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ボトムアップで世界を変える 「Future Builder」という存在

未来を現実にする活動

世界には、未来をよりよいものにしようと活動する人たちが、たくさんいます。もちろん、「よい」という基準には様々なものがあります。何か絶対的なひとつの価値観にそって、皆でその価値を向上させようというのは、少し怖いですね。ここで言う、未来をよりよいものにしようと活動している人とは、それぞれの価値観に根差した未来像を描き、その未来を現実のものとするために活動している人を指しています。

価値観とは、価値基準のことです。価値基準とは、何かの判断に迫られた際に、その判断の拠り所となるものです。この価値観を踏まえて、世界を認識することで、人それぞれの世界観が生まれます。

スタートアップやベンチャーという言葉が一般的に広まってから、もう随分と時間が経ったように思えます。未来をつくる代表格のように注目されることが多く、実際に、既存の大きな企業体では挑戦できないようなことに立ち向かっている人が、たくさんいます。2010年からの10年は、とくにDeep Techと言われるような、これまでになかった技術開発を基礎においた、まったく新しい世界を生み出せる可能性のある活動が注目されました。

イノベーション支援

イノベーションを起こす。そのための政府からの後押しも充実してきました。助成金などによる資金面での支援。サンドボックスやグレーゾーン解消制度などの制度的支援。市区町村レベルでの実証実験連携などの活動フィールドの提供や、マッチンングイベントなども数え切れないほど開催されるようになりました。

このように、イノベーティブであると言われるベンチャーに対する事業支援は、機会提供から資金提供まで、たくさんあります。しかし、一方で、導入先に対する支援がとても少ないように思えます。

作る人と使う人

未来を現実のものとするには、新たなプロダクトやサービスを導入し、使うという、社会実装そのものが必要です。それは、新しい、実績のない、不安定な、未知数な価値に対して、事業責任を負いながらも導入を提案し、決済をとり、実装し、使ってくれる人がいてこそ成立するものです。

実際に食べてくれる人がいなければ、どんなに素晴らしい料理も、生ゴミにしかなりません。社会に認められる前の、誰も保証してくれない、危うい状態にあるものを、使ってくれる。そんな勇気あるファーストユーザーの存在が、とてもとても大切です。

未来を描き、そのために足りないものを生み出す人(起業家たち)と、そこで生み出されたものを使う人(生活に取り入れる人たち)。この両者が、両輪となることで、生み出された未来のかけらが社会実装され、未来が現実のものとなります。

「利用者」ではなく「未来を現実のものにする人」という立場

そう考えると、「ユーザー」という存在は、未来のビジョンの具現化のためにつくられたプロダクトやサービスを使う人、いわゆる消費者という立場から、未来のビジョンを共有し、その未来を現実のものにするために活動する人「フューチャービルダー(Future Builder)」つまり「未来を現実のものにする人」に変化します。

ここ数年いわれているエシカル消費よりも、さらにもう一歩、未来を作ることに近づいているような感覚かもしれません。消費者庁には、「地域の活性化や雇用なども含む、人や社会・環境に配慮した消費行動」を「倫理的消費(エシカル消費)」と書かれています。「消費者それぞれが各自にとっての社会的課題の解決を考慮したり、そうした課題に取り組む事業者を応援しながら消費活動を行うこと」とも、書かれています。

フューチャービルダーは、これと重なるところもあるかもしれませんが、必ずしも社会通念としての倫理に沿っているかどうかではなく、描かれる未来像に共感できるかどうか、その未来を現実のものとするために社会実装を進めるという姿勢で、その事業に参加するという姿勢を持つところが、エシカル消費と異なり、さらに一歩能動的に踏み込んだもののように思えます。そう。私たちは、つくられたものを消費するのではなく、実生活の中で活用することにより、その事業に対して社会実装を進めるという形で参加することができるのです。

誰もが未来をつくることができる

全ての人が、「フューチャービルダー」になれます。いわゆる「起業家」であっても、自分が作り出すもの以外に対しては「フューチャービルダー」になれるのです。そして、起業はちょっと難しそうだなと思う人でも、「フューチャービルダー」として未来を作ることができます。

しかも、日々の生活の中で。その気になれば、未来をつくるために、積極的に活動することだってできます。周囲の理解を促し、導入を進めるために、既存の常識と闘うことだってできます。もっとおだやかに、むりのないところから、スルッと未来を取り入れることも可能です。自分では使えないけれど、こんな未来を目指してこんなことをやっている人がいるよ、と人に伝えることで、未来の可能性を高めていくことだってできます。

私たちが、どのような未来を望み、家族や友人たちと何を語り、日々の生活で何を選び、何を使うのかが、未来を形作ります。今日食べるものが明日の私をつくるように。私たちは、私たちの未来を変えていくことができる。そう、思います。

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