Burning Japanが教えてくれた"Gifting"と"Give"のとても大きな違い
"Gifting"と"Give"の違い。
これまで私の中で、"Gift"と"Give"はほぼ同義だと認識していました。正確には同義だと意識することもなく混同して使っていたように思います。
先日、Burning Japanというイベントに参加し、その概念はガラリと変わりました。
今回はBurning Japanへの参加を経て変化した"Gifting"と"Give"の捉え方について書きたいと思います。
GiftingとGiveの意味
まずは言語的にGiftingとGiveの意味にどんな違いがあるかを見ていきましょう。
とあります。一方、Giveは
となっています。この意味を紐解くと、Giftには"贈る"という意味が、Giveには"与える"という意味があることが分かります。どちらも相手に何かを渡すという部分は共通しているように思いますが、"贈る"という思いを持って渡すことと、"与える"という思いを持って渡すことには大きな違いがあるのです。
この違いに気づかせてくれたのがBurning Japanでした。
Burning Japanとは
Burning Japanの公式サイトの案内の引用ですが、こちらがBurning Japanの説明です。
この説明の中で出てくるバーニングマン (Burning Man) は、アメリカ・ネバタ州の何もない平原で約1週間に渡り開催されます。
そしてこのBurning Manの説明にあるように、参加者は「自分たちを表現しながら生き抜いていくのです」
参加者それぞれが傍観者にならずに自分が表現したいことを表現し、与え合い過ごす、それがBurning Manであり、Burning Japanなのです。
Burning Man / Burning Japan の10原則
そして大きな特徴として、Burning Manには参加に際して10原則があります。この10原則はBurning Manについてその根幹となる価値観やいまある状態を表したものです。イベントの規則というよりは、そこでのユニークな暮らしぶりを続けるのに必要な原理原則を表したもので、参加者が折りに触れて立ち返る心の拠り所でもあります。(Burning Japan公式サイトより)
私がBurning Japanに参加し驚いたのが、この10原則を参加者みんなが受け入れ、体現しており、10原則こそがBurning Man、Burning Japanを表すものだったのです。
この10原則は、参加者が「傍観者にならない」という大原則のもと、どのように表現していくのべきかを示しています。
Burning Japanでの3日間
今回私はBurning Japanの共同発起人の一人でもあるアフロマンスさん のテーマキャンプに参加させてもらいBurning Japanに初参加しました。
アフロマンスさんのテーマキャンプでは、DJブースやBar、テントサウナにキッチンカーなどがあり、そこにいるだけでも十分楽しい空間と仲間がいる場でした。
(Burning Japanには複数のテーマキャンプがあり、それぞれのテーマキャンプを自由に行き来して過ごします。)
その中で、参加者それぞれが傍観者にならずに自分たちに出来るGiftingが何かを考え参加していました。
私は日頃から毎朝必ずコーヒーをドリップして煎れているほどのコーヒー好きなので、皆さんにコーヒーをドリップで振る舞うことにしました。2kgのコーヒー豆を持参し、テーマキャンプにいる時はコーヒーを淹れて皆さんに飲んでいただきました。朝夕は割と寒かったこともあり、多くの方に喜んで飲んでいただけたのがとても嬉しかったです。
また他の参加者のGiftingとしては、たくさんのご飯を作ってくれたり、フルーツを配りに来てくれる人、歌を歌ってくれたり、絵を描いてくれるアーティストなど、参加者みんなが文字通り傍観者になることなくGiftingをしながらBurning Japanでの時間を楽しんでいました。そしてお金が一切通じないBurning Japanの世界なのでこれら全ては無償なのです。
様々なGiftingと出会う中、とても印象に残っているGiftingがありました。
それはメインの音楽フロアにあったBarだったのですが、とてもユニークな仕組みでした。Barには様々なお酒のボトルが置かれているのですが、その手前に光のチューブとボタンがあり、お酒を頼むとボタンを押す流れになっていました。で、ボタンを押すとお酒のボトルの前にあるチューブの中を光が行き来し、1分弱くらいかけて止まるのです。で、その光が止まったところにあるお酒を飲むという流れです。自分が飲むお酒が決まるまでの間、Barの人や並んでいる参加者とコミュニケーションを取ります。それはとても穏やかで楽しい時間でした。
商売としてお酒を販売しているのであれば如何に効率的にお酒を出していくかを考えるでしょう。それに対しBurning JapanのBarでは何のお酒を出すかに約1分かけるのです。これはGIftingが前提だからこそ実現出来たことであり、日常生活では出会えない体験でした。
Giftingにおいて大切なこと
こうしたGiftingですが、いわゆるビジネスや商売との最大の違いとして感じたのは、Giftingしている人が「心から楽しんでいる」ということです。自分が心から楽しいと思って"贈る"からこそ、日常ではなかなか味わえない、ゆとりのある素敵な空気を生み出すのです。
そして自分が贈る行為に対して見返りを求めていないことも、とても大切なことであり、そこにいる人みんながポジティブな気持ちになる場を作っていました。
GiftingとGiveの違い
Burning Japanでの体験を通じて、私なりに感じたGiftingとGiveの違いについて考えてみました。
以前よりGive & Takeという考えは浸透しており、最近ではまずGiveをしようというGive Firstという考えも目にする機会は多くなっています。
こちらの記事の中で
と書かれています。この"ギブファースト"という考えに"Gifting"と"Give”の違いを感じるのです。Giveは最終的にTakeすることが前提になっていると感じます。だからこそ"最初にGiveしよう”という考えが生まれるのではないでしょうか。それに対し"Gifting"は見返りは求めていません。そこに大きな違いがあると考えています。
まとめ
見返りを求めず、自分が楽しいと感じ、みんなの喜ぶ顔が見たくて能動的におこなう"贈り物"が"Gifting"であり、だからこそとても気持ちの良い場、素敵なコミュニティが生まれるのです。
経済的な話をすると"Gifting"は見返りを求めていないので、自分が出来る範囲で実施する必要があります。無理をしてしまうと自分が楽しむ気持ちが薄れてしまいます。
自分の出来ることを能動的に考え、みんなに贈る世界。
経済社会に生きる私たちの日常においてGiftingだけで過ごすことは難しいことも事実です。でもGiftingという考えを持った上で行動してみると少しですが社会を素敵に出来る。今ではそう考えています。
そして、そのような考え、経験という大きなGiftをくれたBurning Japanに心より感謝しています。