスティング氏ではなく、マーケティングと家族的な経営を重視して初期のチームを率いていたマーク・ランドルフ氏という存在がいたことを知れたのは新しい発見でした。フェイスブック、アップル、マイクロソフト、ツイッターなどでも、創業期に創業者同士での人間模様でのドラマがあったり、多様な価値観の衝突があることが一般的なのかもしれません。ただ、現在世界で1.5億人もの購読者を抱える企業の原点、繰り返し行われてきた試行錯誤の歴史はとても興味深いものがありました。

ビデオレンタル業界の帝国で君臨していたブロックバスター社が、デジタル化の時代の流れに追いつくことが出来ず、みるみるうちに売上減少、破産に至る経緯が、ドラマのように描かれています。デジタル化によってもたらされる大きな時代の変化をどのように見極めるべきか、多くの学びが含まれています。

ネットフリックスが「FANG(ファング)Facebook, Amazon, Netflix, Google」として巨大テック企業として高い評価を浴びるようになるのは、実はこの書籍が書かれた2012年以降の快進撃の次期を経て、特に国内では黒船として上陸した2015年以降に、そのイメージが形作られてきたように感じます。

先月の発表では米国内の購読者が初めてマイナス成長になったことが話題になり、「今後の成長に暗雲か」、という不安を指摘する記事もあるのも事実です。今回創業期のドタバタを乗り越えてきたネットフリックスの歴史を知ることで、今後ストリーミング動画配信業界が戦国時代を迎える中で、アップルTV+、ディズニー+、フールー、アマゾン・プライムなどとの戦争の行方に、ネットフリックスの持つ成長物語に、俄然興味を持つことが出来ました。

来年の夏にはオリンピック、パラリンピックが日本で開催され、NHKが同時配信をスタートし、TVer、アベマプライムなどでのインターネット配信が5G環境の中で本格化していくことと思います。そんな近未来に備え、読み応えのある一冊のような気がします。過去10年間の間に米国でストリーミング動画業界がどのように成長してきたか、なぜ既存大手企業が恐竜のように変化に適応出来なかったのか、気になる方は以下の記事や書籍もご覧ください:)
---------------------------------------------------------------------------
とても分かりやすい書評記事を早稲田大学ビジネススクールの入山章栄教授が書かれてます。

書籍の部分抜粋もPRESIDENT ONLINEの記事で紹介されています。


お読みくださってありがとうございます!国内外の気候変動、クライメートテック関連の情報をメディア目線で切り取って発信を試みてます。スキをクリックしてくださったり、シェア・コメントなどいただけたらとても嬉しいです