リソース配分の前に、リソース獲得。ポートフォリオマネジメントの前に、PMF。制度作りの前に、カルチャー作り

(※社内報の公開です。メモ的に書いてあるので、読みにくい部分があるかもしれません。箇条書き的に書いてあります)

リソース配分を決める、ポートフォリオマネジメントをする、社内制度をつくる。

これらは非常に重要な仕事であるし、やったあと非常に達成感が得られる。しかし急成長企業ではこれの前に(あるいは同時に)もっとやらねばいけないことがあることに留意しないといけない。

  • リソース配分の前に、リソース獲得

  • ポートフォリオマネジメントの前に、PMF

  • 制度作りの前に、カルチャー作り

の3つを取り上げる。

リソース配分の前に、リソース獲得

急成長企業における意思決定では常に何かを諦める必要がある。事業機会にたいしてリソースが常に足らない。なのでリソース配分はとても重要な意思決定である。

一方その裏で、常にどうやったらリソースを獲得できるかを考えないといけない。考えた上で実行もしないといけない。ここでいうリソースは特に「人」のことを指す。特に急成長企業では「有望なアイデア」よりも「実行・経営できる人」の方が希少な状態が発生する。

基本的にリソース獲得は困難が伴う。リソースはほっておいても獲得されない。リソース獲得は意図的に実行しないと、うまくいかない。急成長企業ではリソース獲得の速さは有望なアイデアの出現する速さよりも必ず遅くなる。その事実に甘んじず、どこまでリソース獲得と向き合えるかが大事である。

リソース獲得を考えずにリソース配分ばかりを考えている組織は、リソース獲得ができる組織に必ず敗北する。(しかもかなり大差で負ける可能性が高い)

高いレベルの競争では、アイデアでの差分は出ない。競争相手も大抵は同じようなことを思い付いているが、実行力に差が生まれる。(我々も思いついていたのに…というのはいいシグナルではなく、悪いシグナルである)

実行力の差はアイデアを並列に試す力から生まれる。アイデアを並列に試す力は、リソース獲得と組織運用の巧みさから生まれる。多くの場合、シンプルにリソース獲得の差が結果の差につながる。

ポートフォリオマネジメントの前に、PMF

急成長企業では、事業を進めていくことで、「顧客との対話からの気づき、データからの気づき、競争相手からの気づき」により、アイデアが溢れ出てくるタイミングが存在する。これらのアイデアを実行していくと、事業・プロダクトが複合的になっていく。そうなると必然的に、ポートフォリオマネジメントを行うことになる。

ポートフォリオマネジメントの原則は、限りあるリソースの配分を決めて、ポートフォリオ全体としての期待リターンを最大化させることにある。なのでポートフォリオマネジメントの裏にはかならず「うまくいくものと、いかないものを見極める」という要素が含まれる。

この時気をつけたいのは、ポートフォリオの中身1つ1つを絶対に成功させるという強いコミットが前提にないといけない。結果的にうまくいかないものが出てくるという話であり、始める時から、「弱めの投資で様子をみよう」「10個のうち1つあたればいい」みたいなやりかたでは絶対にうまくいかない。

たかだか数個の事業しかないような企業はそもそも「全部当てる」べきで経営すべき。ここでいう当てるは売上規模の話ではなく、PMFに到達するか・否かという話である。

実際に進めていくと、事業ごと、プロダクトごとに成長カーブにばらつきが出る。成長の要因や構造も違う。全部をPMFさせた後に、これらのばらつきや構造を考慮しながら、「ポートフォリオマネジメント」をする必要性が出てくる。

制度作りの前に、カルチャー作り

急成長企業では、急激な事業の拡大と組織の拡大が起こる。事業で扱うお金は増え、組織の人数が増えるにつれて、規律の維持や方向性をそろえるための制度が必要になってくる。

  • 決裁権限規程

  • 人事評価制度

  • 報酬制度

  • 社内稟議規程

  • 内部統制

  • 会議体の設計

  • …etc

大前提こういった制度設計は非常に大事である。整備すべきものである。ただし制度は作ったらワークするというものではない。制度がきちんとシステムとしてワークするには、そもそも土台としての会社のカルチャーが必要である。

制度作りには、とても仕事感がある。(実際とても大変である)
制度が完成すると、とても満足感も出てくる。制度があるから組織が健全にワークするという期待をしてしまう。もちろん制度作りは大切だが、その前にまず、会社としての強固なカルチャーを作り上げる必要がある。

会社の日々の意思決定は、その会社のカルチャーを基準に行われる。カルチャーがない状態で制度だけいれても、ワークしない。ここを無視するとカルチャーとは乖離した他社の制度をチェリーピックしてしまうミスもしてしまう。(あの会社のあの制度がいいと聞いた。入れてみよう)

カルチャーがある上で、それにあった、一貫した、かつオーソドックスな制度をいれるからうまくいく。制度は奇抜ではなくオーソドックスであるべき。事業の個別具体の課題は会社によって様々だが、お金の問題であったり人が集まって起こる問題というものには多くの組織に共通性がある。なのでそういった共通性のあるものに対しては、時の流れに耐えて生き残ったオーソドックスな仕組みを採用すべきである。その上で自分たちのカルチャーにあったちょっとしたカスタマイズやチューニングしていく。

カルチャーという軸があると、世の中に散らばっているプラクティスを入れるべきか、入れないべきかの判断もつく。制度の前に、カルチャーを作ろう。

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