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想いを伝える道具、地域通貨

コロナ禍もあり、キャッシュレスがじわじわと広がっている。ポイントカードや商品券、さらには給付金などでもデジタル通貨がよく使われるようになってきた。システムの設定さえ乗り越えれば、管理が容易でコストが掛からない。もう少し簡単に設定できるようになれば普及が加速すると思う。

「デジタル地域通貨広がる、今年度20超の自治体で導入」という記事を目にした。地域を盛り上げるべく、プレミアム付き商品券やふるさと納税の返礼品に活用している。いずれも、発行地域を限り、利用できる店舗やサービスも地域にゆかりがあるものに設定されている。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO66777870Y0A121C2EA5000

地域通貨を使って、観光などで域外からのお金を取り込むと共に、域内のお金もぐるぐる回すことで、域内の経済を活性化する取り組みだ。地元に根付く色々なイベントを知ってもらうきっかけや、メジャーではないが魅力的な場所に訪ねてもらうきっかけにもできると考えている。

面白い動きもある。例えば長野県上田市の取り組みだ。上田市の地域通貨は、店舗と利用者をつなぐ仕掛けがある。飲食店の仕事の手伝いやボランティア活動などをすると、通貨を貰える。通貨は市内の飲食店で特別メニューを注文する権利など、お金では買えない特別なサービスに使うことができる。参加する団体が創意工夫を競い合えば、街の魅力が高まるのは間違いない。因みに、地域通貨の名前は真田家の家紋にちなんだ「もん」だ。地元愛が増幅されるとても良い名前だと思う。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO66974970T01C20A2L21000

香川県では、地元プロバスケットボールチームと連携し、地域通貨をためると選手から指導が受けられるという事業を始めた。これは利用者と地元のプロバスケ選手をつなぐ取り組みだ。小中学校のバスケ部の生徒と保護者にポイントカードを配布する。溜まったポイントを使えばプロ選手から直々に指導が受けられるという仕組みだ。プロ選手の地域への貢献メニューを生徒指導以外の活動に広げたり、他のスポーツや趣味などのセミプロによる活動などに裾野を広げたりすれば、街ぐるみの活動に仕立ていける取り組みだと思う。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO66869340R01C20A2LA0000

似たような通貨に、仮想通貨がある。国を跨いだ決済のスピードやコストにメリットがある。新しい資金調達や投資の手段としても使われる。これはこれで良いと思う。もちろん、地域通貨にもこうした特徴を活用することはできるが、地域通貨にはぜひ突き詰めて欲しいことがある。それは「地域や街の想いを伝えて、新しいつながりを育むこと」だ。

その地域や街で大切にしてきた、大切にしていきたいものを「見える化」して、それらを伝えるための道具にして欲しい。街全体、街の隅々までを過去から現在まで見渡して、大切にしたいものにつながる「ありとあらゆるもの」に、地域通貨を紐づけて使っていく。こんな取り組みに仕立てていきたいと思う。仮想現実、5Gなどの最新技術との相性も良さそうだ。どこかの街で試していきたい。

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