涙ながらに首相辞任を決めたメイ首相の後釜を決めている英国であるが、英国の新首相はやはりメイ首相と同じ問題に直面するのではないだろうか。すでに合意に至った協定内容に対する大きな変更をEUが受け入れる可能性は低いであろうし、しかも、10月末の離脱予定日までに英国議会がEU離脱案を承認できる可能性は極めて低く、合意なき離脱となるリスクは大きい。

保守党の新党首候補として、現時点では6人。有権者全般や保守党員の平均よりもユーロ懐疑派が多いため、EUに対する挑戦的なレトリックがしばらく続くことになりそうである。また、EUに離脱期限の延長を申請するかどうかという問題についても、結局は延長せざるを得ないという結論になるにせよ、世論調査で筆頭候補であるジョンソン元外相は10月31日に離脱すべきという見解を公式に表明しているため、リスボン条約第50条の延期は困難と判断する可能性もある。

そうなると、議会が介入してくるなども考えられるが、何せ時間が限られる。通常、議会は7月の中・下旬に夏季休会となり、党大会は9月中旬から10月初旬にかけて開かれる。そのため、議会が「合意なき離脱」を回避する上での時間は限られている。保守党の新党首が発表されるのは7月22日の週となる予定にある。

ここからの選択肢は三つ。総選挙や国民投票などの上で、①合意なき離脱、②合意あり離脱、3離脱撤回、のいずれか。合意なき離脱は40%程度と見ているが、これは、金融市場としてはもっとも回避したい決定が下される可能性が大きいということを示す。

先送りを決断しては、また行く先知らずとなり、事態が収拾しないまま、また先送りを決断。不透明感を漂わせることを繰り返して来た“ブレグジット”。しつこく長引いているがため、正直興味が湧かなくなってきている向きも多いであろうが、いずれに進んでも“いばらの道”になりそうであり、気は抜けない。

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