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子供たちの未来と、親の世代にできること

かつての仕事仲間で集まる新年会での会話。お子さんが成人する前後の年齢になる人も多く、ひとしきり大学進学と就職のことが話題になった。

その中で、医師を目指し、医学部を受験するというお子さんの話が出たことをきっかけに、血がダメだからウチの子は医師は向かないとか、医学部に入り卒業するまでの費用が共働きでもないと賄えない、といった話に花が咲いた。

そんな会話を聞きながら思ったのは、果たして、医師の仕事は子供が社会の主役になる時代にも今のまま、私たち親の世代が常識として捉えているままなのだろうか、ということ。

AIそしてロボットの登場で、人間の仕事、働くということは、この先大きな変化が起きると考えられる。医師の仕事にも色々な面があるが、診察をして病名を診断することの大部分や、例えば盲腸の手術のように一般的でありふれたものは、徐々にではあるが、人間の仕事ではなくなってくる可能性が高いと思う。診断や手術のミスの程度が人間を下回るようになれば、誤診や医療事故も減ることになるし、セカンドオピニオンが必要になる場面も限られ、人間の医師の出番が減ってくることになるだろう。記事にある「1→9の仕事」が医師にも存在しており、究極には医師であっても「0→1の仕事」と「9→10の仕事」しか残されなくなるはずだ。そうなると「血がダメだから医師には向かない」というのは過去の話、ということなってくるのかもしれない。

その時に、果たして、一般的な医師はこれまでと同じように「稼げる」仕事であり続けるのだろうか?そうではなくなるなら、医師として一人前になるまでにかかる高額な費用はペイしない、ということにもなるかもしれない。あるいは、「0→1の仕事」や「9→10の仕事」に特化した医師になる必要が出てきて、それは、これまでの医師一般に求められてきたスキルや能力とは異なるものが要求されるようになるのかもしれない。そういう未来を考えた時に、子供たちが医師を目指すという選択は、親がこれまでの常識をもとに期待していることとは、全く違った未来につながって行くのかもしれない。

たまたま医師の話が出たので医師について考えたのだけれど、これは何も医師に限った話ではない。2050年には9割の人がまともに働いていない、という予測もあるのだから、人間の仕事ではなくなる職業の方が多いとも考えられる。

9割が働かないのなら、働かなくてもなんとかなる社会にはなっているのだろうから、いたずらに不安になる必要はないと思うけれど、「ライフシフト」にもあるように、一つの仕事を続けて一生を終えるということが一般的ではなくなることは、おそらく間違いのない未来のように思う。

子供は親の考え方に大きな影響を受け、職業観についても同様である。若いからもっと柔軟で自由な発想を持っているかと思うと、案外コンサバで自分たちが若かった頃と大差ないように感じる部分もあったりするのは、そういう影響による部分が大きいのだろうと思う。

そのような状況を客観視して、どんな職を目指すにせよ、今ある職業が消えたり、消えなくても今とは求められる知識やスキルが変わるかもしれないこと、あるいは新しい仕事が生まれてくること、そうした様々な職業や働き方を、一生の中で柔軟に組み合わせたり移り変わったりしながら生きて行くであろうことを、子供の世代に伝え理解させていくことが、今できる精一杯の親世代としてのつとめかな、と思いながら話を聞いていた。

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