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20年前の社説が毎年くれる刺激

2021年は社会人20年目の記念すべき年。20年・・文字にしても、呟いても、自分のことではないような不思議な気分です。

20年前はこんな働き方をしているなんて想像もしていなかったし、なんならあんなに早く働きたいと思っていたのに、前日に同期や後輩たちと行ったライブが楽し過ぎて「やっぱり社会人になるのちょっと嫌かも」と思っていたのを今でもよく覚えています。

(ちなみにそのライブは、GREENDAYの来日ライブで、前座がGOING STEADY、SNAIL RAMP、MONGOL800と大学時代をぎゅっと詰め込んだようなライブでした・・・)

そして2002年4月1日、社会人としての1日目は、実はまた違った意味で特別な日だったことも、よく覚えています。その日は、高校の友人がNHKの朝ドラのヒロインとしてデビューする日でもありました。私が社会人になることと彼女のデビューとはものすごく差がありますが(笑)、毎朝彼女の姿をテレビで見れることはすごく励みになっていました。後にも先にも朝ドラちゃんと見たの、これだけかもしれません。

そして4月1日に大事にしなさい、と言われたのが、日経新聞の社説です。

就職活動で色々相談にのっていただいてお世話になった方に、「4月1日の社説は特別。自分への激励のメッセージだと思って、ちゃんと切り抜いて事ある毎に見返すことをお勧めします」というアドバイスを頂き、ちゃんと守って今でも大事にしまってあります。

「夢を持った新社会人に期待する」

というタイトルがつけられた社説。

「過去の夢は、現在の希望になり、明日の現実になる」「未来は現在に、現在は過去に、過去は永遠の後悔となる」この世の中で確かなことを一つあげるとすれば、それは時間だろう。

という米国の発明家でありロケットの父と言われたロバート・ゴダードの言葉から始まる2002年4月1日の社説は、ビル・ゲイツの話にも触れています。新しい技術が次々に生まれてきて、今まで夢だと思われていたことが実現していく世の中になっていくであろう・・という一方で、日本青少年研究所が出した「中学・高校生の21世紀の夢に関する調査」の結果について取り上げています。”人類にとって21世紀は希望ある社会になる”と中国が89%、米国が64%と回答したのに対して、日本の中高生の回答は34%だったという結果に。

確かにBSE(牛海綿状脳症)の農林水産省の対応や、外務省などの政治家の不祥事が多発し、雪印牛肉偽装事件があったりと大企業不倒神話が消えていく・・そんな時代でした。でもこの社説では全ての人が信頼回復に努めることが必要だ、という言葉と共にこんなエールを新社会人に送ってくれていました。

もう他人任せは通用しない。政治を変えるのも、企業を変えるのも、そして財産を守ることも自分たちの責任だ。夢を持った新社会人こそ「舞台としての日本」を魅力あるものにかえる潜在力を持っている。

2002年当時、私は社説に書いてあるほど社会に対してがっかりはしていなかったし、むしろここから変えられるチャンスの方が大きいのでは、と思ってたと思います。まだ何者でもなくて、何を変えたいのか、何を成し遂げたいのかも具体的には考えていなかったと思いますが、朝ドラの主人公の「さくら」が毎日新しいことに挑むように、私には”挑む”チャンスが沢山あるんだということにワクワクしていたのを、久しぶりに切り抜いた社説を読んで思い出しました。

20年経つと色々なことがあるし、”舞台としての日本”を魅力あるものに変えられているのか、と問われるとまだまだ。毎年4月に見返すこの社説に、毎年喝を入れられている気分です。

今年の4月1日の新社会人に向けた社説は「「わきまえない新人」を目指せ」。もう”切り抜き”をする人はそこまで多くないのかもしれませんが、きっと毎年、あるいは然るべきタイミングで2021年の新社会人の誰かに刺激を与えてくれると思います。


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