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学び続けない社会人は生き残れないよね。

 これは全然煽りタイトルではない。僕は本気でずっとそう思っている。

 最近、リスキリング(Reskilling)という言葉が話題だそうだ。DXが進む中、各国で「学び直し(リスキリング)」によるスキルの再教育が競われているとのこと。

 で、この記事の中で、「各国の時間あたり労働生産性」と、「仕事関連関連の再教育への参加率」を国別で比較しているグラフが出ているのだが、その二つに相関が見られると。つまり、「学び直しが盛んな国は生産性も高い」というメッセージになるわけだが、これは、たまたま相関しているのではなく、考えてみれば当然のことではないか。

 全ての人に当てはまる話ではない。しかし、日本の社会人は、常に学び直しをしているだろうか。「学び直し」と表現しているからわかりづらいのだが、その都度、必要なスキルを身につけようと学んでいるだろうか。

 僕は社会に出て働き始めて30年になる。今は自分が所属する会社のみならず、ビジネススクールで様々な社会人に教育を実施し、またウェイウェイという自分の会社にて様々な会社からのリーダー研修、マネジメント研修などを行う。だから、社会における「学び」については、多くの一次情報が入ってくる。

 とはいえ、統計データにしているわけではないので、どの程度の割合がそうであるとか言いづらいし、諸外国と比較してというのもわからないが、自分の得た一次情報に基づき、強いて決めつけて言うなれば、「日本の社会人は、学ぶ意欲に欠けている人が多い」と感じている。

 ビジネススクールに学びに来る社会人は、多くの受講生が自分で金を払って来ているので、総じて学びに対して貪欲である。そして会社に入社して数年の若手は、スキルを鍛えてキャリアアップしよう!と燃えている人も多い。

 しかし、それ以外の場所では、驚くほどみな努力しない。それなりに経験年数を経てくると、スキルをガンガン学んで成長しよう、と頑張る人は、驚くほど減ってくる。そもそも役員、本部長、部長レイヤーの方達と話すと、自分たちが学んでいないのに、人事部に頓珍漢な指示を出してくる。中堅社員も、「忙しくて、学ぶどころではない」と言って、学ぼうとしない。そのくせ、飲みにいく時間はあったりする。さらに「大事なのは現場なんだよ、お勉強が何の役にたつ」と言い放つベテランも、実際多い。要するに、「若手は学ぶ必要があるが、経験を積んでいけば、学ぶ必要がなくなる」と勘違いしている人が実に多いのだ。

 で、これは旧時代にはそれでよかった。ある程度経験を積めば「正解」にたどり着き、それを繰り返していれば成果に繋がり、昇進につながっていった。しかし、今のように変化が激しく、新しいものをどんどん取り入れて行かねば取り残される時代には、それでは使い物にならない。

 これは若手社員だけではなく、中堅、幹部、役員クラスも全く同じだ。なんせ、経営者レベルが、例えばDXの本質は何か、データが生み出す可能性はどんなか、SDGsに会社としてどう取り組んでいくのか、など、実際に自分の頭で考えて、手足を動かしていかねば、その会社として勝負にならない。としたらば、若手だろうが、ベテランだろうが、みんな「学び直し」どころか、「学び続け」が必須になるわけだ。つまり、自己否定が必要なのだ。

 これが生産性の話にもつながる。私たちに求められいているのは、3%や5%の生産性向上ではなく、抜本的な生産性革命だ。これは、健全に自己否定することでしか生まれない。

 しかし、上述のような「学ばない」役員、幹部クラスは、ある意味「自分はここで上がり」的に思ってしまうと、生産性向上なんて、考えない。むしろ、現在の自分たちの基盤が失われてしまう。だから、現状を守ってしまう。だから自己否定など、するはずもない。

 つまり、学び直しと生産性に対する意識は、正の相関を示すのは自明の理だ。これは、一言で言えば、fixed mindsetと、growth mindsetの違いなのだと思う。

 「自分の知識やスキルは、今もっているものが全て(=fixed mindset)」と考えるか、「知識はこれから習得するもので、スキルも発展させることができる(=growth mindset)」と考えるか。

 Growth mindsetだから、成長させようと学び続けるし、今の仕事の現状も、変えられる、と考える、ということだ。

 これからの時代、どちらが正しいか、言うまでもない。Fixed mindsetでは、生き残れない。なぜなら必要とされるスキルがどんどん変わっていくからだ。だからみな、Growth mindsetでいこう。これは言い切ってしまうが、今、そしてこれからの時代の大前提だろう。そして、学び続け、生産性も改善し続けよう。

 そして一点。この「学び直し」の記事の最後に、「スキルの活用度合いは、年収に左右される」とあり、面白い分析だと感じたが、これは、年収が高い人は活用できるし、年収が低い人は、活用したくでも活用できない、ということではない。年収が低い人は、必要とされる研修も受けられない、ということでもないはずだ。

 年収が低い時に、スキルアップし結果を出していくから、年収が高くなっていく、ということだと僕は考える。同じようなことを仕事で経験して、それを自分のスキルアップにつなげられるかどうか、で、年収が変わっていく、ということだと思う。

 だから、年収が低いからスキルアップできない、と考える必要はない。誰でも今の仕事をスキルに結びつけることができる。これは、「振り返り」をしっかり行う、ということに尽きる。社会人の成長は、「気づき」の回数だ。そして気づくためには、振り返ることだ。これで、スキルアップし、成果を出し、年収アップにつながる、と、頭出しだけしておく。ここはどこかでまた、詳しく述べるつもりだ。

 つまり、学び直しの「学び」には、知識やスキルそのものの「学び」もあるが、「学び方」の「学び」もある、ということだ。

 最後に。
僕も、54歳になった今でも、必死で学んでいる。

(画像 aflo)

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