キャプチャ

夢のコピーロボット

「念じるだけで物体を動かす」というモチーフは、超能力や魔法の一種として古今東西のフィクションで描かれてきました。みなさんもそれぞれ思い浮かべる作品があるはずですし、「もし自分にもそんな力が使えたら」と想像した経験もあるのではないでしょうか。

実はそれ、もうできるんです。それも人知を超えた摩訶不思議な力ではなく、脳波を検出してロボットへの指示に使うという、極めて科学的な技術で。まさに「十分に発達した科学技術は、魔法と見分けがつかない」(アーサー・C・クラーク)ですね。本当にそんなことできるの?と気になりませんか。日経電子版の連載企画「Disruption 断絶の先に」の最新回で詳しく取り上げています。

脳波でロボットの手足を操れれば、身体障害や高齢で体の自由が利かない人でも、思いのままに動けるようになります。これだけでも十分画期的ですが、この技術、使いようによってはそれにとどまらない可能性を秘めています。

装着しなくても、独立したロボットを動かせたら……。詳細は記事に譲りますが、私がイメージしたのはパーマンのコピーロボットです。パーマンの世界と違ってすべて自分で動かさないといけないのは大変ですが、たとえば自分は食事をしながら身代わりのロボットが洗濯物を干す日は遠くないかもしれません。

とはいえ、何でもかんでも脳波の通りにロボットが動いたら、うかつにあんなことやこんなことを考えられなくなってしまいますね。記事でも指摘されている通りまだまだ課題も多いですが、不可能と思われたことが次々と可能になるDisruption(創造的破壊)の時代、いずれクリアできるはずです。それまで、「コピーロボット」に何をさせるか考えながら待ちたいと思います。

(日本経済新聞社デジタル編成ユニット 森下寛繁)

「Disruption 断絶の先に」バックナンバー

先端技術から生まれた新サービスが既存の枠組みを壊すディスラプション(創造的破壊)。従来の延長線上ではなく、不連続な変化が起きつつある現場を取材し、経済や社会、暮らしに及ぼす影響を探ります。