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増えていく放置竹林 山の厄介者をどうするか

こんにちは、電脳コラムニストの村上です。

私事ではありますが、最近いよいよ介護の話が出てきており、実家の裏の竹林どうすんだ?とか色々と考えるお年頃になってきました。春になるとニョキニョキと生え続けるタケノコを蹴り倒すという季節労働があるのですが、これもこの先どうすんだというお話です。

ちなみに美味しいタケノコは頭が出ないくらいのものを見つけ出さなくてはならず、常人にはほぼ見つけられないのでどこの地域にも「タケノコ採り名人」みたいな人がいると思います。こういう方はわたしが見ても全く見えないタケノコの気配を感じ取り、ここ掘れと言われるままに掘るとそこにあるわけですね。なんだ、超能力か。

日本の国土は約2/3が森林であり、そのうち50%が天然林で40%が人工林。残りが無立木地、竹林などです。人が住むところの近くは里山を形成しており、人工林と竹林が隣接していることも多いです。昔は薪をとったり、竹で生活に必要なものをつくったりしていたわけですね。

現代の生活ではすっかり必要がなくなり、むしろものすごい勢いで竹が広がっていきます。すると雑木林が竹に侵食されて、気づけば竹林に変わってしまうわけです。

急斜面の竹林はがけ崩れの危険性が増してしまうので、適切な管理が重要です。が、それを誰がやるのかというのが現在進行系の課題です。

竹を伐採してバイオマス発電に利用したり、メンマをつくったりと各地で様々な利活用の取組みがなされています。SDGsの流れを受けてプラスチックストローを竹ストローに置き換えるような取り組みもありますね。

ただでさえ成長が早い竹ですが、温暖化の影響を受けてさらに育ちやすい地域が拡大するという予測もあります。

温暖化対策を取らずに今世紀末までに平均気温が産業革命前より4度上昇した場合、東日本では竹が育ちやすい地域の割合が最大で83%に達するという。

北限は北海道の稚内市まで拡大する恐れがある。現在の日本の竹林の総面積は15万9千ヘクタール。主にモウソウチク、マダケで構成され、管理が行き届かない竹林の拡大が各地で問題となっている。

管理放棄された竹林の周縁は1年に最大3~4メートルの速さで広がり、日陰をつくって背の低い樹木を枯らしながら周囲の植生をのみ込んでいくという。西日本を中心に生物多様性への悪影響が指摘される。

日経電子版

成長が早く丈夫であるという利点で真っ先に思い浮かぶのは、建築への利用です。実際、竹の強度はスギ材より高いのですが、建築基準法での指定建築材でもなければ、JISやJASにおいても建材としての定義はないそうです。そのため、現代の住宅にはインテリアで活用するくらいしか利用法はありません。しかし、これをなんとかしようと取り組んでいる企業があります。

竹造建築の実現に挑むのは、日建ハウジングシステム(東京・文京)。竹集成材構造の性能評価書を取得し、具体的な建設に向けて自治体などに働きかけを進めている。

同社によると、竹集成材構造による性能評価書の取得は国内初。実プロジェクトの実施が決まれば、新材料・新工法を活用できる建築基準法20条による国土交通大臣認定を受けることで、スムーズに建築できるという。

竹の強度はスギ材よりも高い。だが、竹は建基法37条で規定する指定建築材料でもなければ、日本産業規格(JIS)や日本農林規格(JAS)にも建材としての定義はない。

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建築では大量の木材を使いますから、ここに竹が利用できるとなるとかなりの消費が期待できるでしょう。また、生育スピードも早く、山奥でなくても管理・伐採が可能ですので産業化もしやすそうです。

以前、インドネシアのバリ島に行った際に、校舎がすべて竹で建築されている「グリーンスクール」を見学しました。創業者のジョン・ハーディがTEDでその思想について語っています。

夏休み期間だったので授業はやっていませんでしたが、本当に竹で建築された校舎を存分にみることができました。

教室の様子

学校全体でサスティナブルなエコシステムを構築しており、子どもたちは自然とふれあいながら様々な教育を受けています(詳細は先のTEDをご覧ください)。

外から見た様子

近くに同じく竹で建築されたレストランも経営しており、特に夜はとてもムーディーでよいところでした。

林業も他の一次産業の例に漏れず、担い手不足が大きな課題です。里山の荒廃も住宅地に近い分、身近かつ大きな問題だと思います。全国どこにでも見られる竹林を適切に管理するためにも、竹のポテンシャルを見直しどんどん活用していく出口をつくることは、非常に重要な取り組みだと思います。


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※ タイトル画像と文中の写真は筆者撮影

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