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もう「願望」も示せなくなったのか?【日銀政策の近況整理】

1月22~23日の金融政策決定会合で、日銀は現行の長短金利操作付き量的・質的緩和の枠組みを継続することを7対2の賛成多数で決定しました。予想通りの結果ではありますが、今回の展望レポートで示された物価見通しは無視できないものがあります。消費者物価指数(除く生鮮食品、消費税率引き上げ・教育無償化の影響、以下単にコアCPI)に関し、2018~2020年度の見通しを見ると、前回10月の「+0.9%/+1.4%/+1.5%」から「+0.8%/+0.9%/+1.4%」へと広範に下方修正されました。2019年度の▲0.5%ポイントという大幅下方修正もさることながら、より注目すべきは2020年度の物価見通しまで引き下げられた点です。

黒田体制では、展望レポートにおける「予測期間の最も遠い2年後の時点(今回で言えば2020年度)」は通常、予想というより日銀の希望・期待・意気込みが反映されやすく、それゆえに「願望」レポートとも揶揄されてきた経緯があります。体制発足後、「2年後のコアCPI予想」だけに着目すれば、基本的には「+1.8~2.0%」のレンジで推移してきました。この予想は全く当たってきませんでしたが、元より2年後の物価予測など誰も期待しておりませんので、大きく問題視されることもありませんでした。しかし、2018年7月の展望レポート以降、「2年後のコアCPI予想」はこれで3回連続の下方修正です。もはや「願望」を提示することも苦しい状況に変わってきたということでしょうか。しかも、今回示された2019年度から2020年度へのジャンプアップ(+0.9%→+1.4%)も比較的、苦しい予想であることには違いなく、「2年で2%、短期決戦」という当初の御旗からは隔世の感を覚えます。

このままいけば、次回4月の展望レポートから追加される2021年度見通しも+2%に届かない可能性があります。その場合、今回反対票を投じた片岡・原田両審議委員は当然現状維持に反対するでしょう。注目は、執行部を割ってでも若田部副総裁が反対票を投じる動きが見られるのかどうか、です。そうなったからといって大勢(現状維持)に影響が出るとは思えませんが、今後金融市場の1つの関心事として浮上してくる可能性はあります。

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