SNSからシゴトを依頼されるフリーランスと依頼されないフリーランス。
「SNS」というものはいつからこんなにも人々の生活に入り込んできたのか? などという問いは野暮なハナシだ。
実際にSNSたるものが世の中に登場したのは2000年初頭だとか もう少し前だとかいろんな説がある。少なくとも私の感覚ではスマートフォンが日本に登場した2008〜2009年頃からTwitterやFacebookが出てきた印象がある。さすがにガラケーでSNSは不便だから、たぶん私の感覚はそれほどズレていないのではないかと思うわけだ。
それから10年以上が経って、SNSも進化を遂げてきた。種類も増えたし使われ方も見方も変わってきたように思うが、それでも相変わらず「売り手」が多い印象を持つのは自分だけだろうか。
SNSは「買い手」よりも「売り手」が多いネット市場だということが実際に実数として正しいかどうかは別に置いておいて、SNSが「大きな閲覧市場」であることは間違いない。その「大きな閲覧市場」に自分のビジネスを紹介したくなるのもわかる。
しかしその中でなぜ「SNSから仕事を依頼される人」と「いいね!しか押されない人」がいるのか。言い方を変えると、「SNSをビジネスに繋げられる人」と「SNSをフォロワーとのコミュニケーションにしか使えない人」がいるのだろうか。
今日はその点を、過去にコンサルしてきた「SNS系フリーランサー」の実情と私の所感を交えてお届けしたいと思う。
SNSから仕事を依頼される人
SNS上にはいろんなタイプのフリーランサーが存在する。全体的な傾向論になってしまうのだが、SNSで仕事を依頼される人は以下の3つの特徴があることがわかった。
しかもこの「3つの特徴」。どれかだけでは「依頼されるフリーランサーにはなれない」ケースがほとんどだ。この3つの特徴はある意味SNSを駆使するフリーランサーの「三種の神器」と言っても言い過ぎではないのかもしれない。
それではその「3つの特徴」を説明していこう。
1.認知性が高い(または、認知されることに特化して活動している)
まずは「認知性」という部分だ。これは「多くの人に知られている」という事実そのものが重要で、その結果を得ることが目的なわけだ。ただ単に告知したり目立つ行動をすればいいというわけではない。自分という存在を多くの人に「認知」してもらうための活動をしていて、しかもその目的を果たした人が手にできる称号なのだ。
以前の記事で私はこう書いたことがある。
「人は良いものを買うんじゃない。人は知ってるものを買うんだ」と。
いくら優れた性能の商品でも、いくら美味しい食材でも「知らなきゃ買えない」。知らないものは買おうとするものの候補にも入らないのだ。
「多くの人に知られている」という事実は尊いことだ。自分のポートフォリオや自己PRを整備して公開することは大事なことだし、SNSを定期的に更新し、情報発信することも必要なことかもしれない。
しかしそれらは「手段」でしかない。”何のための手段?”といえばそれは明確だ。「多くの人に自分の存在を知ってもらう」。それこそが目的であり、仕事を依頼されるフリーランサーであるための条件だ。
2.スキルや知識がある
SNSは基本的にコミュニケーションツールだ。本来そこに「スキル」や「知識」が必要かどうかといえば絶対に必要というわけではないだろう。
しかし「仕事を依頼されたいフリーランサー」ならば話は別だ。依頼者はあなたの何をもって何を依頼したいかが明確にならなければ仕事を依頼することはない。あなたがその人の「どんな悩みを解決してくれるか」というイメージを湧かせることが必要なのだ。そしてそれは多くの場合「スキル」「知識」と呼ばれるものに含まれる場合が多い。
スキルをアピールするために「自分の制作した成果物」をSNSで発信することや、他とは違う考え方や知識をブログや動画で発信することも効果的だし、そんなことはすでにみんなわかっていることだと思う。
ただここで私が言いたいのは、「スキルとは自慢することではない」ということだ。確かに自慢できるスキルなのかもしれないし、実際に「自慢しても良いのではないか」というレベルのスキルをもっている人もいるだろう。
しかし何度も言うように「SNSは基本的にコミュニケーションツール」なのだ。そこにいる人は「仕事を依頼できる人を探しているのではない」。人との交流を楽しむ場=SNSだと思うべきだ。
そうすれば見えてくるでしょう。いかにSNS上の自慢に人々が引いているか。
私にとって「私のコーチングは◯◯認定の自慢のセッションです」というPRと、街中でイケメン君が「みなさーん、僕ってイケメンですよね。デートしませんかー」と叫んでいるのは同じだと思うわけだ。
いくら本当にイケメンであったとしても、その行動に人は引くのですね。
あなたのスキルアピールはそうなっていないか、早速今からでもウェブサイトやSNSを振り返ってみるべきだと思う。
3.コミュニケーション力が高い
最後は「コミュ力」だ。特にSNSの場合はネット上だけにコミュニケーション力が難しいと言われている。
「コミュニケーション」というのは「相手がある」ものだ。つまり「自分から声を掛けることができる」とか「人見知りせずに積極的にDMが送れる」とかいう問題ではない。自分が自分から相手に話しかけられることの能力のことを「コミュ力」と言うわけではない。
ではどういう能力を「コミュ力」というのか。
私なりにSNSから仕事の依頼を受けることの多いクライアントをまとめてひとつの統計的な結論を言うとするなら、
「相手がどう思うかを先に考えられる人」。つまり、客観的に自分の行動を考えられる人というのがSNSにおける「コミュ力が高い人」と言えるのではないかということだ。
もう少しそれを掘り下げていこう。
この「客観的に自分の行動を考えられる」という能力には二つの視点がある。
相手が嬉しいと思うことを考えることができる(または考えようとする)
相手が嫌だと感じるだろうことへのアンテナの感度が高い
これは「対人感受性」という能力のひとつで、自分の行動にフォーカスするのではなく、相手の「受け取り方」にフォーカスして自分の行動を逆算できる能力だと思っていい。
つまり、相手の感情を動かすことに敏感だということだ。自分の目線で「嬉しさ」や「悲しさ」を測るのではなく、目の前にいる”その人”がどう思うか。どう感じるかにフォーカスする考え方だ。
例えば、誰かと一緒に食事に行って同じ料理を食べたとしよう。その料理はひと口食べてあなたは「美味しい!」と感じたのだ。
そこで目の前にいる相手はどう思ったか聞いてみることにしよう。
そこで「美味しいね。美味しいよね?美味しいと思わない?」と聞くのは「自分の主張を押し付ける」タイプだと言える。(あくまで例であり統計だが)
自分の主張を受け入れるように促すコミュニケーションは、セールスのクロージングにおいては時に好結果を生むこともあるが、ことコミュニケーションという観点においては不十分だ。
なぜなら、相手の主張をシャットアウトさせる危険性を併せ持つからだ。コミュニケーションとは自分の主張と相手の主張を肯定し合わなければ成立しない。コミュニケーションとは実にデリケートなのだ。
SNSで仕事を依頼される人になりたいなら。
何度も言うようだが、SNSは本来コミュニケーションツールだ。だからこそ多くの人が集い、広告宣伝効果が高いのも事実。
人気テレビ番組のCMが高額なのも、WBCのバックネット下のフェンス広告が高額なのも要は同じ原理だ。たくさんの人がいて、それを観る人の多さが広告宣伝効果と比例する。
だからSNSに「売り手」が多くいるのもわかる気がする。
その多くの売り手がいるSNSという空間で、いかに自分が認知され、魅力が伝わり、そして「この人なら自分の悩みを解決してくれそうだ」と思われるか。
結局のところ、フリーランスがそれをやろうとするならばやはりこの三種の神器だと私は思う。そしてその三種の神器に挑戦していくことだと思う。
1.認知性を高める(または、認知されることに特化して活動している)
2.スキルや知識を高める
3.コミュニケーション力を高める
フリーランサーの皆さんは「三種の神器」に具体的に挑戦してみてくださいね。
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