「続けていく事」は「思い込みをなくす事」
お店やブランドを始めて本当に大事なのは「続けていくこと」だと気づきます。 当たり前のことですが、これが実に難しい。 「続けていく」ためには、1日1日、一見わからないくらい小さい変化でも変化しないといけないと学びました。それを怠ると、いつか続けられなくなる。変化をやめるとジワジワと終わりが近づいてくるのです。「続けていく事」ために必要なことををMinimalでの実際の事例で考えてみました。
なぜ板チョコ原理主義者の私がガトーショコラを売ったのか?
Minimal - Bean to Bar Chocolate -を立ち上げて7年と半年が経ちました。私がMinimalを立ち上げた7年前のメニューはシンプルに板チョコレート8種類だけ、でした。
板チョコが一番思想を体現した商品
そもそもMinimalが創業から一貫して追及しているカカオ豆からチョコレートを手仕事でクラフト的に造るというスタイル。これは「Bean to Bar」という新しいムーブメントです。この新しい流れは、今から10年~15年くらい前から世界で同時多発的に起こり、従来の高級ショコラのカウンターカルチャーとして始まりました。
その文化的背景に共感して始めた事もあり、キラキラしたチョコレートスイーツではなく、シグニチャーとして板チョコレートを売って行くんだ。それがカカオ豆というチョコレートの素材に焦点を当てたカウンターカルチャーとしてのBean to Barにおいては最高にクールで、お客さんには副材料の甘味ではなく、カカオ豆を多様な風味を伝える一番の方法であると考えました。
そして、もちろん今でもその考え方は変わりません。
板チョコレートからガトーショコラ、そしてスイーツ
しかし、メニューはずいぶんと増えました。当初の数年間は板チョコレートのみであったことから、2019年にガトーショコラ専門店を立ち上げました。
そして、2020年のコロナ禍を機に毎月月替わりのチョコレートスイーツをつくりはじめました。去年2021年にはガトーショコラに季節の果実を使った限定を始め、果実を主体活かすスイーツを作るようになりました。
7年前の当初の私が今のメニューをみたら、「なんで板チョコレート以外を売る必要があるのか?」と真顔で怒られるかもしれません(笑)
「続けていく事」が非常に重要で、とても難しい
それほどの板チョコ原理主義者の私が、少しずつメニューを板チョコからスイーツに拡げたのは、7年間のクラフトブランドの経営において、大きな学びがあったからです。
それは、店舗やブランドにおいて「続けていく事」が非常に重要で、それはとても難しいということです。そして、「続けていく」ためには常に変化をしつづけていくことが大事であると気づきました。
「続けていく」ためには常に変化と向き合い続ける
当たり前ですが、永遠に同じ状態を保ち続ける事は出来ません。
それは、外部の環境は常に変化しますし、お客さんもスタッフも関わる人も年齢を重ねたり変化し続けます。だから、お店は開店のその日からほんの少しでもいいから変化し続けないと「続けていく事」ができないのです。
だから、板チョコレートを売ることにこだわりをもちつつ、もっと自分達のカカオ豆の香りが活きた新しいチョコレートを拡げていくためにガトーショコラ専門店を始めました。ガトーショコラをつくるきっかけはお客さん達の声です。
「Mnimalのチョコレートでガトーショコラをつくったら美味しそうです、ぜひいつかつくって下さい!」
こんな声をたくさんもらいました。それは、続けていなかったら聞こえてこなかったし、本当に腹に落ちてわからなかったことであると思います。
「続けていく事」は「思い込みをなくす事」
「続けていく」中で、既存の考え方を新たな観点から見つめ直すことがいかに大事であるかを痛感します。
人間は変化を嫌う生き物?
人間は変化する事が結果として良いコトだとしても、そもそも変化する事を嫌う生き物のようです。現状維持バイアスというらしいのですが、変わる事が良いことかどうかは関係無く、現状維持をしたいという生き物なのだと(笑)本当かどうかはわかりませんが、私自身も現状維持バイアスといわれる事を感じることはこれまでの人生においてとても多い気がします。
変化をやめるとジワジワと終わりが近づいてくる
「続けていく」ために、まずは変化するきっかけをどのように作り出していくかがとても大事です。それを怠ると、いつか続けられなくなる。変化をやめると知らないうちにジワジワと終わりが近づいてきます。
上述したように外部環境や周りの変化は避けることはできません。店舗やブランドを始めて見て痛感したのは、現状維持は限り無く衰退に近い!というある意味知りたくなかった事実でしたw
変化を阻害するのは「思い込み」
私が店舗やブランドを続けていく中で、変化を阻害しているのは、「思い込み」であることに気づきました。
私が板チョコ原理主義者であることはブランド始めた7年前も今も変わっていません(笑)
ではなぜガトーショコラやスイーツを売るという変化ができたのか?
それは、シンプルに思い込みをなくしたからです。7年前は、板チョコレートがBean to Barというカンターカルチャーの象徴だからこそ、板チョコ以外のチョコレートスイーツを売るのは邪道だという思い込みが知らないうちにありました。
「続けていく事」の第1歩は「思い込みをなくす事」
常に変化にさらされる環境で何かを「続けていく事」のための第1歩は「思い込み」を疑ってみることだと思います。そして、「思い込みをなくす事」が既存の考え方を新たな観点から見つめ直すことに繋がっていきます。
とっても恥ずかしい話ですが、ブランド始めた頃においしいものさえつくればお客さんはついてきてくれるはずだと思い込んでました。これはある一定正しいと思いますが、おいしいものとはお客さんの主観です。だから、品質を上げる努力は絶対に怠ってはいけませんが、それが良いモノと伝わり、評価されて、初めてお客さんに美味しい!と思ってもらえます。つまり、美味しいものをつくれば自動的にお客さんがついていただけるのではなく、少なからずそれを伝える努力をしないといけません。
とても近い話がアンラーニングという概念で以下の記事に紹介されてますので参考に。
「続けていく」と良いコトがたくさん起こる
板チョコのみを売っていた私達が、「続けていく」ために板チョコしか売らないという「思い込み」をなくして、ガトーショコラ専門店を立ち上げて、果実を主役にしたチョコスイーツを作り始めたことによって良いコトがたくさん起こりました。
良いコト1:技術の深化・進化
まず、スイーツを始めた事で、自分達のカカオ豆からチョコレートを造る技術が飛躍的に上がっていきました。
単体で完成する板チョコレートはカカオ豆の個性を最大化する技術。一方でスイーツの他の素材や材料に合わせてチョコレートをつくるのは、カカオ豆を個性を活かしながら最適化する技術です。
加えて当たり前ですが、チョコレートをつくる技術に加えて、スイーツをつくる技術も上がっていきました。
良いコト2:お客さんの広がり
さらには、板チョコだけ売っていたら出会えなかったお客さんにたくさん出会うことができるようになりました。それだけでもブランドとしては、十分に良いコトですが、スイーツをきっかけにMinimal を知って頂き、そこから板チョコのファンになって頂くお客さんが増えました。
良いコト3:板チョコが売れる
結果として私が一番やりたかったカカオ豆の個性が活きた板チョコを多くの人に知って頂き、そこから板チョコが広まっていきました。そして、スイーツというきっかけから、実は知ればファンになって頂ける方にリーチする事ができたのです。
これからも「続けていく」ために「思い込みをなくし」、常に変化をし続けるように個人も組織も努力していきたいと思います。
※Minimalのチョコレート&SNS
父の日はぜひMinimalオンラインショップから↓↓
Minimal公式SNSもぜひフォロー下さい!
山下のTwitterもぜひフォロー頂けると嬉しいです!今回のようなテーマのことをつぶやきます。