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友達100人できなくてもいい時代へ

若者を研究することで、未来の潮流を掴む。

僕が所属する若者研究部では「若者から未来をデザインする」と掲げ、定期的に学生たちと未来予測のワークショップを開催している。

学生たちから提出される「次に来る○○の形」という1枚レポート(通称:ツギクル)を起点にディスカッションを行い「次に来る○○の形は××だ」と一言化するワークショップだ。

今日は「次に来る遊びの形」について。
遊びを通じて「未来の友達の形」も見えてきた。

■お金・メンバー・時間・場所。遊びから制限がなくなっていく。

学生たちから提出された「次に来る遊びの形」レポートをいくつか紹介しよう。ちなみにこのレポートでは「調べる」ことを禁止している。必ず「自分の周りで実際に起こっていること」を起点にして書くのが特徴だ。

まずはこちら。

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skype飲みなどと言われるオンライン上での飲み会が「次に来る遊びの形」になるだろう、というこちらのレポート。
注目すべきはオンラインに移行することでお金の問題時間の問題が解消されるという点だ。自分が参加したい時に参加し、抜けたい時に抜けられる飲み会は確かに理にかなっている。

続いてはこちらの2つ。

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「その場のノリで遊ぶ」と書いてくれた学生はコメント欄で「今、どこにいる?と聞くステップすら面倒になってきた」と書いていた。
また「無計画であそぼ」では「予定を立てない方が融通が効く」と、無計画に対するポジティブなコメントもあった。先ほどの飲み会もそうだが、遊びを計画的に捉えようとする考え方はもう少し古いのかもしれない。

最後にご紹介するのはこちら。

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出会い系アプリを使って「その場限りの友達」で遊ぶ。それを「スポットフレンド」と名付けたこちら。

遊びをノリで決めるだけでなく、友達すらその場のノリで作って、すぐ解消するという考え方は従来の遊びや友達の捉え方とは明らかに違うことがわかる。

■友達の可視化、階層化、そして…。

若者研究部ではこれまでSNSによって友達が可視化されたことにで友達の階層化が起こったとしてきた。一昔前まで友達と言えば、親友くらいしか友達を呼び分ける考え方はなかった。
しかしSNSの普及で「ただの知り合い」から「親友」までが一括りに友達になり、友達の階層化がはじまった。結果的に「ズッ友(これからもずっと友達)」「いつメン(いつものメンバー)」「よっ友(「よっ」て声かけるだけの友達)」など友達を呼び分ける風習が誕生した。

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そして先ほどのツギクルから見える兆しは、友達が飽和状態に達したことによる友達の無意味化かもしれない。もしくは「何をもって友達と呼ぶか、なんてもはやどうでもいい」という意味で友達の自由化とも呼べるだろう。

■遊びを決めてから、友達を選ぶ。

僕が子供だった頃は、同じようなメンバーが集まり「今日は何して遊ぶ?」から放課後がはじまった。遊びよりも先に友達があり、友達ありきで遊びを選んでいた。それ故に、ある意味遊びの幅は制限されていたと言える。

サッカーが嫌いな友達がいれば野球になるし、門限が早い友達がいれば遠くまで遊びに行くことはしなかった。

しかし先ほどのオンライン飲み会のように、今や遊びに時間や場所の制限はない。そして友達も「学校の友達」から「SNS上の友達」まで幅広い。

それ故に遊びの形も変わる。まず「何をして遊びたいか?」という自分の欲求があり、その欲求を共有できる友達を募って遊ぶ。遊びありきで友達を選ぶ。それが次に来る遊びの形なのかもしれない。

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■友達100人できなくてもいい時代へ

1966年に発表された、まど・みちお作詞の童謡「いちねんせいになったら」の歌い出し「一年生になったら友達100人できるかな」は今も知っている人が多い歌詞だと思う。

子供たちにとっての社会が小学校だけだった時代、また子供の人数が今よりも圧倒的に多かった時代「友達が100人いること」はみんなが目指すべき場所であり、誇るべきことだったのかもしれない。

でも今は違う。

友達は小学校にいなくてもいい。
小学校が嫌いだったら行かなくてもいい。
顔を知らない人を友達と呼んでもいい。
友達でもしんどくなったら友達解除すればいい。

友達100人できなくたっていい。

これから突入するのはそんな時代だ。それを「孤独」と捉えるか「自由」と捉えるかは人それぞれだ。

ただ、どんな時代でも「遊び」だけはいつまでも子供たちにとって「楽しいもの」であってほしいと思う。

サポートいただけたらグリーンラベルを買います。飲むと筆が進みます。