9/20に、ボストンで開催された元大統領候補のマイケル・デュカキス氏が主催するボストングローバルフォーラムに出席し、AIと倫理に関する発言させていただいた。私が現時点で最も重要だと認識しているのは、AIリテラシーでの格差を作らず、全国民の識字率を上げるのと同じぐらいの重みで、AIを全員に理解させることである。

実は、下記の記事のように、いろいろなところでテクノロジーと倫理に関わる動きが盛んになってきた。

https://wired.jp/2018/09/30/ethical-os/

  この記事で紹介されているEthical OSの資料を見たが、全体には現実を踏まえた議論がされている。今後のネガティブな可能性としての、間違った情報の拡散、格差、アルゴリズムバイアス、犯罪予防、データの貨幣化、監視社会などが想定されている。

 倫理は大変重要である。テクノロジーを開発する人、応用する人、使う人、使わない人、それぞれに倫理的なレベルを高める必要があるのは当然だ。

 ただし、日本では倫理の議論の出口を、法的規制にする議論が多い。ルールに頼りたいのである。これには大きな問題がある。

 なぜか。ルールは万能ではないことである。それどころか、ルールにもテクノロジーと同じぐらい倫理問題がある。ルールの誤った使用によって、間違った印象操作ができ、格差が生まれ、判断にバイアスを生じ、不適切な人を犯人にし、監視社会にする可能性がある。

 ルールが倫理的で、テクノロジーは倫理的に危ない、という世界観は大変偏ったものである。バランスのある議論が重要だ。

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